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【第2回】吉長博の多眼カメラ入門講座「立体写真撮影のポイント」

      2015/05/28

吉長博の多眼カメラ入門講座

吉長博さんは、多眼のフィルムカメラを使って幻想的な立体写真GIFを制作されています。GIFアニメコンテスト「theGIFs」ではアート部門賞を受賞されました。本連載では、吉長さんに多眼カメラの選びから、立体写真の撮影、制作方法までを全3回でご紹介いただきます。

クリエイター:吉長博

originalフリー映像クリエイター。東京を中心に活動。動く立体写真GIFはGIFアニメコンテスト「theGIFs」で、アート部門賞を獲得。アクション映画好き。落語好き。SF好き。洋楽好き。立体写真好き。

立体写真撮影のポイント

 第一回ではカメラの選び方から、フィルムの装填方法までをご紹介しました。いよいよ第二回では実際に多眼カメラでの撮影を行います。通常のカメラで大切なことは当然多眼カメラでも大切になってきますが、今回は多眼カメラならではの撮影時のポイントを吉長さんに紹介しもらいたいと思います。
 使用するカメラはNimslo 3DとNishika N8000で、フィルムはフジの感度400です。

フィルムの装填

 まずはカメラにフィルムを入れてみましょう。
 多眼カメラでも、他のトイカメラやコンパクトカメラでも、フィルムの装填方法は基本的に同じです。

1. ツメを引っ張りカメラのふたを開く

フィルム装填150406_1_N9000

 もしツメが見当たらなければフィルムの巻き取りクランクを引き上げてみてください。

フィルム装填150415_1_N8000

2. フィルムをセットする

フィルム装填150415_2_N8000

 クランクを引き上げた常態で、フィルムをセットできます。

3. フィルムの端を溝に引っ掛ける

フィルム装填150415_3_N8000-(2)

 クランクを押し戻し、フィルムを引き伸ばして、反対側に溝があるのでそこにフィルムの端を引っ掛けます。

4. フィルムを巻き取る

フィルム装填150406_4
フィルム装填150406_5

 ③で引っ掛けたフィルムがピンと張るまで巻きとります。このときにフィルム穴が歯車にかかっていれば成功です。

5. ふたをきちんと閉める

フィルム装填150406_7

 巻き上げレバーを、動かせる範囲いっぱいまで動かします。動かない時は1テイク分すでに巻いてしまったので、シャッターを押してください。1枚撮るとレバーが動いて次の写真を撮れるようになります。
 巻き上げレバーを動かした時に、反対側のクランクも同じように動けばOKです。

6. 撮影準備はこれで完了です

 うまくフィルムを入れたとしても、最初の1枚は開蓋時に感光しているので、だいたい2枚目から撮れると思っていいでしょう。

立体写真撮影のポイント

以下 吉長: 大きく3つの撮影ポイントを意識すれば非常にきれいな作品に仕上がります。それぞれを順に解説します。

■カメラの向き
■被写体との距離
■被写体をフレームに収めること 

■カメラの向き

 まずはカメラの向きです。多眼フィルムカメラは本来であれば横向きで持って使用するのですが、GIF化する前提であれば横で持っても縦で持ってもOKです。
 もちろん、持ち方の違いで、「縦長の写真」「横長の写真」になりますが、それだけではなく、GIFにした時の動きの方向も違ってきます
 レンズは横に4つ並んでいるため、GIF化すると作品には横の動きが生まれます。

img726_W500

カメラ Nimslo 3D
フィルム フジカラーSUPERIA X-TRA 400
スキャナー エプソンGT-F730

 では、カメラを縦に持てばどうなるのでしょう。お分かりだと思いますが、写真は横長になり作品には縦の動きが生まれるということになります。

img721_W560

カメラ Nimslo 3D
フィルム フジカラーSUPERIA X-TRA 400
スキャナー エプソンGT-F730

 GIFではない方法で立体的に見せるのであれば、横向きで持つのがセオリーです。しかしGIF以外は考えないのであれば、被写体や状況に合わせて縦と横を使い分けてみるのもいいでしょう。

