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天邪鬼の発想力から生まれる 室木おすしのオモシロと下ネタ

      2015/09/03

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 オモコロでもライターを務める今注目のクリエイター室木おすし氏は、イラストレーターであり、漫画家、文筆家であり、そしてイラストGIF動画家でもあります。多彩な表現手法と独自の視点を持つ室木氏のルーツは、一体どこにあるのでしょうか。全一回ではありますが6,000字オーバーのインタビュー。その発想の出発点と制作の目指す場所は、きっとあなたの表現をより「面白く」してくれるはずです。ぜひお楽しみください。

クリエイター:室木おすし

IMG_0962 イラストレーター。イラストGIF動画家。なんともいえないGIF動画をUPしてます。オモコロライター。ワラストスタッフ。 雑誌ワッグルにてゴルフコラム連載中。イラスト・4コマ漫画・コーナー企画発案・お仕事大募集中です。

SUSICS STUDIO:http://www.susics.com
Twitter:https://twitter.com/susics2011
オモコロ執筆記事:http://omocoro.jp/staff/osuship
ワラスト:http://www.warasuto.com

作品紹介

posted by 室木おすし to GIFMAGAZINE

室木おすし 「水族館 行動展示 リュウ」

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室木おすし 「ときどきネコを見せてくれる英雄」

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室木おすし 「和室が気に入った虚無僧」

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室木おすし 「角度によってエビ天になったりエビフライになったりする絵」

こちらから更に作品をご覧いただけます。

 

天邪鬼の発想力から生まれる 室木おすしのオモシロと下ネタ

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――まず始めに室木さんのルーツを教えていただけますか。記事や作品など現在の作風に至ったターニングポイントはあったのでしょうか?

室木さん(以下敬称略) 全般的に僕の作品はふざけたものばかりなんですけど、イラストの仕事を始めたばかりの頃はこういうの描けば売れるんじゃないかっていう風にものを描いていて。でもどうも楽しくないというか、上手く描けなかったんですね。それで自分に向いているのは何なんだろうって考えてみたんですけど、僕は面白いものがずっと好きで、そういうものを表現したいっていうのは常に思っていたので、イラストに関してもやはり面白いものに制作をシフトしていこうと決めました。

――「こういう絵が売れるんだろうな」といった少し斜に構えた視点が室木さんの出発地点にはあったのですね。

室木 そうですね、さらにその前、デビューする前には中二病的な、すぐに人を殺してしまうような作品を描いていた時期もあったんですけど。全然ぴんと来ないというか、これが売れるわけがないという感じが自分にもありまして。そのほかのことができないというのもありますが、自分の勝負できる領域はやはり面白さしかないなと思いました。

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――そのような中二病的な作品を制作していたのはいつ頃のお話でしょうか?

室木 大学を卒業する少し前くらいですかね。就職したくないという気持ちがすごく強くて。働きたくない、でも何かをしないと世間に示しがつかない、両親に大学を出させてもらったのに、という気持ちもあって。それで、最初は小説で話を書きたかったんですけど、文章だけじゃなくて絵も描けたら通用するんじゃないかと思って卒業後は絵の学校に入りました。

――もともとは建築の大学に通われていたんですよね?

室木 そうです。それまでは絵の勉強なんてしたことがなかったですね。試験にデッサンが出るらしいからって、美術の先生にお願いをして。パースの取り方であったり、絵を描くための基礎の中の基礎だけ教えてもらってそれだけで試験は受けました。推薦でほとんど入学が決まっているような入試だったので、そんなに絵が上手くなくても良くはあったんですけど。
 ただ、入ってみたら建築が本当に自分に向いていなくって。建築ってすごくきっちりしていたんですよね。自分は全部フリーハンドで描きたいっていうような人間なので、建築の世界の責任感を自分では背負えないなと思い徐々にフェードアウトをしていきました。それで他に何かやらなきゃなあと思って、卒業した後に絵の勉強を始めて、イラストレーターになったという感じですね。最初はさっきも言ったように面白系の主にイラストを描いていたんですけど、そういうイラストを描いていたら漫画の依頼も来るようになって。漫画は初めてでしたけどそれをきっかけに描き始めました。そうやって制作しているうちに面白い作品をいろんなパターンで、絵ありきで描けるようになりましたね。

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――GIFの制作を始めたきっかけは何だったのでしょうか?

