第3回Fujiyoshi Brother’sから学ぶ 毎日がもっと楽しくなる10のレッスン【ココロをコドモに戻してくれる絵画アーティスト 】
(執筆:CREM編集部 丸山亜由美)
クリエーター :Fujiyoshi Brother’s(フジヨシブラザーズ)
2000年に藤芳太一郎(兄)と藤芳幸太郎(弟)により結成されたアートユニット。
鮮烈な色彩とダイナミックなタッチで、すべての作品を合作で制作し、ライブペインティングや映画・舞台美術などの様々な分野でも活動している。また保育園や小学校などの特別講師として、アートの楽しさを広く伝え続けている。
【第3回】Fujiyoshi Brother’sから学ぶ 毎日がもっと楽しくなる10のレッスン
- 8:自分の中にあるものを大切にしよう
- 9:上手くいかなかったら寝かせよう
- 10:アイデアの源泉を探ろう

8:自分の中にあるものを大切にしよう
−−常に新しい作品を世の中に送り続けるためには、外から色々な刺激を取り入れることが必要…一見するとそのように思いがち。でも実際は、自分のオリジナリティを保つために、あえて情報を制限するクリエーターも少なくありません。その点に関してはいかがでしょうか?
「いろんなアンテナを立てて、世の中の主流の考え方や流行は知るようにしています。でも 自分たちの作品は、そういうものからシャットアウトし制作に入ることが多いんです。」
「こういうものができたかと、流行になるなと察知することは大事です。でも、作品には反映させてなくて良いかなと。」
−−おふたりが大切にしてきたもの…それは豊かな自然やこれまでの経験から学んだこと。自分たちが表現したいことや他の人に喜んでもらいたいと思う気持ちは、世の中の動向や他のアーティストによって簡単に影響を受けるものではないのでしょうね。
「もちろん素晴らしいと思うアーティストであったり素敵な作品は沢山ありますが、影響を受けるというよりは自分達の知識を増やしていき、鑑賞者というだけではなく、自分たちの仕事の側面から見てゆく感じでしょうか。」
−−毎回新作を見るたびに、新しいけれど変わっていないというワクワクする安心感を覚えます。
「世の中の流行などではなく、自分たちの中から生まれるものを大切にしたいんです。」
−−流行や注目されるものは日々移り変わりますが、おふたりの中にある創作哲学は変わらない。何かをずっと続けるのは本当に大変なことですが、変わらず続けているからこそ多くの人がファンになるのでしょうね。

9:上手くいかなかったら寝かせよう
−−自分の思った通りに物事が進めば、それは素晴らしいこと。でも時には、スランプに陥ってしまったり、迷って判断が付かないこともあるはず。そのような時は、どのように向き合っていますか?
「あとちょっとで完成だけれど、それを決めかねている時はわりとすぐに寝かせる場合が多いかも。それを決めかねている時間がもったいないので…。」
「いいんだけど、あとワンパンチ。何か足りないと感じた時は新しい作品へ向かいます。」
−−納得がいかないことに長い時間を掛けているよりも、何か他のことをやってからまた戻る。少し時間を置くことで、新しい感覚から良いアイデアを出せるのかもしれません。
「倉庫に眠っている作品も結構あるんです。5年ぐらい経つと見えてくるものもあって。ここをこうすれば完成じゃないか!と」
−−おいしいワインが熟成するように、絵画も寝かせることが必要なんですね。ちなみに、アトリエではどのようにお仕事をされているのでしょうか?
「制作スタイルとしては常に同時進行、絵の具を乾かしている間に次の作品に取り掛かります。」
−−アトリエには何点ものキャンバスが並んで…アクリル絵の具によって、動物や植物たちへ次々に新しい息吹を吹き込んでいる様子が目に浮かびます。
「役割分担は全くないんです、重ねながら描いてゆく。細かくほしいなというときは兄の太一郎がやったほうがいいな、くらいの感じです。」
−−長い間一緒に制作されると、“阿吽の呼吸”が調ってくるとのこと。何かに決めかねたら寝かせる、というポリシーもおふたりで共通のものだったんですね。

10:アイデアの源泉を探ろう
「絵を描き始めて十数年になりますが、次の作品が浮かんでこないということがないんです。また次はこういうものが描きたいなと思う。」
−−ライブペイントや個展など様々なイベントを開催されていますね。自然と次のアイデアが沸き上がって、常に新しい作品を生み出していらっしゃいます。底を尽きないその源泉はいったいどうなっているのでしょうか?
「10個くらい自分が作りたいと思うものの“綱”を出しておくんです。その綱を引っぱりながら、組み合わせると面白いなと思うもの同士をつなぎ合わせて、たぐり寄せる。」
「それがいくつも頭の中にあって、どのタイミングでどうすれば面白くなるかなと。忘れちゃってるものもあるけれど、出し続けるから飽きることがないんです。」
−−おふたりの中には、綱というアイデアのしっぽがあるんですね。それがゆらゆらと顔を出し、絡み合ったり、引っ込んだりしながら…作りたい作品へと形を変えて世の中に生まれてくる。
「自分が一生をかけて突き詰めて仕事をしようと思ったとき、突き詰めてやれるのはアートなんです。」
−−アートに対して真摯に向き合う誠実さが伝わってくるからこそ、その作品に感動を覚えるのでしょう。絵画として飾られるだけではもったいないと、他の企業からオファーが絶えないのも納得です。
「クラウンさんとのお仕事やサクライズなどのイベントなど、異業種や企業とアートが結びつくことを、もっとやっていきたいと思っています。」
−−おふたりとお話をしていると、不思議と肩の力が抜けるのを感じました。上手くやらなければという凝り固まったオトナゴコロから、今この時間を楽しもうという柔らかなコドモゴコロへと解きほぐしてもらうことができました。室内に飾られることを目的として、誕生した絵画。藤芳兄弟の手によって、今度はどんな場所でその作品を見ることができるのでしょうか…?

(執筆:CREM編集部 丸山亜由美)
クリエーター :Fujiyoshi Brother’s(フジヨシブラザーズ)
2000年に藤芳太一郎(兄)と藤芳幸太郎(弟)により結成されたアートユニット。
鮮烈な色彩とダイナミックなタッチで、すべての作品を合作で制作し、ライブペインティングや映画・舞台美術などの様々な分野でも活動している。
また保育園や小学校などの特別講師として、アートの楽しさを広く伝え続けている。

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