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【第3回】宇宙に挑むために必要な「10のこと」Google Lunar XPRIZEで世界と競う チームハクト 

      2015/06/12

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国際宇宙開発レース「Google Lunar XPRIZE」に挑む日本初の民間月面探査チーム、ハクト。株式会社ispaceが運営し、日本で唯一GLXPに参戦します。東北大学大学院教授であり、株式会社ispace CTOの吉田 和哉教授が中心となって月面探査ローバーの開発を行い、2015年1月には見事GLXP中間賞の「モビリティサブシステム」部門を受賞。今後の展開にますます目が離せません。本連載ではハクトを率いるリーダーである袴田さんにドリームチームを結成するためのヒントを伺い、全3回でお送りします。
(執筆:CREM編集部 丸山亜由美)

クリエイター :袴田 武史

 
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多彩なスペシャリストがこぞって参加したくなるプロボノチーム、ハクトのチームリーダー。スターウォーズに憧れて、宇宙船が飛び交う世界を作ることに情熱を注ぐ。スラムダンク名言集が心の支えである知的な体育会系。

チーム ハクト:http://team-hakuto.jp/

【第3回】宇宙に挑むために必要な「10のこと」Google Lunar XPRIZEで世界と競う チームハクト

 
8:夢を叶えたいなら、その定義を変えろ
9:世界と競う意志を持て
10:宇宙は夢や未来ではない、現実だ

8:夢を叶えたいなら、その定義を変えろ

 

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−−袴田さんのように、やりたいことを実現する、夢を叶えるには

袴田さん(以下、敬称略)夢の定義を変えたほうがいいのではないかと。夢って特に子供になればなるほど、固有名詞を答えるんですよ。警察官、サッカー選手、弁護士…固有名詞になるってとても大変なことだと思うんです。」

−−その固有名詞になれて、その上で活躍できる人って、ほんの一握りですよね。

袴田めちゃくちゃ狭き門だし、そんなことを夢にさせて褒め称えている大人って、ある意味、残酷だなと。なぜなりたいのか、どういった世界を作りたいのかを掘り下げて考えると、固有名詞になる必要がなくなって色々な選択ができるはず。」

−−袴田さんの場合は、どんな風に夢の定義を変えましたか

袴田「最初の頃はスターウォーズに憧れて、宇宙船を作るエンジニアになろうと思った。でも結局のところ、宇宙船が飛び交う世界を作りたかったわけで、エンジニアでなくても良かったわけです。最終的には、民間の宇宙開発が上手く回るような役割になれればいい、というように変わりました。」

−−エンジニアという固有名詞にならなくても、自分のやりたいことは実現できる

袴田あまりにも明確に定義するとダメですね。選択肢が限定されてしまい、とても競争倍率が高い道で戦わなくてはならなくなるので。」

−−固有名詞ではない夢のカタチ。では、それを実現するためには

袴田「本当に夢を実現したければ、状態を表現する内容に変える。少しぼやっとして気持ち悪いかもしれませんが、そうすれば、たくさん選択肢が生まれて、その選択肢の中から自分の才能に見合ったものが見つかるはずです。才能に見合ったことをしないと、挫折して苦労するだけなので。」

−−明確な定義にこだわらず、自分がやりたいことを幅広く捉えて、得意なことで勝負する。叶えることにフォーカスした、理系的な発想の夢の叶え方ですね。

9:世界と競う意志を持て

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−− Google Lunar XPRIZE では、ハクトは日本の代表として世界各国のチームと競っています。その中で感じることは?

袴田「日本では民間の宇宙産業がほぼ無いですが、アメリカでは活発になってきています。でも、ほとんどの日本人はそれを知らない。これは先頭に立ってやってきたから見えたことです。本格的に従業員として一緒にやりたいと言ってくれるのは、海外の人ばかり。日本人にとって、宇宙は居心地の良いところで、仕事としては考えられていない場所なのでしょう。」

−−多くの日本人が、宇宙でビジネスをすること考えられていないのはなぜでしょう?

