そこはかとなく好奇心を刺激するクリエイターの秘密基地。

そこはかとなく好奇心を刺激するクリエイターの秘密基地。

【第3回】「死と再生」立体写真の裏にある創作哲学。吉長博インタビュー特集

   

【第3回】「死と再生」立体写真の裏にある創作哲学。

吉長博さんは、多眼のフィルムカメラを使って幻想的な立体写真GIFを制作されています。GIFアニメコンテスト「theGIFs」ではアート部門賞を受賞されました。今回Creator’s MAGAZINEでは吉長さんから立体写真の魅力や、カメラ、創作の哲学を、全3回に分けてお送りします。

(執筆:Creator’s MAGAZINE編集部)

【第1回】多眼カメラNimslo,Nishikaについて。
【第2回】「自分にしかできないGIF表現へ」吉長博の生い立ち。
【第3回】「死と再生」立体写真の裏にある創作哲学。

クリエイター:吉長博

吉長博のアイコン
フリー映像クリエイター。東京を中心に活動。動く立体写真GIFはGIFアニメコンテスト「theGIFs」で、アート部門賞を獲得。アクション映画好き。落語好き。SF好き。洋楽好き。立体写真好き。

wiggle3D作品紹介

posted by yoshing_BT to GIFMAGAZINE

吉長博 ©2013年 「hand, water, monochrome」

posted by yoshing_BT to GIFMAGAZINE

吉長博 ©2013年 「d/i/s/c/o/s」

posted by yoshing_BT to GIFMAGAZINE

吉長博 ©2013年 「隅田公園」

posted by yoshing_BT to GIFMAGAZINE

吉長博 ©2013年 「renge water」

posted by yoshing_BT to GIFMAGAZINE

吉長博 ©2014年 「Gerbera」

【第3回】「死と再生」立体写真の裏にある創作哲学。吉長博インタビュー特集

【第3回】「死と再生」立体写真の裏にある創作哲学。吉長博インタビュー特集

ーー 吉長さんの作品製作の哲学や作家性についてお話しいただこうと思います。自分の作家性を表現するとしたらどんな言葉がふさわしいと思いますか?

 

吉長さん(以下、敬称省略) 「死と再生」ですかね。そういうと少し大仰に感じてしまうかもしれませんけど、そこまでアーティスティックなことをはじめから表現しようとしていたというわけではなくって、作品を作っていたら「死と再生」を意識させる作品が多かったんです。数年前に人に言われて初めて気づきました。(笑)

 

ーー 「死と再生」ですか。具体的には作品のどういったところで「死と再生」を意識されたのでしょうか。

 

吉長 たとえばGIFの作品ですと一度終わったはずの動きが何度も繰り返されるということでしょうかね。GIFは繰り返し見ていただくことができるのでそれが特に強調されます。

 

posted by yoshing_BT to GIFMAGAZINE

吉長博 ©2014年 「nimslo 3D + LightBlaster」

 

ーー そういった自分の作家性を見つけるために意識していたこと、意識するべきことがあれば教えていただけますか。

 

吉長 特に自分で意識していたことはありませんでしたね。具体的なテーマがあって、それを表現するために執念を持って創作活動をやっている、というわけではありませんので。

 

ーー 今までお聞きした方にはなかった面白い考え方ですね。では、自分のやりたい創作活動をつづけることで自分の作家性が追従してくるということでしょうか。

 

吉長 そうですね。逆に自分の作家性が見つからなくて困っている方なんていらっしゃるんですか。それで悩んでいること自体がナンセンスだと思います。 作家性は作品を作っているうちにいつの間にか出てくるものだと思いますし、もっというと作家性なんてどうでもいいと思います。

 

ーー 作家性を重要視されないことにはどのような理由があるのでしょうか。

 

吉長 逆説的になってしまいますが、やっぱり一番は自分が作家性を気にしていないからだと思います。クリエイターの最高像は何でもできることだと思っていて、作家性なんか全部0にして何でもできます、誰のまねでもできますし、だれもまねできないこともできます、理想的すぎるとは思いますけど、そこまで行くのが一番すごいと思いますし、そんな人に作家性なんてないですよね。

