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第5回「チルトシフトとシネマグラフの融合でgifアニメーションの新たな魅力を発見」

   

第5回「チルトシフトとシネマグラフの融合でgifアニメーションの新たな魅力を発見」

連載:GIFアニメーションの可能性-和の融合-

近年、様々なウェブサービスやアプリなどの登場によって、誰もが気軽にgifアニメーションを作成できるようになり、改めて注目が集まっています。たとえ、デザインやグラフィックに関して高度な技術がなくても、素材や見せ方、アイディア次第で魅力的な作品を生み出す事ができるgifアニメーション。そんな、まだまだ可能性を秘めたgifアニメーションを、様々な視点から紹介していきたいと思います。

“和”をテーマに、様々なgifアニメーションを紹介するシリーズ第5回目です。

前回、海外の作品から人気が高まり日本でも注目を集めているシネマグラフを取り上げましたが、今回は相撲を題材に、そのシネマグラフとチルトシフトを融合させた斬新なgifアニメーションをご紹介します。アプリ制作を手掛ける深津貴之さんがご自身のブログ「fladdict」(2013年9月30日 「ミニチュア風の相撲写真に、シネマグラフを悪魔合体してみた」)にて公開された作品です。

第5回「チルトシフトとシネマグラフの融合でgifアニメーションの新たな魅力を発見」

深津貴之 2013年「ミニチュア風の相撲写真に、シネマグラフを悪魔合体してみた」

チルトシフト撮影とは、主に特殊なレンズ(チルトシフトレンズ)を用いて、被写体を模型(ミニチュア)風に撮影する手法です。通常、高い建物などを近くから上向きに撮影する際、遠近法の影響で先の方がすぼんでしまい全景を歪み無く撮影するのは難しいのですが、チルトシフトレンズを使うとこの歪みを補正することができるのです。このしくみを利用してピントの合う範囲を意図的にずらすことで、ミニチュア風の写真が撮影できるというわけです。この手法は「フェイク・ミニチュア」とも呼ばれています。
一眼レフカメラ用の本格的なチルトシフトレンズは非常に高価ですが、デジタルカメラの中にはモノクロやビビッドカラーといった、あらかじめ画像に効果をつけて撮影できるアートフィルタなどに「ミニチュア風」「ジオラマ風」というモードが標準的に備わっているものがあります。周りの人や周囲の身近な風景を気軽にミニチュア模型のように撮影できる機能として人気です。そして最近では、iPhoneやスマートフォンのアプリとして、こうしたチルトシフト写真が簡単に撮影できるものも数多く登場しています。

第5回「チルトシフトとシネマグラフの融合でgifアニメーションの新たな魅力を発見」

深津貴之 2013年「ミニチュア風の相撲写真に、シネマグラフを悪魔合体してみた」

ブログの管理人である深津貴之さんは、そのiPhone用のチルトシフトアプリ「TiltShift Generator」シリーズを手掛けられているクリエイターです。現在、「TiltShftGen2」がリリースされています。「TiltShift Generator」シリーズは操作性の良さから、iPhone用「チルトシフト」または「トイカメラ」アプリの中でも評価、人気共に非常に高く、webアプリ系の情報サイトやニュース記事で何度も取り上げられています。今回ご紹介した作品は、深津さんが新作アプリ「TiltShftGen2」のサンプル写真撮影ために両国国技館へ行かれた際、チルトシフトとシネマグラフを組み合わせるアイディアを思いつかれて制作されたものです。

この作品を初めて見た時は、ミニチュア風でちょっと可愛い印象の見た目とは対照的に、大きなインパクトを受けました。思わずしばらく見入ってしまったほどです。これまで本連載の為はもちろん、私的な鑑賞も含めて様々なgifアニメーション作品、その中でもシネマグラフ作品はそれなりの数を見てきましたが、チルトシフトと組み合わせたものはおそらく見た事がありません。制作された深津さんご自身もブログの中で新境地と述べられているように、これまでにない非常に斬新なシネマグラフ作品だと思いました。
3つの作品はいずれも、箱庭のような両国国技館でちょこまかと動く力士や行司の動作がとてもコミカルで、ずっと眺めていられる独特の面白さがあります。例えるならミニチュアやスノードーム、ヴィネット(小型のジオラマ)の中で動く立体ホログラムを見ているような感じでしょうか。日本伝統の国技である相撲と、gifアニメのコミカルな雰囲気のギャップもこの作品の魅力の1つになったように思います。

第5回「チルトシフトとシネマグラフの融合でgifアニメーションの新たな魅力を発見」

深津貴之 2013年「ミニチュア風の相撲写真に、シネマグラフを悪魔合体してみた」

チルトシフトのシネマグラフは、被写体をあえてミニチュアやジオラマという“人工物”風に見せる効果が加えられているので、鉄道模型などの動くジオラマに近い面白さがあると思います。しかも、動くのは乗り物ではなく人です。今回の深津さんのチルトシフトシネマグラフは、「動画と静止画の間」とも言われる不思議な感覚が魅力であり特徴でもあるシネマグラフに、新しい方向性と広がりを示した作品だと感じました。こうしたチルトシフトシネマグラフ作品が、これから増えていって欲しいと思います。

さて、前回と今回の2回にわたりシネマグラフを取り上げてきましたが、iPhoneやスマートフォンが普及した現在、写真や動画から簡単にシネマグラフを制作できるアプリが登場しています。これまでgifアニメーション(シネマグラフ)はおろかクリエイティブな分野にあまり触れてこなかった人でも、こうした作品を作る楽しみを味わうことができるのです。また、カメラや画像処理の専門的な知識が無くとも「TiltShftGen2」のようなアプリによって、誰でも気軽に個性的で魅力あるミニチュア風写真を撮影する事もできます。さらには、gifアニメを動く壁紙として使用する事ができるアプリまで登場しています。

iPhoneやスマートフォンを使用されている方で、今回の作品のようなチルトシフトやシネマグラフに興味を持たれた方は、鑑賞するだけでなく様々なアプリを活用して、お気に入りの写真でオリジナルgifアニメーション制作を楽しんでみてはいかがでしょうか。

取材させていただいたクリエイター・WEBサイト

「ミニチュア風の相撲写真に、シネマグラフを悪魔合体してみた」
http://fladdict.net/blog/2013/09/tiltshift-cinemagraph.html#more-8085

「fladdict」
http://fladdict.net/blog/

TiltShiftGen2(iPhone用アプリ)
https://itunes.apple.com/jp/app/tiltshiftgen2/id706765970?l=en&mt=8

株式会社THE GUILD
http://theguild.jp/

執筆者:小木奏英

オモロイモンをこよなく愛する生粋の関西人。音楽系法人、小学校、法律事務所勤務を経て、なぜかエンタメまわりのライターに。座右の銘は「明日は明日の風が吹く」

GIFアニメーションの可能性-和の融合-

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