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【第1回】「教育されてきたベタから開放されること」とは?ひらのりょうインタビュー特集

      2014/12/18

【第1回】「教育されてきたベタから開放されること」とは?ひらのりょうインタビュー特集

ひらのりょうさんは、第15回文化庁メディア芸術祭で「Hietsuki Bushi」でエンターテインメイント部門 新人賞を受賞、先日開催された、新千歳空港国際アニメーション映画祭2014では、「パラダイス」が国内グランプリを受賞するなど、独特の世界観とタッチで描く注目のアニメーション作家です。Creator’s MAGAZINEにてGIF漫画の連載を記念し、本インタビューでは、2回に分けてひらのりょうさんの現在の作風に至った背景や創作の哲学、幼少期からの生い立ちについてお話いただきます。(撮影:吉川卓志 執筆:Creator’s MAGAZINE編集部)

【第1回】「教育されてきたベタから開放されること」とは?
【第2回】「徹底的あまのじゃく精神。」ひらのりょうの生い立ちとは?

クリエイター:ひらのりょう

ひらのりょうさんのプロフィール画像

1988年埼玉県春日部市生まれ。多摩美術大学情報デザイン学科卒業。クリエイターズ マネージメントFOGHORN所属。
産み出す作品はポップでディープでビザール。文化人類学やフォークロアからサブカルチャーまで、自らの貪欲な触覚の導くままにモチーフを定め作品化を続ける。その発表形態もアニメーション、イラスト、マンガ、紙芝居、VJ,音楽、と多岐に渡り周囲を混乱させるが、その視点は常に身近な生活に根ざしており、ロマンスや人外の者が好物。

【インタビュー特集】「教育されてきたベタから開放されること」とは?

ひらのりょう ©2009年 「河童の腕」

ひらのりょう ©2009年 「河童の腕」

ーー アニメーション作家を目指されたきっかけはどのようなことだったのでしょうか。

 

ひらのりょうさん(以下、敬称省略)大学2年生の時に、あるアニメーション作品を見たのがきっかけですね。イーゴリ・コバリョフ先生の「Milch」という作品を見た時です。今まで見たとこのないような作品で、初めてアニメーション作品に対する驚きを覚えましたね。ストーリーを追いかけるとは違う楽しみ方に取り憑かれましたね。

 

ーー 「見たことの無い作品」とはどのようなことを指すのでしょうか。

 

ひらのりょう 文化を超えた表現がそこで成り立っていたと感じています。今まで見てきた映像作品は刷り込まれた文法どおりというか、今まで教育されてきたベタみたいなものが映像になっていると思います。

もちろんコバリョフ先生はウクライナの方なので、ウクライナのベタ、文法の流れをくんでいるのかもしれません。だけど、それ以上に、詩のような、なにか文化的な壁を超えた映像作品になっています。これは一体なんだろうと驚きを与えてくれました。このような削ぎ落とされた作品の中で謎が生まれていくのだと思います。
【第1回】「教育されてきたベタから開放されること」とは?ひらのりょうインタビュー特集

ーー ひらのりょうさんの現在の世界観が完成されたのはいつ頃だったのでしょうか。

 

ひらのりょう 完成したという認識はないですね。初めは見よう見まねでした。ひたすら自分自身の感性のままに、作りたいものを作りました。絵を描くのが難しい場所では写真を使ったり、アニメーションの作り方を変えてみたり、その試行錯誤の積み重ねが今に繋がっていると思います。作品に触れるなかで、自分でああでもない、こうでもないと編み出していった感じですね。

 

ーー 自分の作りたいものを作ることを大切にされているのですね。イーゴリ・コバリョフ氏以外にはどのような作品を見ていたのでしょうか?

