そこはかとなく好奇心を刺激するクリエイターの秘密基地。

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第16回「漫画作品を強く印象づけて、世界観を広めるgifアニメーション」

      2017/05/24

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GIFアニメーションの可能性-ニッポンのクリエイター

日本人クリエイターにこだわりつつ、日本らしい作品はもちろん、自由で多彩なテーマやスタイルのgifアニメーションをご紹介しているシリーズ。今回は、漫画やイラスト制作で活躍されているフリーランスのクリエイター、スケラッコさんのgifアニメ作品をご紹介します。

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スケラッコさんは名古屋出身で、多摩美術大学グラフィックデザイン学科を卒業後、京都の会社にデザイナーとして就職されます。その後、2013年からフリーランスのクリエイターに転身。京都を拠点に漫画やイラスト、アニメ、そして刺繍作品の作成で活動されています。

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主な作品としては、2016年7月11日に単行本が発売された「盆の国」や、ご自身のwebサイトや漫画雑誌「いただきます幸せごはん」(芳文社)に掲載されている「しょうゆさしのなんとなクッキング」があります。

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その他、KBS京都「おうちごはん物語」のキャラクター及びアニメーションを担当されるなど、そのご活躍は多岐にわたります。また、スケラッコさんデザインのTシャツやシール、ラインスタンプなどオリジナルグッズも、web shopおよび京都をはじめ、大阪、愛知、東京などの雑貨店や書店で発売されています。

さて、ここまでもいくつかgifアニメーション作品を挙げさせて頂きましたが、今回ご紹介させて頂きたいのは、スケラッコさんの代表作である漫画「盆の国」に関連した作品です。

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(「盆の国」単行本表紙 web告知用gifアニメーション版)
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(「盆の国」最新話掲載告知と共に公開されたgifアニメーション)
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(webサイトに掲載「秋としじみ」)

「盆の国」は、お盆の間だけご先祖様の姿がみえる主人公・秋(あき)が中学最後の夏休みに体験した不思議な冒険が描かれています。些細なきっかけで親友と気まずい雰囲気になってしまった秋は、その親友と顔を合わせる事に不安を覚えて「このままずっとお盆だったらいいのに…」と妄想するのですが、なぜかそれが現実となってしまうのです。お盆が繰り返されていることに誰も気づいていない町の中で、秋はただ一人、原因や謎を探るために奮闘します。

この作品は第2話まで「トーチweb」で公開されているのですが、続きが気になって電子書籍版を購入して最後まで読ませて頂きました。この世を去った者を身近に感じることができるお盆という日本独特の風習を、ご先祖の姿を見ることができる主人公・秋が体験した生者と死者との不思議な交流を通じて、切なくそして暖かく描いている作品だと感じました。多感で繊細な年頃の秋が、“お盆”に閉じられた世界で悩みながらも成長していく姿が印象的で、静かな余韻の残る読後感も良かったです。また、スケラッコさんの描くふんわりとした柔らかいタッチが、あの世とこの世が曖昧になったようなお盆の町の世界観にとても合っていると感じました。

さて、今回ご紹介しているgifアニメーションはこの「盆の国」が題材になっています。「盆の国」はwebマガジンで連載されていましたが、先にご紹介したように単行本(紙媒体)で発売されている通常の漫画作品ですから、当然、本編は全て静止画で描かれていて、アニメーション的な動きはありません。そうした本来静止画で表現されている作品が、ちょっとした動きでもアニメーションになることで、印象は大きく違ってきます。そうした意味で最も印象的な作品が、単行本表紙をgifアニメーションにした作品です。ちなみに、単行本の表紙(静止画)はこちら。

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こちらを見たあとにgifアニメーション版を見ると、静止画として切り取られた場面に広さと奥行きが生まれ、真ん中に立つ主人公・秋(右)たちの周りに描かれている「おしょらいさん」(物語の中での呼び名。お盆の時期にあの世から帰ってくるご先祖様のこと)たちの存在感がより際立っています。静止画では姿の無かったおしょらいさんも現れていて、個人的には、窓辺で大きな欠伸をしているおしょらいさんと、キュウリの馬に乗って颯爽と通り過ぎるおしょらいさんがお気に入りです。おしょらいさんの多くはどことなく動きがコミカルで、あの世の存在でありながら生き生きとして見えるのが微笑ましくもあり、gifアニメーションにすることで、この物語の不思議な世界観が端的に表現されていると感じました。

物語の世界観や雰囲気を伝えるという意味では、その次の最新話の告知と共に掲載されていたgifアニメーションも同様で、これはクライマックスの第7話が更新された際に、告知と共に掲載されていたものです。不穏で緊迫感のある雰囲気が伝わるgifアニメだと思います。これは、読んだ後だからこそ感じることですが、実際に読む以前から、柔らかい絵柄とは対照的に重く張り詰めているなという印象はありました。

「盆の国」は、webマガジンに連載されており、第2話までは無料で読むことができます。私がこの物語を最後まで読んでみたいと思ったのは、もちろん、試し読みができたこともありますが、“web連載”ならではのgifアニメーションを使用した告知などによって、物語の世界観や雰囲気がより印象に残っていたことも、間違いなく理由の1つになりました。

そして、3つ目の「秋としじみ」は主人公の秋が彼女の愛猫である「しじみ」に頬ずりするようなしぐさでじゃれているもので、こちらは、ここまでに紹介させて頂いた2つの作品とは違い、本編を読んでからの方がより楽しめる作品でしょう。もちろん、「少女と猫」という純粋なgifアニメーション作品としても、スケラッコさん特有のしなやかなタッチと流れるように滑らかな動きが魅力の良作だと思います。ただ、「盆の国」を読んだ後に改めて見れば、少女と猫には「秋」と「しじみ」という個性が生まれ、両者の絆や関係性などの背景を知った上なので、尻尾を振りまくるしじみの動きもより愛らしく感じました。漫画作品の単行本では、巻末や表紙を外した単行本の本体の表裏におまけのような4コマ漫画や、イラストが描かれていることがありますが、「秋としじみ」はそうしたプラスアルファを静止画ではなくgifアニメーションで表現したものだと、「盆の国」読者としては感じました。

現在、通常の単行本に加えて電子書籍やweb連載の作品が増えてきています。そうした中で、漫画作品をweb上でアニメーションとして動かすことでより魅力的に見せるための方法として、取り組みやすく工夫次第で表現の幅も広がるgifアニメーションが、非常に相性の良い技法だと言えるのではないでしょうか。今回ご紹介したスケラッコさんのgifアニメーション作品は、その優れた例だと思いました。

 なお、今回ご紹介した作品をはじめとするスケラッコさんのgifアニメーション及びイラストレーション作品は以下のサイトで公開されていますので、ぜひご覧ください。

 

取材させていただいたクリエイター・WEBサイト

スケラッコ.com
http://www.sukeracko.com/

sukeracko(tumblr)
http://sukeracko.tumblr.com/

スケラッコの日記(ブログ)
http://d.hatena.ne.jp/sukeracko/

Instagram
https://www.instagram.com/sukeracko/

Twitter
https://twitter.com/sukeracko

執筆者:小木奏英

オモロイモンをこよなく愛する生粋の関西人。音楽系法人、小学校、法律事務所勤務を経て、なぜかエンタメまわりのライターに。座右の銘は「明日は明日の風が吹く」

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