室木 10年くらい前なんですけど、デコレーションメールってあったじゃないですか?デコメがすごく流行っていた時期に、デコメの仕事の依頼がありまして。結構安い仕事ではあったんですけど、簡単でいいからたくさん作って欲しいっていう依頼だったんですね。なので、とにかく量産をすることになって、そこでGIF制作のノウハウをなんとなく得たという感じです。
その時はまだGIFで何か表現をしようってことは考えていなくて、依頼に対して制作をしていただけだったんですけど、その頃から動くってことが面白いなとは思っていました。こういう風な動きをさせたら面白いだろうなってのもありましたね。
 それで、去年に制作でここが動いたら面白いだろうなっていう制作が出てきて、そのGIFをTwitterに上げてみたら「あ、GIFってTwitterで動くんだ!」って初めて知って。それをきっかけにGIFの制作が面白くなってきて、もっといろんなことしてみようって思ってGIFアニメを本格的に作り始めました。
 僕が今GIFを制作しているのは偶々デコメの経験があって、それが偶々リンクして需要があったからなので、本当に運が良かったと思います。

――GIFアニメーションの制作を始められたのは偶然デコメの仕事を経験されていたからなのですね。室木さんにとってターニングポイントとなった作品はありますか?

室木 表現という意味では大学生のころにポプラ社の「作品市場」っていう小説投稿サイトに作品を投稿していて、そこでちょっとウケたことがあるんですよ。本当にちょっとで、そのサイトを見ている人以外は誰も知らないようなことなんですけど。その中でほんの少し人気が出て、その時に自分はやっていけるかもしれないと初めて思いました。絵に関してではないんですけど、自分の発想を評価してくれる人がいるってことを知って嬉しかったのと同時に、これってもしかしたらお金になるのかもしれないと考えたのはターニングポイントでしたね。

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――その前から自分の発想について自信はあったのでしょうか?

室木 この発想は絶対通用するだろうだとか、そういう自信は一応ありましたね。その後にその自信は崩されたりもするんですけど、当時は若かったこともあって自分を面白いと思っていました。ただ、行動は伴っていなかったですね。

――発想力から自信をお持ちになったとのことですが、それは幼少期の頃からそうだったのでしょうか?

室木 作文とかは賞をもらって評価されたりはしていましたけど、なにせ子供のころなので。友達内でウケていたっていう程度ですね。若者は大体そうだと思うんですけど、当時は無意味な自信に満ち溢れていて。その無意味な自信がネット上でなんとなく評価されたときに、自分は間違っていなかったんだって思えましたね。あとは大学3、4年生のときに雑誌で公募している児童小説に作品が採用されて、それが短編集に掲載されたりだとか、そういったことも重なって、「もうおれは就職しなくてもいいな」とも思っていました。建築の勉強は大学一年のころにもうほとんどフェードアウトをしていて、必須科目を捨てて、卒業するためだけの単位に履修を切り替えていたんです。なので、みんなが建築の難しい授業を受けている時間を、僕は遊ぶか作品のための時間にしていましたね。ただ作品とは言っても、大人が見たら何もやっていないに等しいようなことなんですけど。「お前、本当に駄目だな」って言われるくらいの。

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――今まで取材をさせていただいた作家さんは、学生時代にはあれをやりました、これをやっていました、っていう方が多かったので、室木さんのようなタイプは少し珍しいかもしれませんね。

室木 そうなんですよ、そういう人に憧れるんですけどね。高校卒業してすぐに美大に入った人だとか、学生時代から自分の行く道を分かって望んでいる人よりも、僕はその期間分必ず遅れているはずで。あの頃からちゃんとやっとけばなあっていう後悔はありますね。

――その頃の悔しさが現在の制作の原動力になっていたりもするのでしょうか?