 

ひらのりょう 正直に言うと、大学に入るまで漫画や映画はほとんど見ていなかったんですよ。興味もそんなに無かったんです。高校時代はニュージーランドで過ごしました。(※)高校時代は日本語に飢えてたので両親が送ってくれた小説を読むくらいでした。

単純に絵を描くのが好きな子でした。大学は多摩美術大学情報デザイン学科に進学するのですが、美大に入ってから、友達がお勧めする映画・漫画・小説、いろんな作品を観てみたら全部面白くてびっくりして、観るようになりました。 アニメーションでは、ユーリ・ノルシュテインさん、プリート・パルンさん、和田淳さん、タナカカツキさん…etc 多くの方の作品を繰り返しみていました。 (※ひらのりょうさんの生い立ちは第2回にお話いただきます。)

 

Omodaka/ひらのりょう ©2011年 「Hietsukibushi」ミュージックビデオ

Omodaka/ひらのりょう ©2011年 「Hietsukibushi」ミュージックビデオ

ーー 漫画・映画に興味が無かったとは意外ですね。

 

ひらのりょう でも、偏見を持たずに、多くの作品に触れることができたことが良かったと思ってます。自分の嗜好性によって見る作品を選り好みすることなく楽しめました。僕にとっては、アート寄りの作品も、ジャッキーチェンのカンフー映画も同じベクトルに見ることができました。ジャンルにとらわれることなく、いいところを全部取り入れたいと思いました。

 

ーー ジャッキーチェンもアートも同じライン上とは面白いですね。取り入れた良い所とはどのようなことだったのでしょうか。

 

ひらのりょう かわいいキャラクターが、猟奇的なことをしたりと僕の作品のキメラ的な部分が取り入れてる所ですね。物を知らないコンプレックスがあるからこそ、芸術や商業といわれるような垣根も分からないままとにかく色々なものを一気に好きになって吸収しました。

 

【第1回】「教育されてきたベタから開放されること」とは?ひらのりょうインタビュー特集

ーー それは、他の作品から学ぼうという謙虚な意識が常にあるという感じなのでしょうか。

 

ひらのりょう 謙虚であろうとしているわけではないですね。ただ純粋に、貪欲に、知りたいという気持ちからだと思います。僕の根本にある「物を知らないコンプレックス」は消えることは無いと思います。常に色んな作品に触れていたいと思ってます。

 

ーー 何を考えながら、多くの作品を見ていらっしゃるのでしょうか。

 

ひらのりょう 一番注意しているのは、作者の発想のプロセスを考えることです。もちろん映像作品の手法も勉強しますし、参考にはします。それでも、映像を作る手法を真似るだけでは、作品の本質は捕えることは出来ないです。なんでこの作品が作られたのか、なんで作者がこの手法を選んだのか、バックグラウンドを意識しています。これって、普段見ている、テレビや、ミュージックビデオ、漫画、アニメ、どんな作品でも考えながらみるとけっこう楽しいと思います。

 

ーー 手法を学ぶことはもちろんですが、それ以上に作られたプロセスに意識を向けることが重要なのですね。

 

ひらのりょう そうですね、コバリョフ先生の作品を見た時もそうでした。最初の衝撃は分析しがたいものだったんです。もう、交通事故にあった感じですね(笑)。これに近づくには、なんでこの作品がこの世にあるのか?どういうものをつくればいいのか?をひたすら考えてました。その時、僕なりの作品の方向性として感じたのは「お約束じゃ図れない詩のような何か。」です。

 

Omodaka/ひらのりょう ©2011年 「Hietsukibushi」ミュージックビデオ

Omodaka/ひらのりょう ©2011年 「Hietsukibushi」ミュージックビデオ

ーー 「お約束じゃ図れない詩のような何か。」とはどういうことでしょうか。

 

ひらのりょう 自分自身が見ているこの世界を忠実に描こうとした場合に、物語的なお約束ごととはかけ離れた出来事の積み重なりに気付くと思います。それらの情景を忠実にアニメーションとして描き出すのは、写実的に描くという作業とはまた別のプロセスが必要になってくると考えました。

