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第2回「独自の技術を用いたgifアニメーションで日本画を立体映像に」

   

第2回「独自の技術を用いたgifアニメーションで日本画を立体映像に」

連載:GIFアニメーションの可能性-和の融合-

近年、様々なウェブサービスやアプリなどの登場によって、誰もが気軽にgifアニメーションを作成できるようになり、改めて注目が集まっています。たとえ、デザインやグラフィックに関して高度な技術がなくても、素材や見せ方、アイディア次第で魅力的な作品を生み出す事ができるgifアニメーション。そんな、まだまだ可能性を秘めたgifアニメーションを、様々な視点から紹介していきたいと思います。

先日から始まりました、gifアニメーションと“和”をテーマに魅力的な作品を紹介するシリーズ。

第2回目の今回は、独自の技術「Wink3D」とgifアニメーションを組み合わせ、日本画を立体映像にした作品です。本技術を紹介した公式サイト「Wink3D.com」のgifアニメ版に3つの日本画作品と解説が公開されています。

以下、作品をご紹介しますが次の事に必ず注意してお楽しみください。
(※公式サイト内「必ずお読みください(http://galgali.net/wink3d/readme.html)」の引用です。)

●明るい場所でご覧ください。
●モニターから80cmほど離れて片目でご覧になられた方が、立体効果が増します。
●目の疲労・頭痛・吐き気等、身体に異常を感じた場合は、直ちに鑑賞を停止してください。
●連続の鑑賞は避け、適度に目を休めるように心がけてください。
●動いている乗り物の中など、酔い易い状況下での鑑賞は、控えてください。
●Wink3D技術によって得られる立体感は、個人差により異なる場合があります。
●Wink3Dの閲覧により、視力が回復するなどの効果はありません。
●Wink3Dの閲覧により、体調をくずされた場合でも、一切の責任は負いかねます。予めご了承の上ご覧ください。

▼GIFアニメバージョンの場合、ご覧のブラウザの種類によって揺れのスピードが異なります。
「Internet Explorer」ブラウザでご覧の場合、揺れのスピードが遅いようです。
「Google Chrome」ブラウザや「Mozilla Firefox」ブラウザでご覧いただくと、揺れのスピードが速いので、より奥行き感が増して見えます。

「富嶽三十六景 神奈川沖波裏」/葛飾 北斎(かつしか ほくさい)

「富嶽三十六景 神奈川沖波裏」/葛飾 北斎(かつしか ほくさい)

葛飾北斎が制作した木版画、「神奈川沖浪裏」(かながわおきなみうら)。
「富嶽三十六景」の連作の一つで、世界中に知られる有名な版画です。
そんな「神奈川沖浪裏」を、Wink3Dで更にダイナミックにご覧ください。

「風神雷神図」の「雷神」/尾形 光琳(おがた こうりん)

「風神雷神図」の「雷神」/尾形 光琳(おがた こうりん)

「風神雷神図」の「風神」/尾形 光琳(おがた こうりん)

「風神雷神図」の「風神」/尾形 光琳(おがた こうりん)

俵屋宗達筆の屏風画が有名ですが、尾形光琳が模写した「風神雷神図」をWink3D化してみました。理由は、雲が濃かったから…。雲の“うねり”をご体感ください。「俵屋宗達筆の方が迫力がある」という観覧者が多い中、宗達に負けない迫力ある「風神雷神図」を、尾形光琳の画で目指しました。

いかがですか?
動きが加わり立体的に見えることで、日本を代表する浮世絵や日本画の雰囲気が変わり、より迫力や躍動感が感じられるようになったのではないでしょうか。特に「風神雷神図」については、解説にも記載されているように雲のうねりが目を引き、風神・雷神が纏う衣も風になびく感じが際立っているように思いました。

「風神雷神図」の「雷神」/尾形 光琳(おがた こうりん)「風神雷神図」の「風神」/尾形 光琳(おがた こうりん)

