そこはかとなく好奇心を刺激するクリエイターの秘密基地。

そこはかとなく好奇心を刺激するクリエイターの秘密基地。

【第2回】宇宙に挑むために必要な「10のこと」Google Lunar XPRIZEで世界と競う チームハクト 

      2015/06/11

hakuto_header

 
国際宇宙開発レース「Google Lunar XPRIZE」に挑む日本初の民間月面探査チーム、ハクト。株式会社ispaceが運営し、日本で唯一GLXPに参戦します。東北大学大学院教授であり、株式会社ispace CTOの吉田 和哉教授が中心となって月面探査ローバーの開発を行い、2015年1月には見事GLXP中間賞の「モビリティサブシステム」部門を受賞。今後の展開にますます目が離せません。本連載ではハクトを率いるリーダーである袴田さんにドリームチームを結成するためのヒントを伺い、全3回でお送りします。
(執筆:CREM編集部 丸山亜由美)

クリエイター :袴田 武史

 
hakuto_icon
多彩なスペシャリストがこぞって参加したくなるプロボノチーム、ハクトのチームリーダー。スターウォーズに憧れて、宇宙船が飛び交う世界を作ることに情熱を注ぐ。スラムダンク名言集が心の支えである知的な体育会系。

チーム ハクト:http://team-hakuto.jp/

【第2回】宇宙に挑むために必要な「10のこと」Google Lunar XPRIZEで世界と競う チームハクト

 
4:自分自身がチャンスを掴め
5:説明責任のコストを下げろ
6:その宇宙船は売れるか
7:まずリーダーが諦めるな

4:自分自身がチャンスを掴め

 

2-1

 

ハクトのチームリーダーを務める袴田さん−そのきっかけはなんと、お友達の結婚式

袴田さん(以下敬称略)JAXAに勤める友人で、周りは宇宙人ばっかり。その中の1人が声を掛けてくれて。ハクトの前身はヨーロッパのWhite Label Space、当時ヨーロッパで立ち上がったばかりだったんです。」

このチームは、ヨーロッパの宇宙機関ESAに勤めるエンジニアたちが2008年に結成したもの。月面で活躍するロボット技術を求めており、後にこのパートを東北大学の吉田先生チームが担うことになります。

袴田「改めて2010年にWhite Label Spaceのメンバーが来日しまして。スポンサー集めのイベントだったんですが、投資家というよりも興味ある人が集まった感じでした。朝までみんなで飲んで、なんとなく日本でも進めてみようと始まったんです。」

−−このイベントがセンター試験後の夜、東大の教室で開催されたというのも印象的です。2010年9月にispaceの前身となる会社が正式に立ち上がりますが、リーダーになろうと決めた理由は?

袴田誰かしら責任を取る体制を作らないと誰もやらないので…会社を作って責任をもちましょうと。誰が代表になる?となった時に、みんな自分の仕事が忙しくてなかなか手が挙がらなくて。自分は会社と交渉すれば、時間を割くことができそうだったので、リーダーになりました。」

もともと民間での宇宙開発をやりたいと思っていた袴田さん。40歳位までに実現できればと思っていたそうですが、その展開は予想以上に早く訪れます。責任と引き換えに、予期せぬチャンスは掴めるのかもしれません。

5:説明責任のコストを下げろ

2-2

以前、袴田さんが勤務していたのはコンサルティング会社。外部から何かを買ってくるコストをいかに下げるか、調達コストの適正化を行っていました。どうすれば民間での宇宙開発コストを下げられるのか、ハクトではそのブレーンを担っています。

袴田宇宙開発はとてもお金がかかる。どうすればそのコストが下がるかは、以前からのテーマでした。」

−−国を挙げての宇宙開発には、なぜ巨額の資金が必要なのでしょう?

