そこはかとなく好奇心を刺激するクリエイターの秘密基地。

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今、美大生が会いたい 僕らの師匠【映像ディレクター・森岡 千織 】

      2016/05/13

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現役美大生が「いま会いたい、僕らの師匠」と直球で対談する、最高にクールなクリエーターズ・インタビュー。今回ご登場いただいたのは、20代の若さで映像制作会社を経営し、メジャーインディーズを問わず数多くのMVやPVを制作していらっしゃる女性映像ディレクター、森岡千織さんです。
(企画・編集:丸山亜由美、執筆:坂口文華、インタビュー:軍司拓実)

森岡千織:映像ディレクター

 
クラウディ株式会社代表。20代の若さで起業し映像制作会社を経営。MV、PVを中心に、人物の美しさを引き出す映像で見る人を魅了する女性映像ディレクター。
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――森岡さんが映像の世界に行こうと思ったきっかけはなんですか?

高校2年生のときに「映像概論」っていう授業を選択したのがきっかけですね。もともとミュージックビデオとか映画とか、映像を見るのは好きだったんですが、実際に自分で作るようになったのはそこからです。

「映像概論」では、先生から簡単なビデオカメラを1台持たされて、なにか1つMVを作ってみようっていう課題が出されたんですよ。私はブラックビスケッツの『タイミング』っていう曲を使って、友達と一緒にダンスしながら撮影したんですけど、それがすごい楽しくて、それ以降どっぷり映像の世界にハマってしまいました。

そのあと高校を卒業して、映像制作を学べる2年制の専門学校に通ったんですけど、その頃からガツガツ制作をするようになりましたね。

そのとき私が通っていたコースがちょっと変わっていて、実験映画とかビデオアートとかを勉強するところだったんですよ。だから「赤と緑の点滅をひたすら見続けたらどう感じるか」みたいに、すごく抽象的でコンセプチュアルな表現とか精神論みたいなものばかりを学校ではやっていて、実際の撮影・編集技術はあまり授業では習わなかったんです。

でも私は「映像の仕事でどうにか食っていきたい!」っていう気持ちがあったので、学校とは別に自主活動をして映像を作っていました。たとえば、まだあまり注目されていないシンガーソングライターとかバンドとかに「撮らせてください!」ってお願いして撮影させてもらったり、中田ヤスタカさんの曲を使って自主制作MVみたいなのを作ったり、ほんとにいろんなものを作ってましたね。まあ、できあがった作品は大体、何がしたいのか分からんような超つまらないものばっかりでしたけど(笑)。

――授業では習わなかったということですが、撮影や編集の技術はどのように身につけたのでしょうか?

専門学校の講師の一人で、ビデオのテクニカルな部分にものすごく詳しい方から技術面を教えてもらっていました。私の師匠みたいな人ですね。

――なるほど。師匠のもとで技術面を、自主制作でクリエイティブ面を鍛えていったんですね。映像のお仕事は自分から積極的に取りに行っていたのですか?

最初は全く仕事とは言えないものでしたけどね。お金なんて一銭もでないし、むしろ小道具とか衣装も全部こっちで買うなんてことがザラでした。とにかくなんでもいいから撮らせてくれっていう感じです。そこから次第に、1本3000円とか交通費が出るとかっていう話がくるようになって、だんだんお金がもらえるようになっていきました。

私は基本的に人物、特に女性を撮りたいっていう気持ちが強いんですよね。でもそれって、自分一人では撮れないものじゃないですか。だから最初は、とにかく撮らせてくれって頼んで、もうほんとにいろんな方を撮影していました。

――人物を撮影するというスタンスがその頃からすでにあったんですね。今までになにか影響を受けた作品があるのでしょうか?

実は影響を受けた映像作品ってほとんどないんですよね。子供の頃はポケモンがすごく好きでした。任天堂のゲームがずっと好きだったんですよ。ゲームとか漫画とかにはよく触れていましたね。

映像で影響を受けたのは、たぶんglobeのMVかな。小学生のときにglobeがめちゃくちゃ好きで、あのオトナな感じとか曲の世界観とかに夢中になっていたんですよ。もう「globeになりたい!」って思うくらい憧れてましたね(笑)。そのglobeが、あるとき『BRAND NEW globe 4 SINGLES』と題してCDシングルを4枚連続リリースし、同じ監督さんが同じ世界観でそのシングル4曲のMVを作るっていう企画があったんです。そのMVを見たときに「音楽ビデオってヤバい!」って初期衝動みたいに感じて、子供心にものすごい衝撃を受けました。「音楽と映像を使って、世界観をこんなふうに表現できるんだ!」って憧れましたね。それから結構MVを意識するようになった気がします。

――そうだったんですね。専門学生時代もMVを中心に制作されていたんですか?

