そこはかとなく好奇心を刺激するクリエイターの秘密基地。

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【第5回】二人は誰に影響を受けたのか?[井上涼x奥下和彦 人気クリエイター対談]

   

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 奥下和彦さんが自身の作品紹介記事の連載を開始するにあたって、学生時代からの師である井上涼さんと対談をしていただきました。学生当時の意外なエピソードから、作家性を育むまでの苦節、自身そしてお互いの作品への思いや、これからの制作に必要となってくることなど、このおふたりだからこそお聞きすることができたディープな内容となっております。クリエイター、あるいはそれを目指す方はもちろんのこと、おふたりのファンの方々にも作品をより楽しんで頂けるのではないでしょうか。全5回、ぜひお楽しみください。

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クリエイター:井上涼(写真左)

 「楽しみ」をテーマに映像、イラスト、漫画、パフォーマンスなど、様々な制作活動を行うアーティスト。作品制作の殆ど(作曲、作詞、歌、撮影、台詞、イラスト、編集など)を1人でこなし、現在NHK Eテレで、世界の「びじゅつ」を自作の歌とアニメで紹介する番組「びじゅチューン!」が放送中である。2005年には自身がゲイであることを作品を通してカミングアウトしており、「やる気あり美」のメンバーとして、世の中とLGBTとの接点を作るための活動も行っている。

赤ずきんと健康:http://www.youtube.com/watch?v=FI452L8bpkw
びじゅチューン!:http://www.nhk.or.jp/bijutsu/bijutune
やる気あり美:http://yaruki-arimi.com
ペネロペの星(ブログ):http://penerop963.exblog.jp
Twitter:http://twitter.com/kitsutsukijanai

クリエイター:奥下和彦(写真右)

金沢美術工芸大学視覚デザイン科、東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻卒業。クリエイターズマネージメントFOGHORN所属。2009年に制作した「赤い糸」が数々のコンペに入賞し、世界最大のデジタルフィルムフェスティバル「RESFest」のファウンダーJonathan WellsのキュレーションによりTED2010 Long Beach他でも同作品が上映されネット上の話題をさらう。更に2011年よりTV朝日の「報道ステーション」のオープニング映像を担当しグッドデザイン賞を受賞。以後多くのTV-CM、MUSIC VIDEO、イラストレーション、絵画の展示販売、そしてライブペインティングを手掛け、現在に至る。

公式サイト:http://okushitakazuhiko.com
ブログ:http://okushita-blog.tumblr.com
Twitter:http://twitter.com/kazzroad01

制作に影響を受けたクリエイターは?

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奥下 多分一番影響を受けたのは、佐藤雅彦さんですね。考え方とかもすごい好きで最近も本を読み返したりしているんですけど。

井上 なんて本?

奥下 本だと、『考えの整頓』とか、『佐藤雅彦 全仕事』とか、古本で取り寄せたりしていますね。新しい価値観を作っているところが、すごい素敵だなあって。最近ネットで気になる人を調べてみると、みんな佐藤さんの教え子だったりするんですよね。それで改めてまた最近調べ直したりしていますね。井上さんはどうですか?

井上 わたしは誰だろう…ビヨンセとか?でも、そんなでもないんかな。でも、安室ちゃんと、Perfumeとか歌って踊る人に影響受けてますかね。歌手とかダンサーとか、パフォーマーの人が多いと思います。

奥下 作品とかにも影響しているんですか?

井上 身一つで何かを表現したり格好良く見せたりっていうのを徹底してたり、「人を魅せる」ってのをやってたり、そういうところは影響を受けているのかなって。

奥下 具体的にはどんな感じで作品につながっていくんですか?

井上 そうですねえ、自分がビヨンセのつもりで、だとか。そんなことはないかな?笑

奥下 じゃあ、キャラクターの動きであったりだとか?

井上 でもそこは、アニメからの影響のほうが大きいかもしれないですね。『少女革命ウテナ』とか。

奥下 僕、見たことないです。

井上 そう? 中学生の頃ずっと見てたアニメで、それにはものすごい影響受けてますね。 花が咲いて散る、だとか、スカートの裾がうわー!ってはためくのだとか。そういうカットがめっちゃ出てくるアニメなんですけど、すっごい好きで。アニメの中ではそれが一番かもしれないですね。

奥下 ぼくは、あと2人いて。ノーマン・ロックウェルっていう画家の人がすごい好きで、人間に対する優しい眼差しだとかは結構影響受けてますね。あと、映像作家でもたくさんいるんですけど、やっぱりミシェル・ゴンドリーですかね。

井上 へえー。どのPVが好きとかあるの?

