そこはかとなく好奇心を刺激するクリエイターの秘密基地。

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今、美大生が会いたい 僕らの師匠【映像作家・柴田大平】

      2016/02/25

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現役美大生が「いま会いたい、僕らの師匠」と直球で対談する、最高にクールなクリエーターズ・インタビュー。
今回ご登場いただいたのは、ビジュアルデザインスタジオWOWに所属されていらっしゃる映像作家の柴田大平さんです。
(企画・編集:丸山亜由美、執筆:山越大輝、インタビュー:澁谷 武)

 

柴田大平:映像作家

 
1982年 兵庫県生まれ。千葉大学大学院自然科学研究科修了。2007年よりWOW株式会社勤務。ディレクター・デザイナーとしてCM、MV、展示映像、インスタレーションなど、映像全般の企画・演出・制作に携わる。近作ではNHK Eテレのテレビ番組「デザインあ」の番組企画・制作への参加や、21_21 DESIGN SIGHTでの作品提供、BRDGでのVJ活動など。
Daihei SHIBATA Portfolio: http://daiheishibata.jp/

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――いつから映像の道に行こうと決めたんですか?

映像の道に行こうと決めたのは、、、なんとなく流れで。もともと大学でグラフィックデザインをやっていて、趣味で映像制作やVJとかもやっていて。大学卒業して就職するってときに、自分自身が何したらいいか分からない状況で、今の会社がいろいろできそうかなと思い、入社して映像をするようになったって感じかな。

――では、最初はグラフィックを学びたくて、大学に入ったんですね。

最初は、プロダクト、車のデザインをやりたかった。授業とかを受けているうちにグラフィックデザインの方が面白そうだと思って、途中で変更した。もともと映像がやりたかったわけじゃないけど、だんだんと、なんとなくかな。

――柴田さん自身が影響を受けた映像はどんなものなんでしょうか。一番初めに影響を受けた映像は何ですか?

そうだな、、、昔からジブリとかは好きだったけど。映像を見て、なにこれ、すげぇ!って思ったのは、大学1年のときに、ICCでメディアアートの展示をやっていて、そのときにクリス・カニンガムが監督したビョークのPVが大きなプロジェクションで流れていて、それがすごい衝撃を受けた記憶はあるね。クリス・カニンガムは、10年ぐらい前だけど話題になったPVとかたくさん作っていた変態ディレクターだよ。

――クリス・カニンガム、初めて知りました。ジブリの他に影響を受けたものってありますか?

親とか兄弟からの影響もあった。母が、油絵とか水彩を家でやっていて、自分も小さい頃から絵を描いていた。なにか作るのが好きなのは、親の影響だろうね。あと、学生のころはデザインの勉強していたから深澤直人の本とかにすごい影響された。without thoughtとか。

――では、映像を作ってみようと思ったきっかけは何ですか。

やってみようと思ったのは、大学の先輩がクラブでVJとかやるサークルをやっていて、なんかオシャレそうみたいな気持ちでそこに入ったのがきっかけかな。最初は、先輩にアプリの使い方とか聞いて、大学祭でのファッション系のサークルのオープニング映像を作ったり、たまにVJとかをやったりしていた。

――昨年行われたBRDGに行きました。すごいカッコよくて、前の方で騒いでました。

大学卒業して以降は全然やってなかったね。3年前くらいに久々にやって、その流れで最近もやってる。

――BRDGで披露されたもの(『CC』)もCINEMA4Dだと思うんですけど、CINEMA4Dに触れていくきっかけは大学時代にやっていたVJだったんですか?

大学の授業で先生が3Dソフトを紹介してくれる機会があって、そのときにCINEMA4Dを買ったのが最初かな。学生版があって安かったし。学生のときは、独学だったね。全然チュートリアルなくて、ひたすらよくわからんインタフェースをいじりまくってた。入社してから会社でCGの技術を色々ちゃんと教えてもらった感じ。

――学生のうちは、私生活も含めてどんなことをしてたんですか?

学生のときは、ちゃんとした制作はあまりしてなかった。僕がいた千葉大は自分でバリバリ作るっていう教育方針じゃなくて、コンセプトメイクみたいな授業が多くて、手を動かしてガッツリ創作活動みたいなことしている人はあんまりいなかった。自分もそうだったけど。基本、遊んだり、バイトしたり、授業行ったり、と普通の学生生活だったと思う。友達んちで麻雀したり、サッカーとかもしてたね。

でもたまに映像制作もやってた。作った映像をTBSのDigiconってコンペに応募したり、NHKのデジタルスタジアムっていう番組に出したりしてた。その時に審査員の人と知り合って、学生のときもたまに仕事くれたりしていたね。

――映画を見るとか美術館を巡るとか、意識的に何かを吸収しようとすることはありましたか?

