そこはかとなく好奇心を刺激するクリエイターの秘密基地。

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【第3回】八崎篤がつくるコミュニティ・オトナリatたちかわ

      2015/07/25

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「どうすれば日本の森林について知りたくなって、国産の木を使いたくなるか?」この問いに対して真摯に向き合っていらっしゃるクリエーター、八崎篤さん。八崎さんはドイツで環境生態学を学んで以来、ずっと木材とお仕事をしていらっしゃる木の専門家。その経験を生かして、木を使ったものづくりとワークショップを全国各地で展開されています。

一般的には、お箸やスプーンなどが多いですが、八崎さんの取り組みは実にユニーク。カホンというペルーの打楽器や木製のウッドピックを作っているんです。また、単にものを作るだけではなく、人と地域を繋いでいるコミュニティーデザイナーでもあります。今回は、八崎さんが作っているプロダクト・ワークショップ・コミュニティーの3つに焦点を当て、その内容を伺いました。

(執筆:CREM編集部 丸山亜由美)

クリエイター :八崎篤(プロダクト・コミュニティーデザイナー)

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カホンプロジェクト 東京/TOKYO WOOD PICK 代表/オトナリ 代表、長崎県出身。
ドイツで環境学を学んだのち、輸入建材商社(日本オスモ株式会社、株式会社ハーフェレジャパン)に在籍。
仕事を通じて日本の森林や木材事情に興味を持ち、カホンプロジェクトに参加。
現在はフリーランスとして国産木材の利用を促すイベントや参加型音楽ライブの企画運営や
ワークショップデザイン、講演活動、地域資源を活かす製品のプロデュースなどを手掛ける。

・カホンプロジェクト 東京:http://woods-kids.jp/
・TOKYO WOOD PICK :http://tokyowoodpick.com/
・オトナリatたちかわ:http://otonarimusic.wix.com/tachikawa

【第3回】八崎篤がつくるコミュニティ・オトナリatたちかわ

1.街が楽しくなる、オトナリさんと呼べる人間関係
2.自分たちの創ったものに、ストーリーが付いてゆく

1.街が楽しくなる、オトナリさんと呼べる人間関係

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最終回は八崎さんが作っていらっしゃるコミュニティ「オトナリatたちかわ」に注目。どのようなイベントが立川の街で開催されているのでしょうか?

−−このイベントはいつから開催されているんですか?

八崎さん(以下、敬称略)去年の6月から2ヶ月に1度のペースで開催していて、7回目を迎えました。オトナリさんがふえると、マチがもっと楽しくなるというコンセプトで、音楽のライブと立川の美味しい街歩きが楽しめます。」

−−このイベントを企画したきっかけは?

八崎「立川駅の近くに、立川市子ども未来センターという地域の複合施設があります。そこの芝生広場で、東京の木を使ってカホンを作ろうというプロジェクトをずっとやっていました。音楽系のイベントが無かったのでやりたいなと、施設のコーディネーターさんと合う度に企画のことを話していて。カホンで森・街・人を繋げてきたので、今回もそうしたかったんです。地元の商店街の人と知り合う機会があって、街歩きを入れたらいいのではないか?という話になり、だんだんと企画が進んでいきました。」

−−実際にイベントが形になるまでは、どのような話し合いが? 

八崎「イベントの骨組みを組み立てるのは、自分たちだけではできない。だから、初めから商店街と信用金庫、商工会のみなさんに入ってもらったんです。運営資金のことなどを説明して、協賛費はもっと少ない方がいいとか、入れ替わりではなくずっと続けてくれるお店を増やした方がいいなどアドバイスをもらいました。ライブを見て、参加者のタグを付けて お店に行って、ご飯を食べながら「ライブよかったですね」と語れる。その出会いが1年後だとちょっと遠すぎるので、2か月に1回のペースにしました。」

−−オトナリというネームには、どのような想いが込められているのでしょうか?

八崎オトナリさんと呼べるような関係の人が1人でも10人でもいたら、街はもっと楽しくなる。改めて考えると、自分の住んでいる街に関わってないなと思って。顔見知りの人が増えて、「どうもどうも」ってなったら安心して子育てもできるし、街のことも好きになる。そうやって盛り上がっていければいいなという想いです。」

−−会場はどんな雰囲気なのでしょう?