そうですね。でもMVに行き着くまでは、いろんな分野に挑戦していました。たとえば、映画みたいに脚本をしっかり書くような作品を作ってみたこともあります。「なんか映像が作りたい」ってぼんやり思ってるだけだと、自分に向いているものって分からないじゃないですか。やっぱり実際にやってみないと分からないことが多いので、いろいろ手探りしながら作ってましたね。

そうしているうちに、自分は脚本を書きたいわけじゃないっていうのに気づいたんですよ。私はストーリーをガッツリ練るというよりは、わりと表層的な表現、イメージをつなぎ合わせてパッと1枚の画で見せられるような表現が得意らしいということに気づいて、その得意なほうに特化していった結果、ミュージックビデオに行き着いたって感じです。

――森岡さんのMVって、どこでスクリーンショットしても画がきれいですよね。

結構、1枚1枚の画に対してはこだわってますね。インターネット、特にYouTubeみたいな動画共有サイトではサムネイルをどこから切り取るかってすごく重要だと思うんですよ。なかには動画をアップロードする際にランダムでサムネイルが作られちゃうものもあるから、なるべくどこを切り取ってもよく見えるように気をつけて作ってます。

――森岡さんは20代でこのクラウディ株式会社を設立していらっしゃいますが、なぜ会社を作ろうと思ったのでしょうか?

事の次第を話すとすごくビックリな話になるんですけど(笑)、実は専門学校を卒業した次の年にはもう会社を作ってたんですよ。

専門学校を卒業したあと就職せず、いきなりフリーランスになったんですけど、当然お仕事は全くこないので、いろんなアルバイトをしながら生活していました。

最初は、先ほどお話した私の技術面の師匠からいろいろ仕事をいただいてバイトさせてもらってたんですけど、ちょっと不祥事を起こしちゃって破門になりまして(笑)。だから今度は映画の制作現場でアシスタントをするバイトをはじめたんですけど、ここでもちょっと仕事ができなくてクビになっちゃったんですよ(笑)。

たまたまそのとき、現場には自分より3つくらい年上でヒッピーみたいな、自由人の助監督がいたんですけど、その方が私のことを気に入ってくれたみたいで、「一緒になんか面白いことやろうよ」って声をかけてくれたんですね。私はまだ学校を出たばっかりで右も左も分からないし、お金もなくて、生活と映像制作をどう成り立たせればいいかってところでもやもやしていたので、その悪魔の囁きに「はい!やります!」って答えてしまったんです(笑)。

そしたら彼が「なんか会社を作ろうよ」って言い始めて、もう一人、音楽系の自由人を連れてきたんですよ。気づいたらなぜかその2人と会社を作ることになっていまして。私は会社なんて作れっこないって思ってたんですけど、意外に2人の自由人たちが頑張ってくれて、私が21歳のときに本当に会社ができちゃったんですよ!しかも「なんか若い女性が代表だったら面白いじゃん」くらいのノリで私が代表になっていたので、このときはめちゃくちゃ驚きましたね(笑)。

そのあと、会社を立ち上げてくれた自由人たちは、やっぱり自由人なので3ヶ月と経たずに飽きちゃって、「あとは頑張ってー」って感じで去ってゆきました(笑)。

そこから、まあ最初2年間くらいは会社を眠らせていたんですけど、いろんな人の助けがあって今までなんとか続けてこられましたね。

――21歳で代表になった会社が今でも続いてるって本当にすごいことですね。

でも正直いうと、ずっと辛かったです。やっと最近、クラウディがあってよかったなって思えるようになってきたんですけど、それまでは会社を経営するっていうのがほんとに負担でしかなかったです。

