そこはかとなく好奇心を刺激するクリエイターの秘密基地。

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【第3回】「プレゼン苦手」は克服できる モーショングラフィックス・スタジオ TO-FU 分かりやすく伝わる秘訣

   

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データなどの情報をもっと分かりやすく伝えたい、スライドを用いるだけではなく印象に残るプレゼンテーションをしたい…そんな願いはモーショングラフィックスによって叶うかもしれません。モーショングラフィックスとは、文字やイラストに動きを与えた動画。複雑で分かりにくい情報を簡単に分かりやすく伝えられることから、企業が積極的に活用し始めています。今回、モーショングラフィックスを専門に制作する、日本ではまだ数少ないデザインスタジオであるTO-FUにお話を伺いました。どうすれば分かりやすい説明を作り出せるのか?そのヒントを全3回で連載します。

(執筆:CREM編集部 丸山亜由美)

クリエイター :TO-FU (大森 聖+大森 かずえ)

 
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モーショングラフィックス制作をメインに活動する日本のデザインスタジオ。札幌に拠点を置き、国内外を問わず多数の企業や官公庁などのクライアントと提携する。建築出身の強みを生かして、リアルな空間におけるモーショングラフィックスの活用を積極的に提案。特にデジタルサイネージへの導入は、空間デザインまでを含めたプランニングに定評がある。直近では、日本最大級の100台連続デジタルサイネージである「シリーズ・アド・ビジョン名古屋」を手がけた。TO-FUはTO FUTUREに由来。

TO-FU:http://to-fu.tv

【第3回】「プレゼン苦手」は克服できる モーショングラフィックス・スタジオ TO-FU 分かりやすく伝わる秘訣

 
第3回目は、話題のデジタルサイネージやモーショングラフィックスの未来に注目します。新しい技術はいかに分かりやすさを作り出し、私たちの世界をどう変えてゆくのでしょう?

デジタルサイネージ:屋外・店頭・公共空間・交通機関など、あらゆる場所で、ネットワークに接続した平面ディスプレイやプロジェクターなどの電子的な表示機器を使って映像や情報を発信するシステム。

7:映像が空間を作り出す、デジタルサイネージの可能性

 

−−JR名古屋駅・中央コンコースにある、日本最大級の100台連続デジタルサイネージ「シリーズ・アド・ビジョン名古屋」。TO-FUはこちらのモーショングラフィックスを手がけていらっしゃいますね。

TO-FU約200mのコンコースに渡って柱型にデジタルサイネージが並んでいる空間です。基本的には広告媒体としての役割がメインなのですが、常に広告だけが放映されると飽きられてしまうので、広告の合間に流れるモーショングラフィックスを活用したコンテンツのアイデアはないか?と依頼されたのがきっかけです。」

−−一歩一歩進むごとに新たなシーンに出会う。画面と次の画面に距離はありますが、映像の世界に入り込んだ感覚になりますね。

TO-FUまず現地を歩いてみて、何が一番効果的かなと考えました。コンコースは基本的には人が歩く場所で、定点に立って映像を見続けるわけではないです。そこで、歩いているときに何か変化したり追従するような動きを作ることにしました。映像を時間差でちょっとずらす、向こうから迫ってくるように見せるなど、この空間を最大限に生かすコンテンツになったと思います。実際に歩いてみると、多少ですが没入感を感じるのではないでしょうか?」

−−オリンピックの影響も受けつつ、デジタルサイネージの活用はますます加速してゆきそうですね。

TO-FU「2020年に向けて、今後さらにサイネージは盛り上がっていくのではないかと。言葉だけではなくビジュアルで伝えるコンテンツも必要とされると思います。現状サイネージはまだハード寄りの世界に感じているので、空間の中でどのように映像を活用するかを考えていきたいです。もっと建築家などと協働して空間をプロデュースしていきたいですね。映像コンテンツと空間を繋げる仕事、実はそれが僕たちの一番の強みだと思っています。」

−−広告や案内表示に留まらず、空間における映像とどうインタラクティブな関係を作ってゆくか…ここに新たなビジネスチャンスが生まれるように思います。

9:双方向性のスターター、ジェスチャーコントロール

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−−様々なデジタルコンテンツを制作しているTO-FU。そのクライアントも多岐に渡りますね。

TO-FU「先ほどのデジタルサイネージ関連でいえば、都市型フィットネスクラブ、ティップクロスTOKYO池袋店の「Functional Training Tour」というコンテンツを制作しました。館内を周りながら様々なメニューを体験して、体を作り上げていくプロセスをビジュアル化しています。建築の図面的な要素もあって僕たち的にも作って楽しいプロジェクトでした。」

−−フロアごとにどんなエクササイズを体験できるのかが分かりますね。どんな順番でどんなメニューをこなせば、どう体が変わるのか。それが具体的にイメージできます。

TO-FU「ディスプレイは室内だけでなく、外壁にも使用することができます。札幌にあるリペアショップ「シュリーの店大通地下店」の新築工事で、小さな店舗のファサードディスプレイのコンテンツを制作しました。これは建築の設計段階から関わることができた貴重なプロジェクトでした。当初はファサード全体をプロジェクターで投射して、変容する建築をつくるという計画でしたが、いろいろ規制などあり実現には至りませんでした。いつかはやってみたいと思っています。」

−−お店の外壁を情報発信のツールにできてしまうんですね。さらには、ABCクッキングスタジオともお仕事をされていらっしゃるとか?