八崎音楽系イベントは行く人が全体の1割くらいで、クラブとかもなんかイメージが暗かったりする。だからオトナリは子供もおじいちゃんおばあちゃんもふらっと来れてアーティストや音楽に興味をもてるような場を目指しています。生まれて初めてCDを買いましたといってくれた人もいて、気軽にアーティストに話しかけることができますよ。」

−−音楽アーティストはどのような方がいらっしゃるのでしょう?

八崎「アーティストはオトナリの会場の雰囲気に合う人、もちろん演奏が上手な人を呼んでいます。自分と歳が近い人で、ずっと音楽を続けている人ってプロじゃなくても超上手いんですよ。だからそういう人に声かけをしています。今後はクオリティを保ちつつ、できれば地元の人に出てもらいたいんです。でもクオリティが1番大切で、イベントの質にも直結しているので、誰でも出れるわけではないですが。」

2.自分たちの創ったものに、ストーリーが付いてゆく

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−−子供の頃、八崎さんはどんな少年でしたか?

八崎「小さい頃はよく外で遊んでいました。わりと野生です。実家では4羽くらい鶏を飼っていて、朝ごはん用のタマゴを採ったり田んぼで靴を無くしたり。大村の中では都会の方だったけれど、環境には恵まれていましたね。親父が親戚から土地を借りて、野菜とかを育てていた。そういうところにいると森林の問題とかは気がつかなくて。知ったとき、勉強したいと思ったんです。」

−−環境などの社会の問題を知って、自ら勉強して何かしようという人とそうでない人がいる。八崎さんは、なぜ前者を選んだのでしょうか?

八崎「そっちの方が色々大変だけれど、楽しいからです。今はものづくり工房やデジタル機器を揃えるFabスペースが各地にできて、作る側にいくハードルが下がっているので、パワーはいるけれど単に買って消費するよりも意味がある。欲しいものは自分で創れる時代だし、こういう風になった方がいいなという将来は創らなくてはいけない。待っているだけではしょうがないので。小さいことだけれど、ものづくりもコミュニティづくりも楽しいですよ。」

−−その楽しさを実感するのは、どんな時ですか?

八崎「この前お店で飲んでいたら、「この前オトナリっていうイベントに行って超たのしかったぜ?今度行こうよ」って聞こえてきたんです。思わず、それ僕ですー!って言いたくなってすごく嬉しかった。そうやって自分たちの創ったものに、ストーリーが付いていくのが楽しい。自分のやりたいことによって、人と繋がってゆくんです。」

−−今後の展望について教えてください。

八崎社会的な意義のあるものづくりを続けてゆきたいです。オトナリは単にイベントという意識はあまりなくて、コミュニティの輪をイベントを通して広げてゆきたい。カホンプロジェクトの活動でいうと、植林イベントなどが多いけれど、もう植えるところが無くなってきている。木材を使う方向にシフトしてお箸やスプーンのワークショップが多いけれど、音楽や芸術としての表現で進めてゆきたいです。」

−−だからカホンやウッドピックというアイデアが生まれるんですね。

八崎「あとは森側の人の意識にもう少し踏み込んでいきたいんです。対話のワークショップを通じて、問題解決のアプローチを一緒に考えてもらいたい。森側の人が「うちも何かやってみようかな?」という意識になってもらえたらスピードが増すので。今はまだ材料を提供してもらっているという関係。ワークショップの中から森林系の会社に就職したい人がいたら、森側の人に紹介することもできるかもしれない。そういうことを進めてゆきたいです。」

次回のオトナリは8月5日(水)の開催、アーティストはtoricolorさんが出演とのことです。童心にかえって踊った後は、美味しい街歩きが待っています。たまたまテーブルの隣に座り合わせた人が、運命のオトナリさんになるかもしれません。

(執筆:CREM編集部 丸山亜由美)

クリエイター :八崎篤(プロダクト・コミュニティーデザイナー)

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カホンプロジェクト 東京/TOKYO WOOD PICK 代表/オトナリ 代表、長崎県出身。
ドイツで環境学を学んだのち、輸入建材商社(日本オスモ株式会社、株式会社ハーフェレジャパン)に在籍。
仕事を通じて日本の森林や木材事情に興味を持ち、カホンプロジェクトに参加。
現在はフリーランスとして国産木材の利用を促すイベントや参加型音楽ライブの企画運営や
ワークショップデザイン、講演活動、地域資源を活かす製品のプロデュースなどを手掛ける。

・カホンプロジェクト 東京:http://woods-kids.jp/
・TOKYO WOOD PICK :http://tokyowoodpick.com/
・オトナリatたちかわ:http://otonarimusic.wix.com/tachikawa

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