そこはかとなく好奇心を刺激するクリエイターの秘密基地。

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第20回「不思議なキャラクターが印象に残るポップなgifアニメーション」

      2017/09/05

オギheader20

GIFアニメーションの可能性-ニッポンのクリエイター

デジタルの動画技術としては古いと言われながらも、近年その魅力が見直されているgifアニメーションの可能性を探る本シリーズ。第10回までは特に“和”をテーマに様々なgifアニメーションを紹介してきました。11回以降は、日本人クリエイターという事にはこだわりつつ、自由で多彩なテーマやスタイルのgifアニメーションをご紹介します。

今回は、おおぐりさちこさんのgifアニメーション作品です。

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おおぐりさちこさんは、2013年から2015年にかけてイギリス・ロンドンのミドルセックス大学イラストレーション学科でイラストを学ばれ、同大学を卒業後は東京でフリーランスのイラストレーターとして活躍されています。ロンドンで学ばれている頃から展示会やイベントなどで作品を発表されているおおぐりさん。2017年は4月にL’illustre Galerie LE MONDE(ギャラリー・ルモンド)でグループ展「PWEI -Pop will eat itself-」を開催、また5月には東京ビッグサイトで行われた「DESIGN FESTA VOL.45」に参加されるなど、積極的に活動されています。

(Drunk(酔う)for the group exhibition PWEI)

(Drunk(酔う)for the group exhibition PWEI)

※DESIGN FESTA VOL.45に出展されたステッカー等のグッズ

※DESIGN FESTA VOL.45に出展されたステッカー等のグッズ

さて、おおぐりさんの作品ですが、少し懐かしさも感じるポップな絵柄が手軽に作成できるgifアニメーションと相性が良いように感じました。動きもスムーズかつ軽やかですね。

そして今回、おおぐりさんのgifアニメを取り上げるにあたり目を引いたのが、冒頭でご紹介したジョッキーに扮しているキャラクターです。このキャラは他のgif作品にも度々登場していますので以下にいくつかご紹介しましょう。

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冒頭の競馬モチーフの作品だけを見た時には少し髪が長めの男性かと思いましたが、ご覧頂いた通り、他の作品では明らかにワンピースを着ていますし、関取が踏むしこで飛び上がる作品では女性らしい胸も描かれています。髭を生やした女性ということなのでしょうか。見れば見るほど不思議がキャラクターですし、純粋なgifアニメ作品としてもユニークで何となく目が離せなくなってしまう魅力を感じました。そこで、この不思議なキャラクターについてコンセプトや設定などがあるのかどうかを、おおぐりさんご本人に質問させて頂きました。

プロフィールでもご紹介した通り、おおぐりさんは2013年~2015年の約3年間ロンドンの大学に通われていましたが、その頃にLGBTのご友人たちと交流をされたことをきっかけに、髭の生えた女性という不思議なキャラクターが誕生したそうです。LGBTというのは、Lesbian[レズビアン](女性の同性愛者)、Gay[ゲイ](男性の同性愛者)、Bisexual[バイセクシャル](両性愛者)、Transgender[トランスジェンダー](性同一性障害を含む性別移行)の頭文字を取ったもので、性的少数者とも言われている方々を総称、あるいは象徴する言葉です。日本でも聞かれるようになってのではないでしょうか。おおぐりさんはイギリスでLGBTのご友人と接し、女性らしさや男性らしさとはどういうものか、ご自身にとって性別というのは何かということを考える機会が増えたそうです。そんな中で、おおぐりさんの言葉をお借りすれば“性の固定観念に捕らわれたくないけれど、捕らわれている自分であって自分ではないもの”を表現するキャラクターとして登場させたのが、この髭の生えた女性でした。おおぐりさんは、ご自身の作品のテーマについての考え方や心情を相手に伝える為に、時々この髭の女性のキャラクターをご自身の代弁者として登場させているそうです。

この独特のキャラクターが誕生したいきさつ、そしてこのキャラクターに託された思いや与えられた意味など、おおぐりさんから頂いたご回答はとても興味深いものでした。キャラクターについてのバックボーンを知った上で、改めて今回ご紹介しているgifアニメを見てみると、性別だけでなく年齢も作品によっては子どものようであり、大人のようでもあるように思えてくるので不思議です。また、人間にとっての性とは何かというおおぐりさんの複雑な気持ちや自問自答を表現したメッセージ性の強いキャラであるはずなのに、おおぐりさん独特のポップなタッチで描かれていることで、純粋なgifアニメとしてみれば、何故か髭を生やした女性(少女)が登場するユーモラスな作品として楽しめるという2面性が面白い作品だと思いました。

おおぐりさんがこのキャラクターを登場させるきっかけにもなった、LGBTに代表される性的少数者とも呼ばれる人々については、タレントなどある程度の地位を確立する人々が増えたことで、日本でも理解が進んできているように思いますが、海外に比べるとまだまだ遅れていると言えるでしょう。悲しい差別や偏見が少なからず存在することも事実です。今回ご紹介したおおぐりさんのgifアニメーションは、こうしたデリケートで難しい問題をユーモラスに描かれた不思議なキャラクターを通じて身近に考えさせてくれるものだと感じました。

おおぐりさんのその他の作品や情報については、公式サイトで見ることができますのでぜひご覧ください。

 

取材させていただいたクリエイター・WEBサイト

Sachiko Oguri illustration(公式サイト)
http://sachikooguri.com/index.html

Sachiko Oguri(ブログ)
https://sachikooguri.tumblr.com/

執筆者:小木奏英

オモロイモンをこよなく愛する生粋の関西人。音楽系法人、小学校、法律事務所勤務を経て、なぜかエンタメまわりのライターに。座右の銘は「明日は明日の風が吹く」

第11回「フェルト人形を使ったストップモーションgifアニメーション」

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