そこはかとなく好奇心を刺激するクリエイターの秘密基地。

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第4回「島根県の魅力を伝える、映画のようなgifアニメーション」

   

第4回「島根県の魅力を伝える、映画のようなgifアニメーション」

連載:GIFアニメーションの可能性-和の融合-

近年、様々なウェブサービスやアプリなどの登場によって、誰もが気軽にgifアニメーションを作成できるようになり、改めて注目が集まっています。たとえ、デザインやグラフィックに関して高度な技術がなくても、素材や見せ方、アイディア次第で魅力的な作品を生み出す事ができるgifアニメーション。そんな、まだまだ可能性を秘めたgifアニメーションを、様々な視点から紹介していきたいと思います。

“和”をテーマに、様々なgifアニメーションを紹介するシリーズも今回で第4回目です。

これまで“和”という事を意識して、特に日本の伝統文化である浮世絵などを扱った作品を紹介してきましたが、今回は現代の日本を題材にした作品をご紹介したいと思います。「CIMANETIC 映画みたいな島根」にて公開されているシネマグラフです。

「2014年7月31日 島根県出雲市大杜町 出雲大社の手水舎」

「2014年7月31日 島根県出雲市大杜町 出雲大社の手水舎」

シネマグラフについては、本シリーズ第1回目「シネマグラフ的木版画gifアニメーションの魅力」でも少し触れましたが、ここで改めてご説明しましょう。
シネマグラフは、写真の一部だけを動かすことでその部分に注目を集めると共に、写真全体に不思議な雰囲気とこれまでにない視覚効果を与える表現手法です。「動画と静止画の間」「動く写真」と、現在も注目を集めています。このシネマグラフは2011年にニューヨークの写真家、ジェイミー・ベックさんと、グラフィックデザイナーのケビン・バーグさんが考案されました。他のアニメーション技術の発達によって下火になっていたgifアニメーションの人気が、再び回復するようになった理由の1つがこのシネマグラフだと言われているのです。
このように、シネマグラフは海外のクリエイターにより提唱されたものなので、公開されている作品については、まだまだ海外発のものが多いです。しかし、日本でもシネマグラフの魅力を知り、制作された作品が増えて来ています。

「2014年8月1日 島根県隠岐郡海士町 隠岐神社」

「2014年8月1日 島根県隠岐郡海士町 隠岐神社」

「CIMANETIC 映画みたいな島根」は、島根県の風景を映画のシーンのように紡いでアーカイブする事で地域活性を目指すプロジェクトです。島根の様々な情景、人々、物事を、シネマグラフをはじめタイムラプス(一定時間をおいて連続撮影した静止画をつなげ、高速再生する動画のように見せる手法)空撮などの映像表現で地図と共に紹介しています。映像作品を楽しむだけでなく、見て気になった場所をチェックすることもできるのです。
映像作品の制作をはじめ、このプロジェクトを手掛けられているのは、島根県に本社を構える株式会社益田工房さん。グラフィックデザインやwebデザイン、映像制作、コミュニケーションプランニングなどクリエイティブの分野で幅広い事業を展開されています。
島根県といえば、観光地としても知名度としても不名誉な記録が続き、秘密結社鷹の爪(蛙男商会/DLE)とのコラボレーションによる“自虐ネタ”で逆に注目を浴びている印象があります。そのような状況で、“THE 観光地”として他の地域と競争するのではなく、「何もない」「何気ない」ことを逆に武器として、他の観光地にない魅力を引き出そうと考えられたのがこのプロジェクトです。「CIMANETIC 映画みたいな島根」では今後も、国内外へ向けて懐かしい日本の原風景のようなイメージを継続的に発信していくそうです。

「2014年8月2日 島根県出雲市大杜町 日御碕神社」

「2014年8月2日 島根県出雲市大杜町 日御碕神社」

さて、今回ご紹介した3つの作品は「CIMANETIC 映画みたいな島根」で公開されているシネマグラフ作品の中でも、特に海外の方に好まれそうな和の雰囲気の強いものを選びました。

日本を代表する名社である出雲大社の手水舎の作品は、夏の風景に流れる水だけが動くシネマグラフで、手水舎の周辺に漂う涼しげな雰囲気が伝わってきます。また、小さな子どもでも神社で手を清める作法をちゃんとわかっている様子が、いかにも日本らしいなと思うのですが、いかがですか。
そして、隠岐神社と日御碕神社のシネマグラフについては揺れる紙垂(しで しめ縄や玉串などに付けて垂らす特別な裁ち方と折り方で作った紙)が、爽やかにそよぐ風を鮮明に感じさせてくれます。大きく激しく動くのではなく、ふわっと揺れているのがむしろ印象的で良いなと思いました。

ところで、紙垂には玉串や祓串に付けられた場合には邪気を払う意味がありますが、今回の作品のようにしめ縄に垂らして神域などに用いた場合、聖域を表す印になります。その意味を考えると、紙垂がさり気なく揺れて穏やかに吹く風が心地よいシネマグラフも、人ならざる特別な存在がそこにあるということが感じられる、とても神秘的な印象に変わります。八百万の神々がいる日本らしい作品だと言えるのではないでしょうか。こうした独特の味わいが楽しめるのが、シネマグラフの大きな魅力でもあるのです。

「CIMANETIC 映画みたいな島根」では、今回ご紹介した他にもシネマグラフ作品が公開されています。また、シネマグラフだけでなく、様々な映像作品で「何の変哲もない景色」の素晴らしさ、何をするわけでもない、静かに物思いに耽る旅の良さを伝えています。個人的な話で申し訳ないのですが、実は、今まで出雲大社に行った事がなく、これらの作品を見て、ふらりと行ってみたくなりました。ゆっくりと穏やかに流れる時間が感じられるような、懐かしさと優しさが感じられる作品がいくつも公開されていますので、ぜひご覧ください。

また、5月頃にはスマートフォンアプリのリリースも予定されているとのことで、こちらにも注目です。

取材させていただいたクリエイター・WEBサイト

「CIMANETIC 映画みたいな島根」tumblrサイト
http://cimanetic.tumblr.com/

「CIMANETIC 映画みたいな島根」webサイト
http://cimanetic.com/

株式会社益田工房
http://masudakohboh.com/

執筆者:小木奏英

オモロイモンをこよなく愛する生粋の関西人。音楽系法人、小学校、法律事務所勤務を経て、なぜかエンタメまわりのライターに。座右の銘は「明日は明日の風が吹く」

GIFアニメーションの可能性-和の融合-

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