そこはかとなく好奇心を刺激するクリエイターの秘密基地。

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第13回「優しい作風と滑らかな動きが魅力のオリジナルgifアニメーション」

      2015/12/08

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GIFアニメーションの可能性-ニッポンのクリエイター

デジタルの動画技術としては古いと言われながらも、近年その魅力が見直されているgifアニメーションの可能性を探る本シリーズ。これまでの10回は特に“和”をテーマに様々なgifアニメーションを紹介してきました。
今回からは、日本人クリエイターという事にはこだわりつつ、テーマやスタイルはより幅広いところから作品をご紹介していきたいと思います。

今回は、日本最大級のgifアニメコンテストである「the GIFs -Award of GIF creator- 2015」に応募されているクリエイターの中から、軍司拓実(コンテスト応募名:Takumi Gunji)さんの作品をご紹介します。
(※「the GIFs」に応募された作品には、応募時のコメントも下部に記載しています)

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「Gears」一つカバーを外すとこうなってます ロボットも生きてます

まずは、gifアニメコンテスト「the GIFs -Award of GIF creator-」についてご説明しましょう。世界的コンピュータ・ソフトウェア会社の日本法人であるアドビシステムズ株式会社と、当サイト「CREM」やgifアニメコミニティサイト「GIFMAGAZINE」を運営する株式会社creative boxが共同で開催している日本最大級のgifアニメーションコンテストです(現在、作品の応募期間は終了しています)。世界に“おもしろい”“たのしい”“うつくしい”を発信するgifアニメを世に送り出し、人の感情を動かすクリエイターを応援する祭典と銘打つこのコンテストは、最優秀賞のほか、アート部門賞やシネマグラフ賞など各部門賞も用意されていて、プロ・アマ問わずgifクリエイターにとって大きなチャレンジの場となっています。

その「the GIFs」2015に応募した軍司拓実さんは1995年生まれで、現在、武蔵野美術大学基礎デザイン学科に在籍されています。ご自身のwebサイト「TAKUMI GUNJI」では、「the GIFs」2015に応募されたgifアニメ作品をはじめイラストや写真、ムービーなど様々なジャンルの作品が公開されています。中には、武蔵野美術大学が携わっている新潟市西浦区のイベント「わらアートまつり」で市民と協働で作成したわらアート(立体造形物)なども紹介されており、多彩な創作活動にも参加されています。
また、2015年からはグループ展も開催されており、大学で学びながらご自身の作品を発表される事にも力を入れられています。

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「虫絵」(illustration)

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「わらザウルス」(わらアートまつり)

さて、軍司さんは「the GIFs」2015に複数の作品を応募されていますが、制作されているgifアニメ作品のモチーフの多くはロボットたち。ブロック玩具「LEGO」に出てきそうなものや、昔ながらのブリキおもちゃを思わせるものなど、少し懐かしさを感じるデザインが特徴的です。また、ロボット以外のモチーフもデフォルメされたデザインの愛嬌のあるキャラクターばかりです。

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「descend 」-ロボはゆらゆらどこまでも落ちていきます 胸のメーターがポイントです

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「walk」

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「dog walking 」-ある日の公園で実際に目にした光景です きっとこれでも散歩です

傘をパラシュート代わりにして赤いロボットが空を落ち続けている「descend 」(「降下する」という意味)は、ゆらゆらとした不安定な動きが絶妙で、心地よい浮遊感が見ているとクセになりそうです。また、ご自身のコメントにもあるように、胸にあるメーターの針の不規則な揺れも自然で、ロボットがふんわりとのんびり落ちてくる感じが見事に表現されています。黄色い空にロボットの赤いボディが映えて、明るい雰囲気なのもいいですね。ちなみにですが、ロボットがモチーフの作品の中では個人的に一番好きな作品です。
「descend」に登場したロボットよりも、さらにシンプルなフォルムのロボットがひたすら歩き続ける「Walk」は、軽快かつ滑らかなウォーキングが巧みに表現されています。特に、ボディに対してアンバランスとも思える細い両手足は、よく見てみると肘や膝などの関節を意識した繊細な動きになっている事がわかる、とても奥深い作品です。全体的な雰囲気は、カラフルな「descent」とは対照的にグレーを基調としていて少々地味な印象があるかもしれませんが、手先や目の黄色が良いポイントになっています。目だけなので表情は無いに等しいですが、ピコンと動く頭のアンテナがキュートです。
そして「dog walking 」は、コメントにもあるように実際に目撃した光景を、コミカルなgifアニメで表現された作品です。散歩中にうっかり飼い犬のリードを手放してしまったおじいさん。前を行く犬に追いつけそうで追いつけない-そんな感じでしょうか。やや焦点の定まらないおじいさんの表情からバテ気味な様子が伺えます。そんなおじいさんの様子をすました表情で見ながら、スタスタ進む犬との対比も面白いです。
動きの方に注目すると、簡素に前後させている犬の足の動作と比べるとわかりやすいと思いますが、おじいさんの後方に蹴った足の膝が最後に少し曲がっています。「Walk」のロボットの足の運びと同様に、関節が意識されている動きになっているのです。このちょっとした工夫でおじいさんが一生懸命走っている感じがより表現されているように思いました。また、なびくリードの動きが作品全体のアニメーション(動き)の中で、良いアクセントになっています。

軍司さんが制作したgifアニメ作品について個人的に感じたのは、ポップでどこか優しい印象があるという事です。それは、gifアニメ作品のモチーフとなっているロボットやキャラクターたちのデザインや配色によるところが大きいでしょう。デフォルメされたシンプルなデザインのキャラクターたちはgifアニメーションとも相性が良く、愛嬌たっぷりでとても魅力的です。そして、全体的にパステル調の色彩が、作品全体に柔らかさをプラスしているように思います。個人的には、「dog walking 」のおじいさんの表情と金平糖のような髪形が面白くて印象に残りました。また、「Gears」のロボット(真っ黒なボディにショッキングピンクのハート)や「dog walking 」の犬(ピンクの身体、紫の鼻)などは、大胆な配色でも目を惹かれました。
また、軍司さんのデフォルメされたデザインは作品の個性になるというだけではなく、極力シンプルにデザインする事で使用する色の数が抑えられ、gifアニメの弱点である、最大256色しか使えないという制限をうまくカバーしているとも感じました。
アニメーションの動きとしては、比較的単純で同じ動きがループしているように見えて、その中に細やかな工夫がなされていたり、アニメーションの1つ1つは単純な動きでも、それを組み合わせることで、絶妙な不規則(不均等)を表現されていたりと、じっくり見ていると色んな事に気付かされます。個人的に驚いたのは、既述ですが「Walk」のロボット、そして「dog walking 」のおじいさんの足の動きです。膝関節が意識された繊細なものでとても感心させられました。

プロフィールでご紹介した通り、軍司さんはこれからが期待される若手のクリエイターです。今後、どのような方面でどのような活躍をされていくのか期待されます。今回応募された「the GIFs」2015でも、どのような評価を受けられるのか注目したいと思います。

尚、軍司さんの作品は下記に記載のご自身のサイトで公開されていますので、ぜひご覧ください。

 

取材させていただいたクリエイター・WEBサイト

TAKUMI GUNJI
http://guntaku.weebly.com/

執筆者:小木奏英

オモロイモンをこよなく愛する生粋の関西人。音楽系法人、小学校、法律事務所勤務を経て、なぜかエンタメまわりのライターに。座右の銘は「明日は明日の風が吹く」

第11回「フェルト人形を使ったストップモーションgifアニメーション」

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