TO-FU「これは、少しお手伝いさせていただいたプロジェクトで、純粋なモーショングラフィックスとは違うのですが、ジェスチャーコントロールという技術によって、タブレットに流れる料理のレシピ動画を手のジェスチャーによって一時停止や再生、巻き戻しなどを制御します。料理中で手が汚れていると、タブレットに触れることができませんよね?手を動かした時、タブレットが動きを認識したかどうか、そして次にどのような操作が行われるかをディスプレイに表示する必要がある。そのあたりのインターフェースのデザインはモーショングラフィックの領域になるのではないかと思っています。」

−−ボタンやスイッチ、画面を押すという行為が、自分の手の動きに取って代わる。これがジェスチャーコントロールなんですね。未来のキッチンやリビングにはリモコンが無いかもしれません。

10:モーショングラフィックスとTO-FUの未来

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−−モーショングラフィックスやデジタルサイネージによって、これからの世界はどう変わってゆくのでしょうか?

TO-FU「例えば、すでにNYのタイムズスクエアは建物全体が広告になっていて、映像が風景の一部になっています。そして、近年IoTという言葉が浸透しつつありますが、身近な生活シーンやモノにも映像がごく自然にアタッチされていくのではないでしょうか?自然と周囲に映像が溶け込む世界。例えば道路標識のように普段誰も意識はしないけど、なければ困る。サイネージや映像が、そういうところまで行くのが理想の世界ですね。そこに僕たちのコンテンツが、さりげなく流れている。」

−−デジタルイメージの技術的な面は、どのように進歩してゆくでしょうか?

TO-FU「ひとつ考えられるのは、プログラミングと融合したインタラクティブなコンテンツが増えてくるとは思います。今はまだ一方的に流れるだけのことが多いので、双方向になってより面白いものになるでしょう。しかし、ネットとコンピューターの進歩は著しいので、これからどんどん革新的な技術が生まれてくると思います。5年後、10年後にどのような世界になっているかは正直読めないけれど、常に最先端の技術を追求しながら成長していく。それが今の仕事の面白いところかもしれません。」

−−どんどん映像との距離が縮まっていきますね。パワーポイントによるプレゼンテーションが過去のものになる日が来るのでしょうか?

TO-FU「プレゼンを全部動画にしたいとは思うんですが、なにせ制作に時間がかかりすぎて…今は自分もパワポです(笑)。うまくモーショングラフィックスをテンプレート化して、アプリを展開することはできるかなとは思います。それは僕たちだけで作るのは難しいので、一緒にシステム開発していただける方を募集中です。前述したジェスチャーコントロール技術を取り入れれば、よりスタイリッシュなプレゼンになりそうですよね。」

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−−どのように取り組めば、自分の好きなことを仕事にして勝負ができるようになりますか?

TO-FU「ちょっと先を見ながら、たとえば3年後にはどのような世の中になっているかを考えて、何を続けるべきかの選択をすることでしょうか。決めたらとにかく自信をもってやり続けることが大切です。あとは、人とのつながりを大事にすることでしょうか。僕たちもいろいろな人との出会いから仕事をいただくチャンスが広がり、クリエイティブな作業に集中する環境を作り出すことができました。」

−−では最後に、TO-FUの今後の抱負を教えてください。

TO-FU人の役に立つ、一過性で終わらないコンテンツを作っていきたいと思っています。先ほども話したように、さりげなく流れているという感じがいいですね。後から、あれはTO-FUが作っていたのかとわかってもらえるような。それと、映像を活用したリアルな空間作りにもシフトしていきたいです。後、余談ですが、旅をしながら仕事ができたら幸せだと思っています。北海道に住んでいてもネットを活用すれば、不自由なく仕事ができてますし、海外滞在中も時差以外は特に問題ありませんでしたよ。場所に関係なく仕事ができると実感しています。旅をすることでクリエイティブ脳が刺激されますよね。もちろんグローバルに仕事をしていきたいと思っています。」

−−TO-FU発の ‘分かりやすさ’ が、次はどの国境を越えてゆくのか…今後の作品も楽しみにしております。

何かを分かりやすく伝えることを考えたとき、自分が話して伝えることだけが全てではありません。グラフィックによってその情報を整理し、それらに動きを与えることで時間の流れや量の変化を明確に見せることができる。もしも今までプレゼンテーションが苦手だったとしたら…モーショングラフィックスがあなたの苦手を一気に引き受けてくれることでしょう。

(執筆:CREM編集部 丸山亜由美)

 

クリエイター :TO-FU (大森 聖+大森 かずえ)

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モーショングラフィックス制作をメインに活動する日本のデザインスタジオ。札幌に拠点を置き、国内外を問わず多数の企業や官公庁などのクライアントと提携する。建築出身の強みを生かして、リアルな空間におけるモーショングラフィックスの活用を積極的に提案。特にデジタルサイネージへの導入は、空間デザインまでを含めたプランニングに定評がある。直近では、日本最大級の100台連続デジタルサイネージである「シリーズ・アド・ビジョン名古屋」を手がけた。TO-FUはTO FUTUREに由来。

TO-FU:http://to-fu.tv

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