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【第1回】「見られなかったら意味が無い。」作家が大切にすべきこととは?水江未来インタビュー特集

   

【第1回】「見られなかったら意味が無い。」作家が大切にすべきこととは?水江未来インタビュー特集

水江未来さんは、国内だけでなく国際映画祭で活躍する短編アニメーション作家です。今回、Adobe ✕ GIFMAGAZINEで開催されるGIFアニメコンテスト「theGIFs」の審査員をしていただいています。本インタビューでは、3回に分けて水江未来さんの現在の作風に至った背景や、幼少期からの生い立ち、映像作家として生きる方法についてお話いただきます。(水江未来インタビュー連載 撮影:其田有輝也 執筆:Creator’s MAGAZINE編集部)

【第1回】「見られなかったら意味が無い。」作家が大切にすべきこととは?
【第2回】「同じことをやっても意味が無い。」水江未来の生い立ちとは?
【第3回】「負けを認めること。」野球から学ぶ映像作家の戦い方とは?

クリエイター:水江未来

水江未来さんのプロフィール画像
アニメーション作家・イラストレーター。「細胞」や「幾何学図形」をモチーフにした、物語のない音楽的なアニメーションを制作している。その作品は、ヴェネチア映画祭やベルリン映画祭でワー ルドプレミア上映され、世界最大のアニメーション映画祭・アヌシー国際アニメーション映画祭では日本人最多の2度受賞するなど、国際映画祭での評価を高めている。国内では、2014年にGLAYとコラボし、『GLAY EXPO 2014 TOHOKU』のアニメーション映像の演出や、マスコットキャラクターのデザインなどを手がけた。同年、自身の短編作品を集めた、映画『ワンダー・フル!!』が全国15劇場で公開。多摩美術大学情報デザイン学科メディア芸術コース、京都精華大学芸術学部映像コース・非常勤講師

【インタビュー特集】「見られなかったら意味が無い。」作家が大切にすべきこととは?

【第1回】「見られなかったら意味が無い。」作家が大切にすべきこととは?水江未来インタビュー特集

ーー アニメーション作家になった背景はどういったところにあるのでしょうか。

 

水江未来さん(以下、敬称省略)いつなったというより、ずるずると幼少期から絵を描くことを純粋に楽しんでいて、そのまま取り組んできたらなってしまっていた、という感じかもしれませんね。

 

ーー それは意外ですね。何かターニングポイントとなるようなできごとがあったのでしょうか。

 

水江未来 ターニングポイントとなったのは、大学在学中に制作した「FANTASTIC CELL」ですね。この作品が僕の処女作にあたると思います。この作品で2004年の22歳の時、広島国際アニメーションフェスティバルにノミネートされて、国際映画祭でデビューをしましたね。その他、文化庁メディア芸術祭などでも入選することができました。

 

Fantastic_cell

水江未来 ©2004年 「FANTASTIC CELL」

ーー 国際映画祭デビュー時のお気持ちはどうでしたか。

 

水江未来 国際映画祭で上映されて、多くの観客に喜んで貰えたことが本当にうれしかったんですよ。その時に、これからもアニメーションを作り続けたいと思えましたね。「FANTASTIC CELL」は人の心を大きく動かすことができた1つの大きなきっかけになりました。

 

ーー 観客の反応を大切にされているということなのですね。「FANTASTIC CELL」のような独特の世界観に辿り着くまで大変な苦労があったのでしょうか。

 

水江未来 そうですね。今振り返ってみると、オリジナリティだったり、自分の作家性を見つけるのに大きな苦労をしてはいないですね。人がやらないアプローチだったり、違った考え方をすることは、置かれた環境の中で生き残ることを考えると自然な流れだったのかもしれません。
【第1回】「見られなかったら意味が無い。」作家が大切にすべきこととは?水江未来インタビュー特集
ーー 多くの方が自分らしさを見つけることに苦労をされていると思います。その中で水江未来さんがすぐ見つかった理由はあるのでしょうか。

 

水江未来 大学時代は多摩美術大学大学のグラフィックデザイン学科で過ごしました。周りのみんなが絵がめちゃくちゃうまかったんです。僕も予備校の時はうまかった方だったんですが、大学の同級生がうますぎてプレッシャーがありましたね。そのプレッシャーから描きづらさを感じてました。同じ学科には180人いましたから、これはまともに絵を描いても勝てないな、って思ったことが自分自身の得意なところや好きなところに目を向けることができた理由かもしれません。

 

ーー 当時、得意なこと、好きなことはどのようなことだったのでしょうか。

 

水江未来 僕は細密画が好きだったんです。細かく絵を書くのが得意でした。そこに徹底して細かいことだけで作品を作ってみようとおもいましたね。ひたすらやり続けていた結果、自分の作家性にたどり着いたという感じです。

 

水江未来 ©2009年 「JAM」

水江未来 ©2009年 「JAM」

ーー 当時から今まで大切にされていたことはあったのでしょうか

 

水江未来 それは「やり続ける」ことと「観客の反応」ですね。普通同じ作風をやり続けると「いつまで作るの?」なんて言われるんですよ。それでも丁寧に丁寧に、作り続けましたね。どんなアプローチも10年くらいやり続ければいいと思います。僕の場合、2007年に大学院を終えて、活動は7年目にあたるのですが、「オリジナル作品」にこだわってやってきました。年に1回アヌシー(アヌシー国際アニメーション映画祭)が開催されるので、そこで観客を沸かせることを目標にやり続けてきましたね。
【第1回】「見られなかったら意味が無い。」作家が大切にすべきこととは?水江未来インタビュー特集
ーー 観客の反応に強いこだわりがあったのですね。