奥下 カイリー・ミノーグの『Come Into My World』と、Daft Punk の『Around The World』とか。最初見た時、うわー!ってなりましたね。

井上 あの街を回るやつね。
あとはThe Chemical Brothersの『Star Guitar』とかも。

井上 電車の風景やつか。 動く奴ばっかやんか。笑

奥下 確かに移動するのが多いっすね。笑 そういうのが好きです。

井上 単純に映像として面白いだとか?

奥下 映像の面白さを教えてくれたところがその3つにはすごくあって。21世紀美術館が出来て、そこに無料でみれる図書コーナーみたいなのがあって。学生でお金はないけど、でもここなら無料で見れるっていって、置いてあったDVDを見たら、ええ!と思って。それで映像を作ろうって思いましたね。

井上 へえー。そうだったんだ。

奥下 それまでは映像にほとんど興味が無かったんですけど。

井上 それって何歳くらいの時?

奥下 浪人していた時なんで二十歳くらいですかね。あれから10年も立つんですね。笑

井上 そうだよー。

奥下 あはは笑 高校生の時は絵が好きで絵描きになろうって思ってたんですけど、それ見たら、「あ、おれもう映像がいいわ。」って笑 簡単に鞍替えして。笑

井上 そのときに見たDVDが?

奥下 ディレクターズレーベルっていう3本くらい色んな監督のMVを集めたものだったんですけど、それがさっき言ってたMVとかですね。あとは、クリス・カニンガムもすごく好きで。友達に勧めたら、「夢に出てきそう。」だとか、「なんでこれがいいの?」とかすごい言われたんですけど。

井上 クリス・カニンガムはどこが好きなの?

奥下 やっぱり音とのシンクロじゃないですかね。世界観の作り方もすごいんですけど、音と映像がシンクロするとこんなことになるんだ!って思いましたね。

現在制作されているGIF作品について想いを教えて下さい。

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奥下 昔は全然gifに興味がなかったんですけど。

井上 そうなの?いつぐらいから?

奥下 中学生くらい、インターネット始めた頃くらいですかね。その頃は未だ映像に興味がなかったってのもあると思うんですけど、gifアニメに全然興味がなくって。当時からMVは好きだったんですけどそれ以下の尺の短いループには興味が沸かなかったんですね。音がないってのもありますし。 でも、最近になってすごく見方が変わって。特にSNSがgifアニメに対応してきたりだとか、みんながスマホで作品に触れるってなった時に、すごい手軽に見れるなって思って。それで自分で実際に作り始めてみたら、永遠にループするっていうのがものすごい魅力的に思えてきて。それでどんどんハマっていきましたね。

井上 わたしもをそうだと思う。SNSでみんながシェアするのはgifアニメが多いですし。わたしはいわゆる面白gifを見ているのがすごく好きですね。わーって踊っててバーンって引かれるああいうのだとか。そういうのを見て、「わはは、おもしろ―」って。 それから何より、簡単に送れるようになりましたからね。

奥下 そうですね。前から作る方法はいっぱいあったんでしょうけど。

井上 因みになに使って作ってるの?

奥下 僕はPhotoshopとIllustratorで作ってますね。

井上 へえ、Illustratorも使ってるんだ?

奥下 そうですね。それでPhotoshopに持っていって「Web用に保存」ですね。

井上 そうそうそう!それそれ!笑

奥下 こんな簡単にできるんだ!って。

井上 そうそう、すごい簡単なのよ。あとはアフターエフェクトくらいですかね。

奥下 あと僕、ループをした時に始めにちょうど戻るっていうのがすごく好きで。そうすると永遠と見ていられる。絵画っぽいと言いますか。終りがないと、永遠と鑑賞できて。そんな感じが好きです。

井上 へえー。わたしはgifアニメはSNSの中で波みたいに流れていくものだと思っているので。作品一個に動きを凝縮して、わー!って動くやつ多いじゃないですか?普段アニメを作る時だと、ここであれがああなって次にこれが、って積み重ねて制作をしていくんですけど、gifアニメはものの6秒とかで終わらなきゃいけないから、ぎゅって詰めて。詰め込むのがひとつの正解と言うかあり方だと思ってますね。その詰め込み感が面白いなって思います。

奥下 そんな感じはしますね。「すばらGIF劇場」とかはどうやってアイデアだしたりしているんですか?

井上 あれは、「やる気あり美」っていう団体の中でやっているので、気軽にみんながシェアできて、それで、ゲイの気持ちとか、こんなこと思ってるんだ、っていうのが分かる一瞬のものを作ろうっていう目的があって制作しているので。

奥下 あれ、めっちゃいっぱいありますよね。どのくらいのペースで作ってるんですか?

