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第3回「現代浮世絵師が作成した粋(いき)なgifアニメーション」

   

第3回「現代浮世絵師が作成した粋(いき)なgifアニメーション」

連載:GIFアニメーションの可能性-和の融合-

近年、様々なウェブサービスやアプリなどの登場によって、誰もが気軽にgifアニメーションを作成できるようになり、改めて注目が集まっています。たとえ、デザインやグラフィックに関して高度な技術がなくても、素材や見せ方、アイディア次第で魅力的な作品を生み出す事ができるgifアニメーション。そんな、まだまだ可能性を秘めたgifアニメーションを、様々な視点から紹介していきたいと思います。

gifアニメーションと“和”をテーマに、魅力的な作品を紹介するシリーズ第3回目です。

今回は現代浮世絵師、島崎良平さんが作成されたgifアニメーション作品をご紹介します。「江戸の人々がひたすら歩くGIFアニメ」です。

「江戸の人々がひたすら歩くGIFアニメ」http://www.ryohei-s.jp/gif_anime.html

いかがでしょうか。各人物の動きは2コマだけの単純なもので、その人物たちがランダムに流されているという、gifアニメーションとしてはシンプルな作品です。しかしながら、スイカにかぶりつきながら足早に歩く男性やかんざしがうまく挿せない女性、追いかけっこをする幼い兄弟たちなど、江戸の人々の活気がとても生き生きと表現されています。また、サイト内にも記載されているように、歩く人や猫に矢印(マウスカーソル)を合わせると、動きが止まって台詞が表示されるのですが、その台詞にも遊び心があって非常に楽しい作品だと思いました。

さて、このgifアニメーションの人物たちは元々、島崎さんの浮世絵作品に登場している人々です。
その作品が「吉祥寺 仮想 夏の井の頭公園」です。

「吉祥寺 仮想 夏の井の頭公園」

「吉祥寺 仮想 夏の井の頭公園」Copyright(C) Shimazaki Ryohei. All Right Reserved.

多くの人が集まる井の頭公園の賑わいが伝わるような、明るく温かみのある作品です。中央付近のたこやいかに扮した男性たちのおどけた様子や、後ろの方で江戸時代なのにバイオリンを弾いていると思われる人物がいるなど、ユーモアにも溢れています。この絵を見ると、gifアニメーションの方では小さく見えづらかった各人物の表情もよくわかり、また、ストーリー性も感じられて、gifアニメの方もより楽しむことができます。一方で、gifアニメーションを見た後に改めて見てみると、今にも動き出しそうな活気ある人々の印象が、より増したようにも思えます。元の絵とgifアニメーションは作品としては別々なのですが、「吉祥寺 仮想 夏の井の頭公園」という一連の作品として考えると、飛び出す絵本や動く細工が施された仕掛け絵本のような楽しさがあると、個人的には感じました。

現代浮世絵師・島崎良平さんは1986年生まれ。東京都桧原村のご出身で、日本工学院八王子専門学校のグラフィックデザイン科を卒業されました。2008年からグループ展をはじめ多くのアートフェア、チャリティー展などに出品、2011年からは個展も開催されるなど精力的に活動されています。また、2012年にはテレビでも取り上げられ、2013年に富士急ハイランドTVCMの背景等に使用された浮世絵の原画制作を手掛けられるなど、幅広く活躍されています。現在、注目されているアーティストのお1人です。
こちらは、そんな島崎さんの作品の1つである「十二神将立像 めきら大将図」です。この作品で、2010年GoFa award大賞を受賞されました。

「十二神将立像 めきら大将図」

「十二神将立像 めきら大将図」Copyright(C) Shimazaki Ryohei. All Right Reserved.

「現代浮世絵」とご自身が呼ぶ島崎さんの作品は、アナログとデジタルが融合した独特の手法で制作されています。鉛筆や筆で手描きした下絵をベジェ曲線(自動車などの工業製品をコンピューター上で設計するために考え出された曲線)でデジタル上に描き起こして着色し、それを顔料インクで和紙に印刷します。そしてその後、細部を金泥やアクリル絵の具などで手彩して仕上げるという、緻密な手法で制作されています。島崎さんの作品は、繊細で柔らかい雰囲気のものから大胆でインパクトのあるものまで多彩にありますが、どの作品にも共通して感じたのは色彩感覚の素晴らしさと、しなやかで流れるような描線の美しさでした。今回ご紹介した「吉祥寺 仮想 夏の井の頭公園」と「十二神将立像 めきら大将図」も、作品の雰囲気は全く違いますが、どちらも目を引く魅力的な作品です。

さて、冒頭でも述べましたが、今回ご紹介した「江戸の人々がひたすら歩くGIFアニメ」はそのタイトル通り、gifアニメーションとしては14人の人物と1匹の猫がそれぞれ2コマという最低限の動きだけで歩き続けるシンプルなものです。そして、このgifアニメの元となった「吉祥寺 仮想 夏の井の頭公園」は、絵柄そのものにさっぱりとした味わいと独特の愛嬌がある作品です。
「江戸の人々がひたすら歩くGIFアニメ」の作品としての魅力は、日本画特有の滑らかな線で描かれた江戸の人々そのものに魅力によるところが大きいでしょう。ただ、そうした愛嬌のある江戸の人々を、シンプルな2コマのアニメーションにしたことで、ユーモラスな雰囲気がより引き出されたようにも思えます。

ところで、江戸時代に広まった「粋(いき 意気とも書く)」という美的観念はご存じでしょうか。言葉だけなら聞いたことがある方もいると思います。この「粋(いき)」という美意識は、庶民の生活から生まれたもので、「気質や態度、身なりなどがさっぱりとあかぬけしていること」や「親しみやすくて明快であること」、そして「単純美への志向」といったことをあらわしています。
今回ご紹介した「江戸の人々がひたすら歩くGIFアニメ」は、シンプルでありながら趣のある、まさに江戸っ子たちの粋(いき)なgifアニメーション作品だと言えるのではないでしょうか。

尚、現代浮世絵師・島崎良平さんの浮世絵作品は、島崎さんの公式webサイトにて公開されています。今回ご紹介した以外にも、素晴らしい作品がありますのでぜひご覧ください。
また、展示会や個展などの情報は公式Facebookが最も早く更新されますので、こちらも合わせてご覧ください。

取材させていただいたクリエイター・WEBサイト

「島崎良平|現代浮世絵師」
http://ryohei-s.jp/

「江戸の人々がひたすら歩くGIFアニメ」
http://www.ryohei-s.jp/gif_anime.html

「現代浮世絵師 島崎良平」(facebook)
https://www.facebook.com/shimazakiryohei

執筆者:小木奏英

オモロイモンをこよなく愛する生粋の関西人。音楽系法人、小学校、法律事務所勤務を経て、なぜかエンタメまわりのライターに。座右の銘は「明日は明日の風が吹く」

GIFアニメーションの可能性-和の融合-

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