 

ーー では、吉長さんの思うクリエイターの最高の状態はどんな手法も作れて、どんなものでもまねができる方ということでしょうか。

 

吉長 それですね。今話していて自分でも気づきがありました。(笑)条件さえそろっていれば、模倣はいろんな方ができると思うんですよね。もっというと、ある程度の人方なら何でもまねはできると思います。それでもオリジナルには模倣のうえにいてほしいですけどね。

 

真剣な顔で答える吉長さん

ーー オリジナルの質や価値を高めるためには、どういったことをすればよいと思いますか。

 

吉長 やっぱり経験しかないんじゃないですかね。できる範囲のことしかできませんから。まずは自分のやれるところから、自分のやれることを少しずつ広げて高めていくしかないと思います。

 

ーー ありがとうございます。自分の作家性を見つけるためにも、まずは作家性については考えずに今やりたいこと、面白いと思うものを創るべきということですね。次に作品を制作するうえで大切にされていることがあれば教えてください。

 

吉長 少しずれてしまうかもしれませんが、受ける仕事を選ぶことは大切だと思います。僕は自主制作だけではなくて商業映像の仕事もお受けしているんですけど、最近は依頼が多くないのに仕事を選ぶようになってきていて。(笑)

 

ーー そのような仕事を選ばれる基準はどういったところにあるのでしょうか。

 

吉長 基本的にすべて自分に任せてもらえる仕事がいいですね。やっぱり自分の作る作品は自分の作りたいものでありたいんです。自分の受けていた仕事に安いものが多かったせいか何度も悲惨な目にあっています。(笑)

 

ーー 自分と相手の求めているもののギャップがあるということですね。では、クリエイターを目指す方は仕事を受ける際はどのようなことに気を付ければよいでしょうか。

 

吉長 あまり安く仕事を受けるなということですかね。でも若いうちは悲惨な目に遭ってもいいと思います。様々な仕事と経験することでその数だけ、そうじゃない目にもたくさん遭えると思いますので。性格次第ですけど、商業映像では時間とか完成度をある程度割り切って、割り切ったなりのいいものが作れれば理想なんですけどね。ただ、なかなか時間とお金がないといいものになりませんし、いいものが作れないといい仕事にもつながらないっていう負のスパイラルに入ってしまって。時間と予算に余裕がある仕事が取れればいいんですけど、それができないと僕みたいにもう仕事はいいよ、ってなっちゃいますよ。(笑)最近は年齢のせいもあってか、仕事にあまりがっつけなくなってきまして。なんでもやるから仕事をくださいって、怖くて言えなくなってしまいました。(笑)

 

ーー 自分が納得できるところまで作品を作りこむ時間と予算の葛藤ですね。

 

吉長 そうですね。必要以上に時間がかけられるときに時間をかけていければ、更に良いものを作ることができます。年を取ってからでは時間をかけてやり込む力や体力を身につけることは難しくなってしまいますので。若いうちに、この金額で普通ならこんなに時間はかけられないけど自分の納得できる作品まで作りこむ、といった体力と経験を積むべきだと思います。

 

ーー 時間や予算をあまりかけられない仕事を経験することで、制作に余裕が生まれていくということですね。

 

吉長 そういうことです。若いクリエイターさんはあんまり安いお金で仕事で受けてはいけないとは思いますけど、でも、やってもみるのもいいよって。まったくやらないよりは一度や二度、自分がこりごりだと思うような仕事をやってみるべきです。こりごりに自分で感じるまでやってみて、それによって自分で何を見つけられるかじゃないですかね。ただその後、上手いサイクルに乗れていないせいで苦労している作家さんはすごく沢山いると思います。安い仕事を受けるなといっておきながら、矛盾しているかもしれませんけど。(笑)