袴田「それは説明責任の大きさにあります。今の宇宙開発の多くは国が行っていますが、税金を使っているので国民に対して説明をしなければいけません。巨額の資金を出すので失敗しないでほしい、でもリスクが伴う最先端を求められるという矛盾も抱えています。」

−−税金を使うということは、失敗しないで資金を有効活用しているという説明をしなくてはならないわけですね。

袴田最先端を追求しつつ過保護に失敗しないような方法を追求すると、不必要なコストがかかってしまう。民間で行うと説明責任は逃れられないけれど、国民全員に説明する必要はなくて。投資家に納得してもらえばいいんです。」

更なるコスト削減のために、地上でたくさんの実験を繰り返し、万一に備えてサブ機も用意。このような徹底したリスク回避をされているとのこと。失敗を未然に防ぐことが、経営を支えているんですね。

6:その宇宙船は売れるか

2-3

開発費用を抑えることはもちろん大切ですが、完成した機体が商品としての価値を持つことも重要。袴田さんはアメリカの大学院で宇宙船の設計を学び、開発した製品が実際に世の中で売れるかどうかという観点を持ち続けてきました。

袴田「大学院の最初の授業は、チームで旅客機を設計することでした。中間発表で、その飛行機が今のマーケットで売れるかを問われるんです。」

−−なぜ具体的な技術ではなく設計やマーケティングを重視するのでしょうか?

袴田「航空機などの巨大なシステムは単一の技術では成立しません。羽の先端の流れを計算する為のアルゴリズムとか、すごい狭い分野や領域のことだけをやっていても宇宙船は作れないのです。様々な複合的な技術を統合して全体最適解を見つけ出し、さらに経済的なメリットなどを考えないと結局は売れないので、売れる要素を考えていかなければいけないんです。」

大学院の授業は勉強というよりも、経営企画課で働いている感じだったとのこと。“お客さんのニーズを満たすには、どうすればよいか” を考えるプロセスを学んだのは、現在のお仕事でも支えになっているそうです。

7 :まずリーダーが諦めるな

2-4

宇宙というフィールドを舞台に、国際的に活躍する袴田さん。輝かしいスポットライトを浴びるまでには、意外にも色々な回り道がありました。

袴田「小中学校は勉強が嫌いで 英語もクラス最低だったり。自分なりに頑張って、東工大は過去3回受けたけれどダメだった。」

−−心に火をつけて何度もチャレンジする、そのエネルギーになっていることはありますか?

袴田スラムダンクの名言集は大切にしています。“諦めたらそこで試合終了だよ”“断固たる決意” の2つは、物事を進めてゆく上で今も心の支えになっています。」

−−リーダーになられて、大切にしていることは何でしょうか?

袴田まず自分が諦めないことです。常にベストではなくても、前に進む道を考えること。言い訳はあまり好きではなくて…特に他人のせいにするのは。」

−−どうしたら他の人を責めることなく、自分に矛先を向けられますか?

袴田「今の世の中は、多くの人が複雑に関係しあう社会。その中で、他人だけを非難するのは無責任だと思っています。もし重要なことなのであれば、自分自身が関わり影響を与え、よい方向に変化させればいいのです。それがリーダーシップであり、責任を持つということではないでしょうか。」

上手くいっていないことに見て見ぬ振りをしないで、リーダー自身が積極的に関わる。諦めずに何度も挑戦する勇気は、責任を取る勇気と同じなのかもしれません。

次回は最終回、夢を叶えるために、国際的に競争力を持つためにどうすればいいのか?そのヒントをお送りします。

※本文に掲載した写真はハクトよりご提供頂きました。

(執筆:CREM編集部 丸山亜由美)

 

クリエイター :袴田 武史

hakuto_icon
多彩なスペシャリストがこぞって参加したくなるプロボノチーム、ハクトのチームリーダー。スターウォーズに憧れて、宇宙船が飛び交う世界を作ることに情熱を注ぐ。スラムダンク名言集が心の支えである知的な体育会系。

hakuto_footer

 - インタビュー, クリエイター, 宇宙に挑むために必要な「10のこと」Google Lunar XPRIZEで世界と競う チームハクト, 袴田 武史 , , , , , ,

crem fbpage header
(いいね!で最新記事を毎日受け取れるみたいですよ)

あなたの好奇心を刺激する
コラム、ビジュアルビュース、GIFマンガ、海外映像作品紹介記事を毎日配信

more