 

水江未来 やはり作った作品は見られなかったら意味がないですし、自分の作りたいものを作ることが重要で、観客の反応はどうでもよい、という考えは違うと思います。芸術だったとしても一般的な映画であったとしても、映画祭という場で戦う以上は区別がなくこれは重要なことです。オリンピックの選手が、今日は気持ちいい走りができているからそれで満足、1番にはならなくてもいい。なんて言いますか?そんなことは絶対言わないと思います。映像で言えば、プロであるからこそ、自分自身の作りたい世界に加えて、観客の声や反応を大切にすることが重要だと思います。中には、芸術においてそれは不純だという方もいると思いますが、僕はそうは思っていませんね。

 

ーー 「観客の心をどれだけ動かすことができるか」も重要なポイントということですね。プロとして活躍するためにその他重要なことや大切なことはありますか?

 

水江未来 自分がいるコミュニティに留まらないということですね。アニメーション以外の色んな方と繋がっていくことで、短編アニメーション作家としての自覚や立ち位置とか、自分のアイデンティティが見えてきます。個人でやっているアニメーション作家は、結局は自らアニメーション作家と名乗っています。プロ野球選手みたいに「プロ」と認定されるものがありません。なので映画祭での評価を上げていくことや、ジャンルを超えて活動していく中で、他者からアニメーション作家として認識されていくことが、プロとして活動することでもあると思います。
【第1回】「見られなかったら意味が無い。」作家が大切にすべきこととは?水江未来インタビュー特集
ーー 他のジャンルと関わっていくことが自分の作家性を強めていくことになるのですね。実際にGLAYのオフィシャルグッズなど、音楽やアパレルを始め、他のジャンルとアニメーションのコラボレーションをされていらっしゃると思います。今後も色々なコラボレーションを進めていかれるのでしょうか?

 

水江未来 そうですね、GLAY EXPOのマスコットキャラクターを手掛けた時はTwitterなどのSNSで「かわいい」って反応の他にも「気持ち悪い」なんて声もありましたが、その反応自体も興味深い反応でした。これまでは、自分が属しているジャンルの中だけの反応、広がってもサブカル好きな人達の領域までだったのですが。国民的人気バンドとのコラボレーションで、本当に広い範囲に自分の表現が届くことを実感しました。今までコラボレーションしていなかった領域の人と創作することで、新しいモノがうまれたり、より違う人に作品を届けることができると思ってますね。自分一人では、今まで全然興味が無かった人に気付いてもらうことは難しいですからね。

僕がやっている短編アニメーションというジャンルはメジャーではありませんが、それでも違うジャンルの人たちと対等に渡り歩いていくためには、違うジャンルの人が聞いても分かるような映画祭で結果を出していかないといけないと思っています。それは、カンヌ、ベネチア、ベルリン、アカデミー賞などです。それを名刺代わりに他ジャンルに乗り込んでいくのです。これからも、自分のアニメーションの世界観で勝負していきます。

 

 

水江未来 ©2009年 「JAM」

水江未来 ©2009年 「JAM」

ーー 「観客の反応」を徹底的に大切にし、作品を作りこむ水江未来さん、来週(11月28日[金])は「【第2回】「同じことをやっても意味が無い。」水江未来の生い立ちとは?」と題し、水江未来さんがアニメーション作家になるまで過程をお送りします。

撮影:其田有輝也 執筆:Creator’s MAGAZINE編集部

 

 

クリエイター:水江未来(@MIRAI_MIZUE)

水江未来さんのプロフィール画像

アニメーション作家・イラストレーター。「細胞」や「幾何学図形」をモチーフにした、物語のない音楽的なアニメーションを制作している。その作品は、ヴェネチア映画祭やベルリン映画祭でワー ルドプレミア上映され、世界最大のアニメーション映画祭・アヌシー国際アニメーション映画祭では日本人最多の2度受賞するなど、国際映画祭での評価を高めている。国内では、2014年にGLAYとコラボし、『GLAY EXPO 2014 TOHOKU』のアニメーション映像の演出や、マスコットキャラクターのデザインなどを手がけた。同年、自身の短編作品を集めた、映画『ワンダー・フル!!』が全国15劇場で公開。多摩美術大学情報デザイン学科メディア芸術コース、京都精華大学芸術学部映像コース・非常勤講師

【関連リンク】
※お仕事のご依頼は、映像デザイン事務所”MIRAI FILM”公式サイトよりお問合せ下さい。
MIRAI FILM:http://miraifilm.com/

水江未来さんのTwitterアカウントはこちら

「MIRAI FILM SHOP」
水江未来のアニメーション原画が買えるネットショップがオープンいたします。100種類の原画を中心にdvdや各種グッズが揃った充実のラインナップです。作者自らが原画を送る、まさに産地直送のお店となっています。

「天才万博」
キングコング西野亮廣さんが司会を務める音楽フェスで、オープニング映像として水江未来さんの新作アニメーションが初披露されます。また、ライブ中はVJとして各ミュージシャンと共演もします

公演日:2014年12月26日(金)
会場:東京キネマ倶楽部
開場:18:00
開演:19:00
料金:1F スタンディング¥3,000
出演:ショピン/SEBASTIAN X/ハッチハッチェルオーケストラ/みにまむす/ハンバートハンバート
司会:キングコング西野亮廣
問い合わせ先:ホームレス小谷(070-6981-7784)
チケット:チケットぴあにて発売中[Pコード:232-571]主催者のホームレス小谷から直接購入も可能(@kotanimakoto)

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