法人なので、やれ契約だの、やれ見積もり請求だの、いろいろ事務作業がめんどうなんですよ。社員を新しく雇おうと思っても手続きがたくさんあるのですぐには雇えないし、経営計画なんかも出さなきゃいけない。そういう事務的なところに時間をとられるのがすごく辛かったです。しかも最初は全て自分一人でやっていたので、管理が全く行き届かなくて、請求書を出し忘れたから入金されない、なんてことも度々ありました。だから仕事をしてもお金がうまく入ってこないっていう状況になっていて、ほんとに当時はひどい生活をしていましたね。そういう事務作業をこなしながら、本業である作品づくりをしていたんですけど、その2つの作業って頭の使い方が全然違うので、自分のなかで仕事のバランスが取れず、ほんとに大変でした。

去年、2015年からやっとそのあたりが安定してきて、ようやく最近まともに活動できるようになりましたね。制作する作品の雰囲気も、そのあたりから抜群に変わった気がします。要因はいろいろあるんですけど、やっぱり大きいのは経理を雇って全てお任せするようになったことですかね。メンバーの協力があって売上も少しずつ上がってきましたし、やっと最近になって会社が楽しいって思えるようになりました。

――会社を支えるために、大変な苦労をされてきたんですね。会社をやっていてよかったなって思うのはどんなときですか?

それまではずっと個人で制作していたので、企画から撮影、編集まで全て自分一人でやっていたんですよ。でも会社を起してからは一つのプロジェクトに対してチームで動けるようになって、今はそれがすごく楽しいですね。

オールインワンとまではいかないですけど、クラウディでは監督・カメラマン・編集・アニメーション・CGなどなど、制作に必要な技術を担当する人が一人ずついて、チームを組んでいるんですよ。案件がきたら、チームで協力しながら各々の担当分野をこなして制作を進めていく。もちろん外部の方にお手伝いいただくこともありますが、常に同じ技術チームをメインに据えて制作できるので、今はそれがすごく幸せです。

――信頼がおける固定メンバーと、作品を一緒に制作していけるのが楽しいんですね。

そうなんです。チーム自体は小さいんですけど、基本メンバーをできるだけ変えたくないっていう昔からの願いが実現できて、今はすごく嬉しいです。

――森岡さんは普段、企画のアイデアってどのように考えだしているんですか?

ミュージックビデオであれば、初めて曲を聞いたときに、わりとすぐイメージが湧きますね。でもそのイメージって、まだ漠然としたアイデアの種みたいなものなので、今度はその種をより具体化して、実現可能な形まで落とし込まなきゃいけない。その作業が実はすごく大変で、その段階まできたら私は、敢えていろんなものから影響を受けながらアイデアを詰めていきます。

たとえば、会社の人や友達といろんな話をしてみたり、前に読んだ漫画をもう一回読み直してみたり、知らない人のブログやTwitterを見たり、とにかくあらゆるところから刺激を受けようとします。ほんとに時間がないときは、知らない人の会話を盗み聞きします。終電にわざと長く乗って、知らないサラリーマンの会話を聞いたり、昼間に安いファミレスへ行って、隣の女子高生の話を聞いたりすることで、自分の生活の範囲外から刺激を得るようにしています。

アイデアのヒントって、案外あちこちに転がっていたりするので、わりと日常生活の中から面白い企画が思いついたりするんですよね。街中を歩いていても、誰かとすれ違うたびに私たちは、一瞬だけその人から人生のワンシーンを見せてもらっているわけじゃないですか。たとえばこの前、男の人が、女の人に向かってすごい剣幕で怒っていて、「なんで連絡くれないんだよー!」って叫んでいる場面に遭遇したんですけど、そのワンシーンを見られたのは超ラッキーだったと私は思っているんですよ。

だってそのシーンさえあれば、話の前後を考えるのって簡単じゃないですか。その男はストーカーなのか彼氏なのか、それとも全く関係ない通りすがりの人なのかとか、想像しようとすればいくらでもストーリーは浮かぶんですね。

だから私は部屋に篭るより、外に出ていろんな刺激を受けながら考えたほうが煮詰まりにくい気がします。

――ハルカトミユキの作品に多い気がするんですが、たとえば女の子が泣いているところを長回しで撮影した『new moon』や、ひたすらスノードームを撮影した『ワールドワイドウエブは死んでる』のように、一発の強いアイデアが光る企画も日常の中から思いついくことが多いんでしょうか?

