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第7回「東京都23区の区章をテーマにしたポップなgifアニメーション」

      2015/04/27

第7回「東京都23区の区章をテーマにしたポップなgifアニメーション」

連載:GIFアニメーションの可能性-和の融合-

近年、様々なウェブサービスやアプリなどの登場によって、誰もが気軽にgifアニメーションを作成できるようになり、改めて注目が集まっています。たとえ、デザインやグラフィックに関して高度な技術がなくても、素材や見せ方、アイディア次第で魅力的な作品を生み出す事ができるgifアニメーション。そんな、まだまだ可能性を秘めたgifアニメーションを、様々な視点から紹介していきたいと思います。

“和”をテーマに、様々なgifアニメーションを紹介するシリーズも第7回目になります。

第1回目から第5回目までは、和風という事にこだわり日本の伝統文化を題材にした作品をご紹介してきましたが、前回は「東京」をテーマに「東京(TOKYO)」のタイポグラフィ(活字)をモチーフにしたオリジナルgifアニメーションをご紹介しました。今回は、その東京都の23区の区章(区の紋章)をモチーフにした作品をご紹介します。

映像作家のUKYO Inabaさんが2012年6月に発表された「TOKYO 23」です。

いかがでしょうか。「東京都23区の区章」をgifアニメーション化した1つの作品でありながら、同時に各区章それぞれを個別のgifアニメーション作品として楽しむ事もできるgifアニメーション集でもあります。

今回ご紹介したこれらのgifアニメーションを制作したUKYO Inabaさんはフリーランスの映像ディレクターで、gifアニメーションだけでなく、3DCGやプログラミング映像、実写、手描きなど様々な映像制作を手掛けられています。また、グラフィックデザインやイラストレーション、ミュージックデザインなど幅広く活躍されているマルチなクリエイターでもあります。最近手掛けられた作品としては、日本のロックバンド「amazarashi」の楽曲「季節は次々死んでいく」のミュージックビデオの監督を務められました。この曲は2015年1月から3月まで放送されていたテレビアニメ「東京喰種 トーキョーグール√A(ルートエー)」のエンディングテーマ曲として注目された人気の楽曲です。

さて、東京都23区に限らず全国の都道府県には都道府県章と呼ばれる紋章(シンボルマークとは別)があります。ちなみに、東京都の都章はこちらです。

Flag_of_Tokyo_Prefecture.svg

そして各市町村にも市町村章があります。マンホールや消火栓、都道府県や市町村の境にある道路標識などに描かれており、普段から目にする機会は意外に多いはずなのですが、身近な割にはあまり意識することはないように思います。まして、デジタルアートやgifアニメーション作品のモチーフになるとは、想像もつかないのではないでしょうか。UKYOさんの今回の作品は、そんな自治体の紋章の中でも日本の首都である東京都23区全ての区章をgifアニメーションで表現したものです。

全体的にパステル調の柔らかで明るい色彩で、区名を記載した文字はややシンボル化されたフォントで統一され、スタイリッシュでポップな雰囲気もあるカラフルな作品です。地方自治体の区章という堅苦しいイメージは全くありません。東京都民ではないため23区の区章に全く馴染みはないので、純粋なgifアニメーションとして観ていたのですが、とても楽しい作品だと感じました。区名が記されていなければ幾何学模様をモチーフにしたオリジナルgifアニメーション作品群だと思っていたと思います。ぜひ、下記サイト(「TOKYO 23」)で観て頂きたいですが、23種類もの異なるパターンのアニメーションが一堂に会しているのは圧巻です。アニメーションパターンのサンプルカタログというものがあれば、それを観ているような感じでついつい眺めてしまいます。

もちろん、各区の個別のgifアニメーションはそれぞれに個性があって非常に面白いです。全く個人的な意見ですが、特に印象的な作品を選ぶとするなら、荒川区、江戸川区、中央区の区章でしょうか。中央区の区章の形と相性が良いモーターのような回転の動きや、荒川区の上と左右から中央に集まるラインのシャープな動きが、観ていてとても気持ちが良いです。また、江戸川区の区章は流れるように円を描くような動きと、この動きと共に現れて最後のピンク色に集約するレインボーカラーが目を惹きました。

さらにそれぞれの区章の由来を知ると、大田区の区章のアニメーションがその由来についても上手く表現されていると思いました。大田区の区章の由来は「大田」の文字を図案化したというもの。大田区章のアニメーションは下部に隙間がある円から左右と上に突起がとび出し(「大」の文字)、円の中心に星のようなひし形の図形が現れる(「田」の文字)という動きで、ちゃんと「大」→「田」の順で区章が完成しているのです。非常に巧く出来ていると感じたのですが、皆さんはどのようにご覧になったでしょうか。特に、実際にこの23区で暮らす東京都民の方にとっては、生活に身近な“街のシンボル”であり“役所の象徴”をモチーフにしたgifアニメーション作品なわけですから、純粋なアート作品として観るのとは違う驚きや感想があるかもしれません。

今回ご紹介したUKYOさんの作品は、地方自治体の紋章をgifアニメーションするという独創的な発想に驚かされましたが、UKYOさんのアニメーションに対する造詣の深さを感じました。区章はできる限りシンプルな図案にデザインされているため、中には台東区と目黒区の区章のように、似た雰囲気のものもいくつかあります。しかし、gifアニメーションになったものを見れば、それぞれに個性が際立っていて同じ様な印象を持ったものはありません。それはこの作品が、どのような動きをさせれば魅力的で印象に残るアニメーションに仕上げられるかという事、元のデザインが似ているものについては印象が被らないように工夫するという事、そうした事を区章ごとに1つ1つ考えた上で制作されたからだと思います。そしてそのためには、各区章のデザインの特徴を捉えた上で、アニメーション(動き)に関して23種類どころではない膨大なアイディアが必要になるはずです。今回の作品「TOKYO 23」は、gifアニメーションに限らず、様々な技法で幅広い映像制作を手掛ける映像作家であるUKYOさんならではの作品だと言えるのではないでしょうか。
本当に勝手な願望なのですが、東京都23区だけではなくぜひ他の主要都市の市町村章もgifアニメーションにして頂きたいと思わずにはいられない作品でした。

尚、UKYO Inabaさんのその他の映像作品や活動については、公式サイトをぜひご覧ください。

取材させていただいたクリエイター・WEBサイト

「TOKYO 23」
http://ukyoinaba.blogspot.jp/2012/06/tokyo-23.html

「UKYO INABA motion graphics」
http://www.ukyoinaba.com/#!/

執筆者:小木奏英

オモロイモンをこよなく愛する生粋の関西人。音楽系法人、小学校、法律事務所勤務を経て、なぜかエンタメまわりのライターに。座右の銘は「明日は明日の風が吹く」

GIFアニメーションの可能性-和の融合-

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