■被写体との距離

 次に意識してもらいたいのは、被写体との距離感です。立体GIF作品を作るのであれば、当然見ていただく方には立体感をより感じてもらいたいですよね。そのためには被写体の前後にものを配置するとより立体感を出すことができます。ちょうど下の写真のような距離感だといいですね。

P1010054_W500

 ほとんどの多眼カメラは、一般のトイカメラとおなじようにピント調節の必要がありません。1.5m程度の距離から背景まで、だいたいピントが合うようになっています。ですので、より立体感を出すために一番手前に写るものが1.5mの距離になるように構図を作るときれいに仕上がります。立体感だけで言えば1mでも結構ですが、それだとピントが合わないカメラが多いです。
 GIF化を前提に言うなら、被写体の前後にものを配置できるときの距離感は[1.5m - 3m - 5m]が理想的だと考えています。ただ、屋外での撮影だとなかなか正確に間隔をとるのは難しいと思いますので、被写体の前後にものを配置することと、一番手前に写るものの距離を1.5mにするようにだけは意識してみてください。それだけでも立体感が全然違ってくると思います。逆に、あまりに被写体が近過ぎたり、遠すぎたりすると、GIF化した時の動きがガタガタになってしまうので注意してください。この桜の写真は大体[1.5m – 3m – 5m]になっています。

img710_W500

カメラ Nimslo 3D
フィルム フジカラーSUPERIA X-TRA 400
スキャナー エプソンGT-F730

 もちろんこの、何メートルという指標は絶対ではありません。撮影を重ねるうちに自分の好きな距離感が決まってくるでしょう。それまではこの数値を参考にしてみて下さい。

■被写体をフレームに収めること

 最後にもう一つ気を付けることは、被写体が余裕を持ってフレームに収まるように撮影するということです。
デジタルカメラでは心配しなくてもいいのですが、フィルムカメラの場合、どの範囲が写真に写っているか現像してみるまでわかりません。ファインダーはそれなりに余裕をもって見せてくれていますが、特に被写体が近い場合は、ファインダーと実際のレンズの違いが大きくなって、写る範囲が違ってくる場合があります。
 前述の「近くても1.5m」という指標はこのためでもあります。近くなるほど狙ったものが写真に入らない可能性が大きくなります。
更に、多眼カメラではレンズの位置がずれている分だけ、撮影される範囲もその分ずれてきます。ずれた分だけ両端に見切れてしまう部分が必ず出てきて、GIF化するときに画像のトリミングをしなければなりません。
 見切れた部分を黒いままに作品にするというテクニックもありますが、常に有効とは言えません。

手前の物はトリミングされやすい_W500

撮影時の3つのポイント

1 横持ちで撮影すると縦長で左右に動き、縦持ちでは横長で上下に動きが出る作品になる。
2 被写体の前後にものを配置すると立体感が出やすく、手前のものまでの距離は1.5m程度がよい。
3 手前の被写体がフレームに収まるように余裕を持って撮影する。

このような作品が撮影できました

img703_W500

カメラ Nishika N8000
フィルム フジカラーSUPERIA X-TRA 400
スキャナー エプソンGT-F730

 次回は撮影したフィルムの現像・データ化から編集、作品の完成までをお伝えします。

(執筆:CREM編集部 篠宮航太)

クリエイター:吉長博

originalフリー映像クリエイター。東京を中心に活動。動く立体写真GIFはGIFアニメコンテスト「theGIFs」で、アート部門賞を獲得。アクション映画好き。落語好き。SF好き。洋楽好き。立体写真好き。

【関連リンク】
吉長博立体写真GIF作品ページhttp://gifmagazine.net/users/4935/profile
前回インタビュー記事一覧:http://cre-m.jp/category/creator/yoshinaga_hiroshi
yoshing blog:http://yhmv.blogspot.jp/

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