室木 そういうのはあんまりなくって。作品は評価をしてもらえれば嬉しいというくらいで、負けん気みたいなのは特にないんです。同年代で売れている人たちを見て「おれもやらなきゃ!」と思って、あえて悔しがろうとするときもあるんですけど、すぐに「自分とは違う」と開き直ってしまって持続しないんですよね。「面白いと思われたい!」だとか、「お金が欲しい!」だとか、そういうことのみです。

――話が先ほどの「発想力」まで戻るのですが、室木さんの作品はテーマの選び方など独特な世界観がありますよね。作品の世界観はどのようにして培われたのでしょうか?

室木 基本的に天邪鬼というか、人と一緒が気に入らないというのは小学校くらいの頃からずっと思っていますね。一緒にはいたいけれど、一緒には評価されたくない。それをそのままの感覚でずっと生きてくると必然的に今に至るという感じでしょうか。
 何かを考える時に、もしかして誰かが既に発想しているかもしれないと思うと、気が進まなくなってしまいますし、人から「こういうのやれば?」って言われてもやりたくなくなっちゃって。だから、これは誰もやっていないだろうな、っていう風に考えていって思いつくという感じです。とは言いつつネタとかもろもろで誰かしらとかぶったりはしてるんですけど。ただ難しいのは、誰もやっていないからといってそれが面白いかというと、そうではないので。みんなが面白いと思う範囲で誰もやっていないことを考えるように、みんながわかりやすい、食いついてもらえるようなキーワードを集めて、それをどうすれば面白く変化できるか、という風に発想は始めていきます。

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――室木さんの制作は人と同じことをしたくないということが要にあるんですね。

室木 そうですね、自分だけが特別でありたいという気持ちがあるんだと思います。そのくせ特別扱いされるのは恥ずかしいんですけど。

――それは確かに天邪鬼かもしれないですね。

室木 うちの奥さんも同じタイプで。学校で作ったものをみんなに見てもらいたいんだけど、自分の作品ってことがばれると恥ずかしいみたいで、ひそかに黒板に貼って誰かが「なにこれ!」って気づいてくれるのを遠くで待つ、っていうのをやっていたそうなんです。
 僕が今やっているのもまさに同じ行為で、面白いことをしてみんなに笑ってもらいたいなら芸人さんになってもいいんじゃないかって自分でも時々思うんですけど、それは恥ずかしくって。人から見えないようなところで作品を作って、「ぽっ」と出して、ウケた嬉しいみたいなことを小学校のころからずっとやっていますね。天邪鬼は間違いないです。世間の流れとかを見たら、絶対そっちの方には行きたくなくなりますし。
 ただ、天邪鬼ではあっても、人が良いというから否定するということはやめようと決めていて。それは当然正当な評価ではないですし、自分が良いと思ったものには隠さずその気持ちを言います。本当は良いと思っているけど誰も良いって言わないから意見を変えるだとか、他人の流されるのは一番恥ずかしいことだと思いますし、相手の意見を聞いた時にはまず天邪鬼的に違った視点で考えて、そのあとに自分の意見を正しく言いたいです。ただ天邪鬼なのではなく、一貫性のある天邪鬼になりたいですね。

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――他の人がやらないことという意味では、室木さんの描く「エロ」や「おもしろ」は全員がタッチできる分野ではありませんよね。それにも天邪鬼が関係してはいるのでしょうか?

室木 あー、それは僕が下ネタが好きだからですね。それに関しては天邪鬼でも何でもなく、すぐに「下ネタは面白い」って思っちゃうんですよ。(笑)まず初めに下ネタが思いついてしまうので作品がそうなってしまって。そればかり描くのもやっぱりどうかとは思うんですけどね。好かれたいというのもありますし、自分ではそこまでえぐい下ネタはやっていないつもりではいるですけれど。

――制作に対してそういった思いもお持ちだったんですね。

室木 引くぐらいに下ネタやっている人っているじゃないですか?そういう作品僕は大好きなんですけど、自分では描けないなと思っていて。自分は女の人でもあんまり引かないくらいのところが好きでもあるので、制作はそこでとどめていますね。だから自分の作品は女の人にも喜んでもらえると思っているので、引くとか言われてしまうと、「そこまでか?」とか思いますし、温いなって思っている人もたくさんいると思っています。

――インターネットの本音は過激な下ネタを求めている?

