そこはかとなく好奇心を刺激するクリエイターの秘密基地。

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第19回「アナログとデジタルが融合した遊び心のあるgifアニメーション」

      2017/06/30

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GIFアニメーションの可能性-ニッポンのクリエイター

デジタルの動画技術としては古いと言われながらも、近年その魅力が見直されているgifアニメーションの可能性を探る本シリーズ。第10回までは特に“和”をテーマに様々なgifアニメーションを紹介してきました。11回以降は、日本人クリエイターという事にはこだわりつつ、テーマやスタイルはより幅広いところから作品をご紹介しています。

日本人クリエイターにこだわりつつ、日本らしい作品はもちろん、自由で多彩なテーマやスタイルのgifアニメーションをご紹介しているシリーズ。今回は、酒井マオリさんのgifアニメーション作品です。

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酒井マオリさんは1988年生まれ。桑沢デザイン研究所を卒業され、現在、書籍「ハンドメイドで夢をかなえる-本気で売るために実践すること-」(著:田中正志 翔泳社)や、「GINZA」(マガジンハウス)、「LaLa Berin」(世界文化社)をはじめとする各種雑誌でイラストを手掛けるなど、フリーランスのイラストレーターとしてご活躍です。また、公式サイトでも多くの作品を発表されています。

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イギリス留学中にgifアニメーションに興味を持たれたという酒井さんは、イラストレーターとして様々なイラストを手掛ける傍らでgifアニメ作品も精力的に制作されており、近年、デザイン事務所SAGA INC.(http://sagainc.co.jp)の年賀アニメを制作されるなど、クリエイターとして活動の幅を広げられています。今回は、ご自身のサイト(http://maorisakai.com/)で発表されているgifアニメ作品の中からいくつかご紹介します。

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酒井さんのgifアニメーション作品は、オーソドックスなループ系のものからシネマグラフ(写真の一部分だけを動かすアニメーションの手法の1つ)の様に静かで深い印象が残るものまで多彩ですが、その特徴はアニメーションの元になるイラスト(静止画)の作風によるところが大きいでしょう。鉛筆で繊細に描かれた酒井さんのイラストは、柔らかさを感じさせるタッチと全体的に抑えられた落ち着きのある優しい色合いで、見る者をリラックスさせてくれるような雰囲気があります。そんな酒井さんのイラストに動きが加わることで可愛らしさやユーモアがプラスされ、より魅力的になっていると感じます。

特に、今回ご紹介している花屋で花を選んでいる人物の周囲に蝶が舞っている作品や、冒頭の「LAZY SATURDAY MORNING and COFFEE」などは、手書きならではの風合いと“動画と静止画の間”とも言われるシネマグラフ特有の不思議な視覚効果を与える表現手法の融合によって、大きな動きや強いインパクトが無くてもじわじわと印象に残る作品に仕上がっているように思いました。酒井さん自身も、gifアニメーションに特化した海外の検索エンジン「GIPHY」のインタビューの中で、gifアニメ作品を制作する過程について、紙に鉛筆でデザインを描きそれをスキャンしてからフォトショップなどのソフトを使ってgifアニメーションを完成させていると答えているのですが、その理由としてアナログとデジタルの融合が好きだからとコメントされています。

また、「GIPHY」の同インタビューの中で、インスピレーションはどこで見つけるのかという問いには、場所、四季、人々、そしてコーヒーやチョコレートなど、自分の人生からインスピレーションを得ていると答えた酒井さん。その言葉通り、作品の多くはイラスト、gifアニメ共にコーヒーやカフェ、雑貨、窓からの風景など身近なものがモチーフになっています。特にコーヒーに関しては描かれているものが多く、今回最後にご紹介した5つのコーヒーカップが描かれている作品は、海外のデザインサイト「iGNANT」のイラストで答えるインタビューシリーズで、余暇は何をしているのかという問いに対して示されたものでした。本当にコーヒーがお好きだということが伝わってくる、楽しい作品です。

ちなみに余談で恐縮なのですが、個人的には今回ご紹介している魔法の絨毯のように浮いているラグマットで人物がうたた寝をしている作品が、酒井さんのgifアニメーションの中で一番のお気に入りです。日常風景にメルヘンやファンタジーの要素がスパイスのように効いている世界観が面白く、ふわふわとした浮遊感が本当に気持ち良さそうで、見ていてホッとできる素敵な作品だと思いました。酒井さんの作品について今後も注目していきたいです。
今回ご紹介した作品に限らず、酒井さんのgifアニメーションは何気ない風景の中にある素朴な美しさや、身の回りにあるちょっとした幸せなどがとても魅力的に表現されていて、日常に溢れている小さな喜びや楽しさに改めて気付かされた気持ちになりました。公式サイトには今回ご紹介した作品以外にも、遊び心のある印象的なgifアニメーションが数多く発表されていますので、ぜひご覧頂きたいです。

 

取材させていただいたクリエイター・WEBサイト

「GIPHY」インタビュー:https://giphy.com/posts/artist-interview-maori-sakai/
「iGNANT」インタビュー:https://www.ignant.com/2014/12/05/animated-interview-with-maori-sakai/

Maori Sakai(公式サイト)
http://maorisakai.com/

Maori Sakai(ブログ)
http://maorisakai.tumblr.com/

執筆者:小木奏英

オモロイモンをこよなく愛する生粋の関西人。音楽系法人、小学校、法律事務所勤務を経て、なぜかエンタメまわりのライターに。座右の銘は「明日は明日の風が吹く」

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