【第2回】「自分にしかできないGIF表現へ」吉長博の生い立ち。インタビュー特集
吉長博さんは、多眼のフィルムカメラを使って幻想的な立体写真GIFを制作されています。GIFアニメコンテスト「theGIFs」ではアート部門賞を受賞されました。今回Creator’s MAGAZINEでは吉長さんから立体写真の魅力や、カメラ、創作の哲学を、全3回に分けてお送りします。
(執筆:Creator’s MAGAZINE編集部)
【第1回】多眼カメラNimslo,Nishikaについて。
【第2回】「自分にしかできないGIF表現へ」吉長博の生い立ち。
【第3回】「死と再生」立体写真の裏にある創作哲学。
クリエイター:吉長博
フリー映像クリエイター。東京を中心に活動。動く立体写真GIFはGIFアニメコンテスト「theGIFs」で、アート部門賞を獲得。アクション映画好き。落語好き。SF好き。洋楽好き。立体写真好き。
wiggle3D作品紹介
【第2回】「自分にしかできないGIF表現へ」吉長博の生い立ち。インタビュー特集
ーー 第二回では、吉長さんの生い立ちと、映像制作にのめりこんだ切っ掛けなどを中心にお話していただこうと思います。まず、吉長さんはどのような幼少期を過ごされたのでしょうか。
吉長さん(以下、敬称省略) どちらかといえばおとなしい子供だったと思います。子供のから洋画番組をよく見ていて、そのころから映画が好きでしたね。もちろん吹き替えでしたけど。(笑)
ーー どのような映画がお好きでしたか?
吉長 ハリウッド映画が多かったですね。あとはまだ元気なころの香港映画も好きでした。ジャッキーチェンの出演する映画とか、あとはランボーも好きでしたね。アクション映画が好きでよく見ていました。最近DVDなどで流行っているところだと、マカロニ・ウエスタンなんかも好きですね。
ーー 作品のどこにひかれたのでしょうか。
吉長 大きいところはアクションだと思いますね。子供のころはやっぱりアクションが好きで、子供ならだれでもそうだと思うんですけど、映画を見るにあたって何が大切かってアクションだけなんですよね。子供にとってはアクションの迫力や格好良さが映画の評価とイコールで、極論、他の要素はどうでもよかったんだと思います。
ーー 幼少期に見た映画が吉長さんの現在の作品につながっている部分はあるのでしょうか。
吉長 かなり影響されていると思います。だから自分の作品では被写体の動きをとても大切にしていて。動きがない映像をとるのはつまらないとも思っています。ただ、子供のころはアクションしか目に入ってなかったんですけど、当たり前ですけどだんだん「映画ってアクションだけじゃないんだ!」って気づき始めまして。(笑)シナリオも音楽も撮影もプロデュースも、役者以外はすべて興味がありました。自分が演じなければ、ほかは何でもやってみたかったですね。
ーー なにか子供のころから創作活動をなされていたのでしょうか。
吉長 これは映画からの興味とは直接的に関係ないかもしれませんが中学生のころは漫画を描いていましたね。当時は手塚治虫の作品を特によく読んでいたんですけど、作品はギャグマンガが多かったです。(笑)
ーー 当時は漫画家を目指していたのでしょうか。
吉長 当時は漫画家を目指していたと思います。ただ、自分の絵があまり上手くなかったせいもあってか、漫画に向いている気持ちはいつの間にかなくなっていましたね。実際にやってみて職業として漫画家を目指すのは別にいいかなと思って。映画のほうが興味があると気がついたことも大きいと思います。
ーー 実際に映画の製作もされていたのでしょうか。
吉長 はい、高校に入学して映画製作のサークルに入りまして。当時もう過去の遺物みたいになってはいたんですけど、卒業までに作品を3本ほどしか製作できませんでしたね。(笑)
ーー どのような作品を制作されていたのでしょうか。
吉長 やっぱりアクションでしたね。確か忍者が出てくるようなアクション映画で、学生ですしそんなに本格的なものではなかったんですけど、今となってはいい思い出ですね。(笑)最近YouTubeで「Tokyo to Osaka」っていう外国人の方の日本旅行記のような8ミリ作品を見たんですけど、それがめちゃくちゃ格好良くって。また8ミリも撮ってみたいですね。
ーー では、カメラは映画が撮りたくて始められたということなんですね。高校卒業後は美大等で映像制作を始めたのでしょうか。
吉長 いえ、高校を卒業した後はプータローでしたね。(笑)その当時は映像を撮るために大学に行くっていう発想がそもそもありませんでした。
ーー 大学には行ってらっしゃらないんですね。では当時からフリーで作品の制作をされていたのでしょうか。
吉長 そんなにギラギラとはしていなかったですけどね。(笑)バイトをして、たまに作品を作って、またバイトをしてという生活でした。その頃にはもうビデオカメラに代わっていて、バンドのライブや、オーソドックスに人や風景も撮影していましたね。それで、そのままこの年までなったという感じです。
ーー 当時の活動から今の自分の作品につながっていると思うことはありますか。
吉長 先ほども少しお話しましたが、ぼくはアクション映画が好きで制作を始めたので、その当時から被写体の動きを大切にしていましたね。今制作している立体写真のGIFでは特に意識しているんですけど、写真は動いている被写体の一瞬を静止しているものとして記録することしか基本的にはできないんですよね。でも多眼カメラで撮影をすることで映画のように時間軸を生むこともできますし、止まっているものはGIFで動かすことによってより止まっていることを強調できます。もっといえばGIFは動いていないものにさえも動きをつけることができるんです。それが一番のGIFの魅力だと思います。
ーー 動いていないものでさえ動かしてしまう。それって吉長さんの原体験とすごく繋がっていますね。それは第一回で言われていたように、自分でしかできない、GIFでしか表現できない新しい手法を作ってみたいということが関係しているのでしょうか。
吉長 そうですね。もともとは面白い動画を誰もやっていないような手法で撮りたいという思いがありまして。 その一つとしてこういった作品も面白いのではないかと思っています。
ーー 吉長さんの作品の根底には誰もとったことのない面白いものを創りたいという思いがあったんですね。現在の制作にたどり着くまでになにか苦労はありましたか?
吉長 今現在でも苦労し続けていますね。まだ自分の現状に満足できているわけでもありませんし、今の作風に落ち着いたというわけでもありませんので。それに、人生のうちで100のことを達成するとしたら、まだそのうちの0.5くらいまでしかやれていないのかもしれませんしね。人間いつ死ぬのかもわかりませんし、ひょっとしたら今のまま死んでしまうのかもしれない。まだまだ新しいことに挑戦していきたいです。
ーー 来週(1月14日[水])は「【第3回】「死と再生」立体写真の裏にある創作哲学。と題し、吉長さんの創作哲学をお伺いします。
執筆:Creator’s MAGAZINE編集部
クリエイター:吉長博
フリー映像クリエイター。東京を中心に活動。動く立体写真GIFはGIFアニメコンテスト「theGIFs」で、アート部門賞を獲得。アクション映画好き。落語好き。SF好き。洋楽好き。立体写真好き。
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