いや、ハルカトミユキは結構ディスカッションをしながら制作していますね。『new moon』も『ワールドワイドウエブは死んでる』も、ハルカトミユキが1年間、毎月新曲をリリースするっていう企画に合わせて制作したリリックビデオなんですけど、実はすごく作るのが大変だったんですよ。

毎月1本作らなきゃいけないので、とにかく時間がなかったんですね。あのシリーズのリリックビデオってほとんどが3日間とか4日間で制作していて、その少ない時間で企画を練ったり出演者を集めたりしなきゃいけなかったのが、ほんと精神的に辛かったです。

しかもハルカトミユキの場合は、なるべく本人出演ナシで歌詞を聞かせたいっていうリクエストがあったので、全編イメージ映像だけで魅せなきゃいけなかった。私はわりと、一つの作品の中にいろんな要素を詰め込んでいくことが得意なタイプなんですけど、ハルカトミユキに関してはそんなことをやってる暇がないので、もうワンアイデアでいくしかなかったんです。

だからワンアイデアのものって、厳しい制約条件の中でいろんなものが削ぎ落とされた結果できあがった奇跡的な作品だったりするんですよ。私にとってハルカトミユキのリリックビデオは、自分の得意分野から珍しく外れたイレギュラーな作品かもしれないです。

――つるうちはなの『あいゆうえにい』みたいに、いろんな要素が詰まった作品のほうが森岡さんとしては得意なんですね。

そうです。『あいゆうえにい』は自分でもすごく気に入っている作品です。くだらない日常の中の一瞬みたいな断片をバーって詰め合わせた作品なんですけど、本来はそういう作風が好きだし、作っていても苦がないです。わりと瞬発的に作れちゃいます。

――イメージを詰め込むタイプの作品って、最初の素材集めが一番大変かつ肝になるところだと思うんですが、そこはどうのようにされているんでしょう?

私自身、普段からいろんな映像素材を集めているので、そんなに大変ではないですね。やっぱり撮るのが好きなので、なんでもない風景とか、日常の一コマとかそういうのを日頃、趣味のように集めているんですよ。ほとんどはiPhoneで撮影しています。

――森岡さんの作品は、特に女性がとても美しく撮影されていると感じるのですが、やはり森岡さん自身が女性であるからこそ表現できることも多いのでしょうか?

自分ではあまり意識したことがないんですけど、もしかしたらあるかもしれないですね。
もともと、女の人に対する強い憧れというか、女の子を撮りたいっていう気持ちがやっぱり自分の中に芯としてあるんですよ。

せっかく女の子をビデオで撮るんだから、かわいく写ってなかったら誰も得しないじゃないですか。かわいく撮れてない素材は、あとで自分が見返したときにめちゃくちゃ落ち込むんです。だから、かわいく撮れるまで何テイクもやり直したり、表情に対するリクエストを激しくしたりすることもあります。

自分が女性であるメリットがあるとしたら、女の子のアーティストを撮影する場合、私が女であるっていうその事実だけで安心してくれるときがあることですかね。だからこそ撮影できた表情、しぐさとかは結構ありますよ。

――森岡さんは女性のかわいらしさだけでなく、力強さも同時に写し撮っていらっしゃいますよね。その両方を同時に撮影できるのって本当にすごいと思います。

たぶんそれは人物を撮影するっていうことを、自分の中でどんどん深掘りして突き詰めていった結果だと思います。

張り付いた笑顔みたいに、ただ表面的にかわいければいいっていうのが、個人的にほんと無理なんですよ。化粧がバッチリできているとか、口角が少し上がっているとか、そういう表面的なところって実は関係なくて、本来のかわいさって人の内面から出てくるものだと思うんですよね。だから撮影のときは、できるだけその人の内面が引き出せるように工夫したり、かわいいだけじゃない部分を堀りだすため要らない部分を敢えて削ぎ落としたり、そのあたりの差し引きはわりと考えていますね。たとえば、敢えてモノクロにするとか、もう逆光にしちゃうとか、その人の魅力が最も引き出せる表現を模索します。

――人物をどれだけ魅力的に写すか、という部分に強いこだわりをもっていらっしゃるんですね。

人物が魅力的に写ってない映像は、まず絶対にありえないです。たとえMVのストーリー構成がおかしくなったとしても、私は必ず表情がいい画を選びます。MVってプロモーションのためのビデオなので、アーティスト本人が出演しているか否かに関係なく、魅力的な作品でなかったら何の意味もないんですよ。だから私は事前にできるだけヒアリングとかディスカッションをして、一人よがりの作品にならないよう気をつけて制作しています。

――森岡さんは、映像監督にどんな能力が必要だとお考えですか?