井上 ウェブマガジン的なので割りと不定期で。ふた月で10個くらいですかね。でも1個作るのに、一日以内とかで出来るから、そこの早さとかはいいなって。

奥下 心の負担的にも楽ですよね。

井上 そうですね。バンバン更新していかなくてはいけないものなので、スピードに合わせたやり方っていうのは大切にしていますね。

奥下 映像作品3分ってなると、ちょっと気合を入れなきゃいけないんですけど、gifだと気楽に出来る感じはありますよね。

井上 クロッキー感覚みたいな。

奥下 だからこれからもっとgifのクリエイターは増えていくんじゃないですかね。

今後やっていきたいことは?

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奥下 ぼくは海外の方ともっと仕事をしていけたら嬉しいですね。さっきもちらっと話したんですけど、僕は家から基本的にでないような人間なので、作品だけでも外に出て行ってくれれば嬉しいです。

井上 作品が外に出ていくと、どういうところが嬉しいの?

奥下 他の言語でのリアクションがあるじゃないですか、それを翻訳するのがすごい楽しくって。

井上 海外でこう言われたとかってなんかある?

奥下 変なふうにディスられたこともありますね。ロシア語かなんかで訳してみたら「くだらねえよ!」とか。でも、反応があるのはやっぱり嬉しいですね。笑

井上 海外に出ていく時も、一筆書きは続けていくの?

奥下 そうですね、もうちょっとあの手この手で違う見え方でも進めていきたいなとは思ってます。

井上 MVとかCMとか、どれがに拘らずにいろんなことをやっていきたいという感じ?

奥下 そうですね。どれがっていうのは特にないですね。一筆ってことを極めていきたくて、その方向で色んな人に届いてくれたら嬉しいです。井上さんはどうですか?

井上 わたしは世界に広がれる状態にとって、日本語を使うことが弊害にならないように気をつけるっていうことと、あと
は、疲れている人が作品を見て「癒やされました」って言ってくれる事が多いので、それがなぜなのか?っていうのをもう少し理解したくて。わたしの作品のどこに惹かれて、どこに癒やされたのかっていうところを知ることで、もっと人の心に染みこむにはどうすればよいのか、ってところを知りたいですね。最近はライブパフォーマンスとかもやっていて。とは言っても、ヘタウマなんですけど。アニメはアニメで広がっていくものだし、自分の身一つでできることもまだ色々あるように思っていて。こういうのを横浜アリーナとかでやってみたいですね。笑

奥下 いいですね、いきたい。笑 「二階席のみんなー!」みたいなの。笑

井上 そうそうそう。昨日もライブだったんですけど、コールアンドレスポンスってあるじゃないですか?「Say、HO!」「HO!」みたいなの。あれやりたかったんですけど、あんまり上手くいかなくて。横浜アリーナまだ遠いわー。笑

奥下 あはは笑

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クリエイター:井上涼(写真左)

 「楽しみ」をテーマに映像、イラスト、漫画、パフォーマンスなど、様々な制作活動を行うアーティスト。作品制作の殆ど(作曲、作詞、歌、撮影、台詞、イラスト、編集など)を1人でこなし、現在NHK Eテレで、世界の「びじゅつ」を自作の歌とアニメで紹介する番組「びじゅチューン!」が放送中である。2005年には自身がゲイであることを作品を通してカミングアウトしており、「やる気あり美」のメンバーとして、世の中とLGBTとの接点を作るための活動も行っている。

赤ずきんと健康:http://www.youtube.com/watch?v=FI452L8bpkw
びじゅチューン!:http://www.nhk.or.jp/bijutsu/bijutune
やる気あり美:http://yaruki-arimi.com
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クリエイター:奥下和彦(写真右)

 金沢美術工芸大学視覚デザイン科、東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻卒業。クリエイターズマネージメントFOGHORN所属。2009年に制作した「赤い糸」が数々のコンペに入賞し、世界最大のデジタルフィルムフェスティバル「RESFest」のファウンダーJonathan WellsのキュレーションによりTED2010 Long Beach他でも同作品が上映されネット上の話題をさらう。更に2011年よりTV朝日の「報道ステーション」のオープニング映像を担当しグッドデザイン賞を受賞。以後多くのTV-CM、MUSIC VIDEO、イラストレーション、絵画の展示販売、そしてライブペインティングを手掛け、現在に至る。

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Twitter:http://twitter.com/kazzroad01

(執筆:CREM編集部 篠宮航太)

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