自分を取り囲むこの現実の世界で起きていること、環境を含む全ての情景を忠実に浮き上がらせるためにまず、ある種ベタみたいなものから一旦思考を自分なりに外していく。そのうち自分がいるこの世界に対する疑問や興味を持った部分が出てくるので、とにかく資料を買い集めて読みあさるなどリサーチをします。 そこから浮かび上がる物語を組み立てられたらなにか新しい角度の真実のような何かが描けるのではないかと考えています。

 

ーー 序盤でおっしゃっていた、「刷り込まれた文法」や「教育されてきたベタ」とはこのことを指していたんですね。

 

ひらのりょう そうですね。具体的なメッセージとしてこれを表現したいんだと強く思うことはないのですが。作品を作りたいという衝動がある以上自分では掴みきれない何かがあるのだと思います。

 

ひらのりょう ©2014年 「パラダイス」

ひらのりょう/FOGHORN ©2014年 「PARADISE」

ーー 映画や漫画に興味がなかった時期があったことで、偏見無く多くの作品を触れることができたというひらのりょうさん。単純な手法だけでなく、思考のプロセスを探っていくことがひらのりょうさんの作家性に繋がっているとのことでした。来週(12月18日[木])は「【第2回】「徹底的あまのじゃく精神。」ひらのりょうの生い立ちとは?」と題し、ひらのりょうさんの生い立ちに迫ります。

撮影:吉川卓志 執筆:Creator’s MAGAZINE編集部

 

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ひらのりょうさんインタビュー&GIF漫画連載を記念し、「ひらのりょう×GIFMAGAZINEコラボTシャツ」を3名の方にプレゼントいたします。

コラボTシャツプレゼント応募方法

「12/11(木)【第1回】「教育されてきたベタから開放されること」とは?」「12/18(木)【第2回】「徹底的あまのじゃく精神。」ひらのりょうの生い立ちとは?」の記事を読んで、感想をツイートしてくださった方、抽選で各記事3名(合計6名)の方にコラボTシャツをプレゼントをいたします。ご連絡はGIFMAGAZINE公式Twitterアカウントからご連絡をいたしますので、よろしければ、@gifmagazineをフォローしていただけると幸いです。プレゼントの発送は12月中を予定しております。

【プレゼント内容】ひらのりょう×GIFMAGAZINEコラボTシャツ
【方法】
「12/11(木)【第1回】「教育されてきたベタから開放されること」とは?」「12/18(木)【第2回】「徹底的あまのじゃく精神。」ひらのりょうの生い立ちとは?」の記事を読んで、各記事のツイートボタンから感想をツイートする。

【選考】各記事をツイートして下さった中から抽選で3名(合計6名)

【キャンペーン締切】2014年 12月24日(水)

【当選連絡の方法】@gifmagazine公式アカウントからメッセージをお送りいたします。

【プレゼント発送】2014年1月中を予定しております。
※写真はイメージです。実際とは異なる場合があります。

 

クリエイター:ひらのりょう(@hira_ryo)

ひらのりょうさんのプロフィール画像

1988年埼玉県春日部市生まれ。多摩美術大学情報デザイン学科卒業。クリエイターズ マネージメントFOGHORN所属。
産み出す作品はポップでディープでビザール。文化人類学やフォークロアからサブカルチャーまで、自らの貪欲な触覚の導くままにモチーフを定め作品化を続ける。その発表形態もアニメーション、イラスト、マンガ、紙芝居、VJ,音楽、と多岐に渡り周囲を混乱させるが、その視点は常に身近な生活に根ざしており、ロマンスや人外の者が好物。

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【関連リンク】
ひらのりょう公式サイト:http://ryohirano.com/

▶︎12/13〜12/19まで、渋谷 アップリンクにて「ひらのりょうまんがまつり」開催中!
http://www.uplink.co.jp/movie/2014/33646
▶︎WEBマガジン「トーチ」にて連載中の 「ファンタスティックワールド」が第18回文化庁メディア芸術祭審査員会推薦作品に選ばれました。http://to-ti.in/product/?id=9
▶︎マネージメントHP http://foghorn.jp/

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