深夜、ラジオが届ける青春の匂い。『Tabasun』

※本連載ではご紹介する海外クリエイター様に許可を頂いて執筆をいたしております。

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　時計の針が重なり始めました。街の眠りを妨げないよう、こっそりと明日がやってきます。全てが活動を止めた深い夜。キッチンもリビングも闇の中で静まり返り、スタンドの小さな灯りだけが、滲んだ影を壁に写しています。世界にいるのは私だけ。そんな夜、ふと枕元のラジオに手を伸ばしてみます。

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　今回紹介する作品は、ラジオに乗せた少女の恋の告白『Tabasum』です。アフガニスタンのラジオ番組「ARMAN FM」にて、実際にオンエアされた実音声を使用するという、たいへん興味深い作品です。
　ARMAN FMには、「心のラジオ」という番組があります。この番組では、MCはいっさい喋りません。電話で繋がれたリスナー自身が自分の伝えたいことを、ラジオを通して語りかけるのです。

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　まだ見ぬ恋人への熱い想いを伝える少女Tabsum。甘酸っぱく、爽やかで、二度と戻ることの出来ない青春の匂いです。震える彼女の声は、私たちを優しく、そしてちょっぴり切ない気持ちで包んでくれます。英語字幕がついているので、とても分かりやすいです。
　ラジオの声に耳を傾けていると、様々な情景が頭に浮かんできます。ときに、リスナーの想いまでもが、私たちのもとへ届きます。電波飛び交う夜空の下、私はゆっくりと夢に溶けていくのです。

『Tabasun』 from Isabelle Aspin and Brian Smee

【出典】https://vimeo.com/121857304
【Brian Smee氏ホームページ】http://briansmee.biz
【Isabelle Aspin氏ホームページ】http://isabelleasp.info/
執筆：CREM編集部（山岸泰佑）