※並べてみると、何か力を競い合っているようにも見えます。

片目で見るだけでも立体映像が簡単に楽しめる「Wink3D」は、「画像表示方法」という発明名称で特許(第3448604号)も取得されている独自の技術です。そのしくみについて、サイト内の解説動画を参考にご説明しましょう。
通常、人間が立体映像を見る場合は、右眼と左眼に映る像の位置あるいは視方向の違いである「両眼視差」を利用しています。そして、「物体と影」や「物体の大小」など、様々な要素をもとに物体と物体、または背景との比較によって立体や空間を認識しています。
Wink3Dは、その立体・空間認識要素の中で「物体の移動距離」をベースにした技術です。具体的には、最前面の揺れ幅を最も大きく、奥へいくほど揺れ幅を小さくしていくという、揺れ幅の違いによって遠近感を演出しています。さらに、「物体の大小」など他の要素をつけ加えることで、立体効果をより強調することもできます。

このように、Wink3Dを用いた映像には両目で見たときの情報が盛り込まれるので、片目で見ても立体的に見ることができるのです。また、片目で見ることによって周囲の空間の立体感がなくなるので、目的の立体映像がより鮮明に際立って見えるわけです。
ただ、注意しなければならない点は、立体として見える要素同士が、お互いに打ち消し合わない状態が前提だという事です。例えば、「薄くて小さな物体」が「濃くて大きな物体」よりも手前に出ている画像の場合、適切な揺れ幅で表現しても立体には見えにくいのです。また、揺れ幅と速度については人間の動体視力の限界を意識する必要があります。揺れているものが何なのか把握できなければ、単なるノイズとしか認識されず、やはり立体には見えづらくなるのです。

さて、このWink3Dの技術を用いることで、絵画や写真なども立体的に見せることができます。表面から少しずつ面積を広げて複数の層にカットし、手前に表現したい部分の揺れを大きく、奥に表現したい部分の揺れを小さくすることで、立体感を演出するのです。
改めて「富嶽三十六景 神奈川沖波裏」を見てみましょう。手前から、低い波、中くらいの波、一番目を引く高い波と、それぞれが層のように見えるのではないでしょうか。

ところで、このWink3Dの「富嶽三十六景 神奈川沖波裏」を見たとき、個人的に連想したものがあります。それは「立版古」です。「立版古」とは、江戸時代後期から明治期にかけて流行した錦絵の中の「おもちゃ絵」の一種です。「立てる班古(錦絵)」の名の通り、あらかじめ絵柄が描かれた一枚の錦絵からパーツを切り抜き、設計図にそって組み立てる一種のジオラマとして楽しみました。題材としては、歌舞伎のお芝居や舞台をミニチュア化したものや、風景、名所などを模写したものが多かったようです。葛飾北斎が制作したものもありました。しくみは単純ながら、想像以上の立体感やパノラマ感が楽しめるところが「立版古」の魅力です。
現在、この「立版古」を再現したペーパークラフトがあります。こちらです。

立版古 北斎 富嶽三十六景 神奈川沖波裏

立版古 北斎 富嶽三十六景 神奈川沖波裏

出典:http://tatebanko.com/products/tbk_ukiyoe/tbk_0001/index.html
(※こちらのサイト(http://tatebanko.com/about/index.html)には、江戸時代当時の立版古の写真も掲載されています。)

Wink3Dによるgifアニメ作品を見たとき、この「立版古」を連想すると共に、絵を立体的に楽しむ手法において江戸時代と現代で何か通じるものがあると、とても興味深く感じました。
今回ご紹介したWink3Dという独自技術を用いたgifアニメーション作品は、アナログとデジタルの融合を強く印象づけられるもので、日本画の新しい楽しみ方を提供する魅力的かつ画期的な作品だと思います。

なお、「Wink3D.net」には今回ご紹介した日本画以外にも「ダンスⅡ」(アンリ・マティス)など、西洋絵画をモチーフにした面白い作品が公開されていますので、ぜひご覧ください。

取材させていただいたクリエイター・WEBサイト

「Wink3D.net」
http://galgali.net/wink3d/index.html

「富嶽三十六景 神奈川沖波裏」/葛飾 北斎(かつしか ほくさい)
http://galgali.net/wink3d/gif-animation/kanagawaoki.html

「風神雷神図」の「雷神」/尾形 光琳(おがた こうりん)
http://galgali.net/wink3d/gif-animation/raizin.html

「風神雷神図」の「風神」/尾形 光琳(おがた こうりん)
http://galgali.net/wink3d/gif-animation/huzin.html

執筆者:小木奏英

オモロイモンをこよなく愛する生粋の関西人。音楽系法人、小学校、法律事務所勤務を経て、なぜかエンタメまわりのライターに。座右の銘は「明日は明日の風が吹く」

GIFアニメーションの可能性-和の融合-

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