 

posted by yoshing_BT to GIFMAGAZINE

吉長博 ©2014年 「切り花… wiggle3D」

ーー 作家性を追求して生きていくこと、商業映像を中心に活動して、そこに自分の良さを付加できればという人もいると思いますが、吉長さんの考える目指すべき、在るべき立ち位置についてはどうお考えですか。

 

吉長 もちろん自分の作りたいものだけを作っていられることがベストだと思いますし、それが商業としても出来るならそれがいいと思います。だけど僕は自分がその時面白いと思う仕事が出来ればそれでいいと思っています。クリエイターのあるべき理想の姿は、先ほどお話したどんなものでもでも作れるクリエイターもそうですけど、「アーティスト」というよりは「アート作品を作る職人」でありたいですね。

 

ーー 「アーティスト」と「アート作品を作る職人」の違いはどのような事にあるのでしょうか。

 

吉長 「アーティスト」も結局は職人ですけど、そういったことではなくて。意味の違いというよりは心構えや姿勢の違いですかね。 作品のためにすべてを犠牲に!全身全霊!っていうのでも、それはそれでいいと思うんですけど、もうちょっと一歩離れたところで、ひょうひょうとして作品を作り出せればそれに越したことはないと思うんです。せめて周りからの見た目だけでも苦労していないかのようにふるまっていたいですよね。

 

ーー 「苦労してこんな作品作ったんです。だから見てください。」ってことではなくて、裏ではとてつもない努力しているかもしれませんけど、それはあまり自分から表面に出すべきものではないということですね。

 

吉長 そうですね。作品がギラギラしていることはいいことだと思うんですけど、創作活動や作家自体はあまりギラギラしなくてもいいかなと。そういうアーティストを否定してるのではなくて、自分には逆の欲求がある気がします。

 

ーー クリエイター自身がアイコンになっている人ではなくて、作品自身から作品が広まってほしいということですね。

 

吉長 そうですね。初めに広まるのはほとんどの方が作品からですよね。それが常に作品だけ注目されるなんて。それだって難しいのに、更に仕事につなげたいなら名前を出さないといけないし。現実ではうまくいきませんけど、そうありたいです。

 

posted by yoshing_BT to GIFMAGAZINE

吉長博 ©2014年 「nimslo 3D + LightBlaster」

ーー 第二回でカメラ以外にもご興味があるとおっしゃられていましたが、今後の活動で新しくやってみたいことはございますか。

 

吉長 去年自分をモデルにして、360度パノラマのGIFアニメにチャレンジしてみたんですけど、それに少し心残りがありまして。それを自分以外のモデルでもっと詰めた作品に出来ればと思っています。

 

ーー 最後に吉長さんがGIFについて感じることをお願いします。

 

吉長 僕が動画作品ではなくてGIFで制作している一番の理由はノークリックで再生できるということなんです。GIF MAGAZINEでtwitterのタイムラインでノークリック再生をしてくれて、多くの方が気軽に自分の作品が見ていただけるということはクリエイターにとってとても大切なことだと思います。これからも僕のGIFアニメ作品を見ていただけると嬉しいですね。

 

posted by yoshing_BT to GIFMAGAZINE

吉長博 ©2014年 「LightBlaster + nimslo 3D クローズアップ」

執筆:Creator’s MAGAZINE編集部

クリエイター:吉長博

吉長博のアイコン
フリー映像クリエイター。東京を中心に活動。動く立体写真GIFはGIFアニメコンテスト「theGIFs」で、アート部門賞を獲得。アクション映画好き。落語好き。SF好き。洋楽好き。立体写真好き。

【関連リンク】
吉長博立体写真GIF作品ページhttp://gifmagazine.net/users/4935/profile
yoshing blog:http://yhmv.blogspot.jp/

吉長博さんのTwitterアカウントはこちら

 - クリエイター, 吉長博, 水曜日のクリエイター, 立体写真「wiggle3D」の魅力 , , , , , ,

crem fbpage header
(いいね!で最新記事を毎日受け取れるみたいですよ)

あなたの好奇心を刺激する
コラム、ビジュアルビュース、GIFマンガ、海外映像作品紹介記事を毎日配信

more