仕事が全然できなくてバイトもすぐクビになっちゃうような私でも監督になれたので、根気強く続けることじゃないですかね。やっぱり自分の周りでも、途中で諦めていった人は多かったです。生活とか結婚とか、理由はいろいろあると思うんですけど。

でも私にとっては、映像を作ることがなによりも最優先だったんですよ。それは意図して優先していたっていうより、体が勝手に反応しちゃうんですよね。私はそうやって走り続けた結果、どうにかコースに入れた人なので、とにかく諦めなければどうにかなるんだなって最近、やっと10年間やり続けてきて思うようになりました。

――映像作家を目指すなら、覚悟しておいたほうがいいことって何かありますか?

うーん、最初の10年間くらい、人間的な生活はできないかもしれないですね(笑)。
映像を作るのって、すごく労力がかかる仕事なんですよ。企画して、コンテ書いて、どこで何をどう撮影するのか考えて、撮影に行って、編集して・・・ってある程度までは監督が全部やらなきゃいけないんです。体も心もめちゃくちゃ動かさないと作品が作れないので、生活は不規則になりがちですね。

――学生のうちにやっておくと良いことって何かありますか?

学生ってやっぱり、時間があるっていうのが大きなメリットだと思うんですよ。だから思いついたらすぐ実行するといいですよ。作りたいって思った瞬間に、どんどん作ったほうがいい。今なんてiPhoneでスローが撮れちゃう時代なんだから、iPhone一つでも結構いろんなものが撮影できますよね。作れば作るだけ必ずレベルアップできるので、どんどんやる。くだらないと思ってもやる。

――森岡さんはこの先、どのような映像作家でいたいと考えていらっしゃいますか?

最先端のテクノロジーを使うというよりは、もっと身近なものをテーマにした作品で勝負していける映像作家でいたいですね。日常の中に転がっている、くだらない、あほらしいことって、撮ってみると意外と愛しくなるものなんですよ。一見なんでもないようなものでも、カメラのレンズを通して視点を変えてあげることで輝かせることができる、そんな人になりたいです。

――森岡さんにとって映像とはなんでしょう?

「すごく重くて動きづらい羽」、「仕事ができない自分に唯一残された魔法」みたいな感じですかね。ほんとに劣等生で勉強も運動もできなくて、バイトもすぐクビになっちゃうくらいの人間だったけど、映像を使うことでなんとか社会とつながることができたんです。だから動かすまではすごく大変で辛いし、もう諦めようかなって思うこともあるけど、一度羽ばたけたらどこまでも飛べる羽、みたいなものだと思います。

――最後に、学生へ一言メッセージをお願いします。

作れ!(笑) とにかく作ったほうがいいです。体を動かし脳を動かし、作りまくれ!

あとは、映像オタクになっちゃダメです。映像を作ることに憧れるのはいいんですけど、オタクになったら危険です。同じ3分間でも、映像オタクのまじめな映像作品より、はじめしゃちょーみたいなYouTuberの動画のほうがずっと面白いってなったら、みんなYouTuberの動画しか見ないじゃん。実際にそういうことって世の中で起きているんですよ。

映像を見る人は別に、その作品にどれだけ労力が費やされていて、どういう思いで撮影されているかなんて気にしてないんですよ。ただ感覚として、気持ち良いとかワクワクするから見ているだけなんですね。重要なのは、見る人にどんな感覚を与えられるかっていうことなので、鑑賞者の視点をもって制作したほうがいいです。

――映像オタクになりかけていたので、姿勢を正された思いです。映像以外のこともいろいろやったほうがいいということですね。

そうです!行ったことないところに行ってみるとか、すごい低評価のゾンビ映画を見てみるとか、なんでもいいと思います。面白い発想って、全く違うもの同士がいきなり結びついたときに生まれるので、何かしら刺激を受け続けているうちに突然ひらめいたりするんですよ。アイデアが浮かんで「どうしても作りたい!」っていう気力が湧いたときに初めて、技術的な勉強をすればいいと思います。

だからパソコンとかノートと向き合うよりも、もっと別のことに時間を使ったほうが最終的に面白いものが作れるようになる気がします。技術のことは気にしなくていい。そのうち技術は誰かやってくれる人が出てきます(笑)。まずは自分のクリエイティブな感情を高めていくことを優先してください。

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