袴田「まだまだリスクが高くて、自分の仕事にはならないと思っている人が多いのでしょう。特にエンジニアは海外勢が多くて、どんどん飛び込んでくる。日本人から依頼のメールをもらったことがない位です。どちらかというと英語で海外向けにリクルートをしているからかもしれませんが、日本人にも英語というハードルを超えて欲しいし、超える意思を持って欲しい。」

−−そのハードルを越えると、どんな世界が待っていますか

袴田新しいビジネスは常にアメリカで起こっていて、そこにアクセスしやすいのは楽しいですよ。でも、国民性の違いの中で何かを成し遂げなくてはならないので、どうやって競争相手に勝つかを考えることが多いです。今は日本のチームとしてやっているけれど、その後はグローバルでやっていければと。人材も事業も、最初からグローバルスタンダードに合わせて考えればいいと思っています。」

−−競争相手に勝つために、心掛けていることはありますか?

袴田「新しい考え方が全て正しいわけではないですが、できるだけ取り入れたいと思っています。技術に寄るほどリスクが高まり、過去成功した事例に頼りがちになる。宇宙開発とはこういうものである、という固定観念に縛られている限り発展は無いんです。」

−−前例や専門性に縛られると、どんな事態に陥ってしまうのでしょう?

袴田「過去に紐付いた未来しか見えていないから、大御所や専門家が見る未来は当てにならないことが多いんです。一般人が直感的に感じているものが実は正しかったりする。無駄に過去の経験に頼ってしまわないで、新しいやり方に変えてゆくことが必要です。」

10:宇宙は夢や未来ではない、現実だ

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−−宇宙産業のこれからは、どのようになってゆくのでしょうか?

袴田「実際、民間企業では月への輸送の話が出てきています。月で資源開発をしたり、居住スペースを作ったりするためです。月面開発のために、民間開発のガイドラインが設定され、月が観光地や事業の新たなスポットになるでしょう。」

−−宇宙開発のどんなところにワクワクしますか?

袴田新しい市場ができる可能性があることにはワクワクしますね。ただ、個人的にはそれを夢や未来ではなく、現実だと思っています。それをいかに早めるかという感じです。人間が宇宙に生活圏を作ることが進んで、宇宙船がバンバン飛び交う世界が早く実現してほしい。その中で、自分のやりたいことをどうやって宇宙で実現するかを常に考えています。」

−−袴田さんにとって、宇宙は夢ではない。もう少し先に現実のものになる、身近な世界なんですね。

袴田「あと10年、20年以内、自分の目の黒いうちには実現するでしょう。国の宇宙開発は軍事なので、アメリカでは輸出規制をしているんです。人工衛星もその対象で、今まで民間企業は自由に売り買いできなかった。でも、競争環境を作らなければ負けると、人工衛星開発の輸出規制を外したんです。それだけ宇宙開発がすでに夢物語から事業に変化し始めているという証左だと思います。」

−−ますます宇宙開発のスピードは加速しますね。日本の状況はいかかでしょう?

袴田強くなる為に規制を緩和したアメリカに対して、通常、日本はどんどん規制強化に向かっています。勝つために守ろうとしてしまうので、競争原理が働く市場原理が導入されていないのが現状です。予算規模でいえば、JAXAはNASAの10分の1。さらにアメリカは同等以上の軍事予算を投入しているので20倍くらい違うわけです。その中でもJAXAはいい結果を出していると思いますが。」

−−それでは最後に、今後の抱負を教えて下さい。

袴田「2010年の立ち上げから考えると、中間賞も取ってリアルな資金も入って、プロジェクトは進んできています。ispaceとしては、ハクトは人間が宇宙で生活圏をつくっていくための1つのステップ。ロボットの強みを生かしてローバーを月面に打ち上げます。」

最後までご覧下さりありがとうございました。米XPRIZE財団よりコンテスト期間の延長が発表されましたが、ハクトは今後も変わらずに日本初の民間月面探査という目標の実現を目指して活動を続けていくとのことです。今後もサポーターズクラブなどで応援し続けたいですね。

※本文に掲載した写真はハクトよりご提供頂きました。

(執筆:CREM編集部 丸山亜由美)

 

クリエイター :袴田 武史

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多彩なスペシャリストがこぞって参加したくなるプロボノチーム、ハクトのチームリーダー。スターウォーズに憧れて、宇宙船が飛び交う世界を作ることに情熱を注ぐ。スラムダンク名言集が心の支えである知的な体育会系。

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