室木 そうですね。もっと行くなら行けよとは思うんですけど、やっぱりあんまり引かれたくないんですよね。平和な下ネタが好きなので、愛にあふれた。
 でも、つい最近奥さんに、「よく見たら下ネタばっかりだね」と言われてしまって。仕事にもよるんですけど、オモコロさんだとすべて自由なので。そうなると自然と下ネタに行ってしまいますよね。ばかばかしいのと下ネタと、あとはシュールかな。その三つが好きです。

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――室木さんが影響を受けた作品や作家さんはいらっしゃいますか?

室木 作家さんではないんですけれど、面白さっていう点で言うとダウンタウンさんですね。中学生ぐらいの時に、こんな面白さがあるんだとか、発想力だとかはダウンタウンさんから学んだ部分が大きいかと思います。新しい面白さの切り口を知ったといいますか、小学校まではドリフ世代だったので「志村けんサイコ―!」と思って生きていたんですが、ダウンタウンを見た時の衝撃たるや。中学生になって大人の面白さをわかり始めていた時にダウンタウンと出会ったので、「普通のことしてた自分恥ずかしい!」とも思いましたね。それで友達との会話もシュールな感じで返したりもして。
 そのあとはシュールすぎても自分は好きじゃないな、結局ベタなものも面白いんだなってところに落ち着いて。ダチョウ倶楽部さんのような体を張った笑いと出会って、今はシュールもベタも融合したような笑いが作品の中で表現できればと思っています。

――それは作品のどのようなところに表れているのでしょうか?

室木 それが作品で表現できたら最高だとは思っているんですけど、なかなかどうやったらそれができるのかっていうのが分かっていなくって。到達できるのかもまだわからないんですけど、ああいう風に見た人が考えなしに笑ってしまうような作品を作りたいですね。ダチョウ倶楽部さんのネタって分かっているのに笑っちゃうじゃないですか?それって最強だと思うんですよ。それを考えるのが目下の課題ですね。本当に恐れ多くはあるんですけど。
 でも、あれを作品の中でやろうとするとすげえすべるんですよ!(笑)

――それはどうしてでしょうかね。媒体の違いでしょうか。

室木 テレビっていう媒体のせいもあると思うんですけど、あのネタはダチョウ倶楽部さんの人間性があってこそだと思うので、いきなり作品で、なんてのは無理なところがありますよね。
 でも、やっぱりそういうのが一番面白いと思っているので、最近オモコロで描いている作品はそういうのを目指しているつもりです。リアクションで笑いをとったりだとか、必要以上にキャラクターが喜んだりだとか。そういうのってもう生物学的に笑っちゃうじゃないですか。ただ、その分内容のないものが増えてしまっていますね。(笑)

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――最後に室木さんの今後の展望を教えていただけますか?

室木 とにかく絵が上手くなりたいというのがまずあって。面白いことをやるうえで、一つの確立されたおしゃれでもありつつ面白いみたいな絵が描けるようになれればと思います。AC部さんの絵とかは大好きで本当に天才的だと思っていて、「アーティスティックで面白い絵」に憧れますね。ただ、まだまだ難しいとは思っているので、まずは自分自身が納得できるような絵を描きたいです。
 今後のビジョンは自分でも全然わかっていなくて、生活が困らないように死ぬまで生きていきたいっていうのが一番にあるんですけど、そのために何をしたらいいのかっていうのも全然わかっていなくて。いまは面白いものを出してすこしでも評価されて、今後の展開につなげていけたらと思うんですけど、それを何につなげていけばいいのかっていうのもいまいちピンときていなくて。とにかく人を笑わせられたら嬉しいので、それをまず追求していければと思います。

――ありがとうございました。

執筆:CREM編集部 篠宮航太

クリエイター:室木おすし

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イラストレーター。イラストGIF動画家。なんともいえないGIF動画をUPしてます。オモコロライター。ワラストスタッフ。 雑誌ワッグルにてゴルフコラム連載中。イラスト・4コマ漫画・コーナー企画発案・お仕事大募集中です。

SUSICS STUDIO:http://www.susics.com
Twitter:https://twitter.com/susics2011
オモコロ執筆記事:http://omocoro.jp/staff/osuship
ワラスト:http://www.warasuto.com

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