意識的っていうか、好きだったからそういう所には行ってたけど。学生のときは、動画サイトとか今ほど普及してなくて、海外のカッコいいMV見るにはDVD買わないといけなかった。昔はresfestとか、onedotzeroっていう世界のMV集めてでっかいスクリーンで鑑賞するイベントがあって、そういうのを見に行ったりとかしてた。当時はそこに行かなきゃ見れなかったから。

――今の職場であるWOWにはどういう経緯で入ったんでしょうか?

確か、会社に履歴書と作品集を送ったんだと思う。それで面接して、OKもらったけど、まだ学生だったから半年ぐらいして卒業してから入社した。

――WOWに入社した当初は、どのような仕事をなさっていたのでしょうか。いつ頃から今のディレクターのような仕事をするようになったんですか?

どうなんだろう、、、入ってすぐに演出をするような仕事もやらせてもらっていたけど、最初は先輩の下について色々教えてもらいながらやってCMのCG合成とかやってた。3年ぐらい経ってからかな。自分で作品を発表するようになって、そこから自分に仕事が来るようになったかな。やっぱり、自分で考えて、自分で作りたかったから、このままじゃまずいと思って、何か作って、コンペに出したり、vimeoとかにアップしたりしてた。

――現在、vimeoのスタッフピックに載っている作品も多いと思いますが、やはり動画サイトの影響は大きいものなんでしょうか。

そうだね、いろいろ反響もあったし、作り手にとってはありがたいサイトだと思う。Vimeoは、海外の人がよく気さくに連絡くれるけど、日本だけでいったら、映像業界は意外と狭いからvimeoとかがなくてもいいものさえ作っていれば、名前は知られると思う。まぁ便利だから使うに越したことはないし、世界と繋がりたいなら、もちろんやるべきだと思うけど。

――自分の制作した中で一番気に入っているもの、自信があるものはありますか?また、楽しかった仕事のエピソードがあれば、ぜひお伺いしたいです。

一番とかは難しいけど、最近だと、高尾山の麓にできたTAKAO 599MUSEUM用に作った映像(『A TREE OF TAKAO』、『599 GUIDE』)とか。高尾の仕事は、最初に声かけてもらったときから2年半ぐらいかかって、プロジェクト全体でいうと7年くらい前から始まったものだったと思う。声かけてくれた日本デザインセンター大黒デザイン研究室の方がたも、八王子市の担当者も、何よりも良いものをつくろうという思いがみんなにあって、それに向かって最後まで突き進む感じが、なんか純粋にモノづくりしている感じで楽しかったね。


A Tree of TAKAO from daihei shibata on Vimeo.

599GUIDE from daihei shibata on Vimeo.

599 MUSEUM:http://www.takao599museum.jp/

大黒デザイン研究所:http://daikoku.ndc.co.jp/TAKAO-599-MUSEUM_2

後は、MTVのもの(『HYPER FANTASTICS』)ですね。CGで顔をつくって実写にピタッとくるように合わせたんだよね、CINEMA4Dで。モデルの子は、Baekっていう子。もともとBaekと友達だったりして、予算はなかったけど、自分で衣装なんかもそこらへんの服屋で買ったり、小さい現場で仲間内でわいわいしながらやるのが、なんか手作り感あって楽しかった


HYPER FANTASTICS from daihei shibata on Vimeo.

――僕はやっぱり『CC』が好きです。

CCはなんか色々褒めてくれる人多くてうれしいね。意味が固定しないように、余白ある意味深な映像にしたら、なんか、勝手にみんな子どもの表情からいろいろ意味とか見出してくれるし、疑問に感じてくれる。そういったリアクションあると、ああ良かったって思う。


Hello, my name is CC. from BRDG on Vimeo.

CC:http://daiheishibata.jp/cc/

――柴田さんは、仕事によってカッコいいものや、かわいいもの、どちらも自由に作れると思っているんですが、柴田さん個人としてどっちが好きとかってありますか?

どっちも好きだけど、毎回その映像のお題によって変わるというか。かっこいいだけじゃなくて、面白いものとか、楽しいのとか本当はもっと作りたいけど、まだ力不足で…
同じことやっていると飽きてしまって苦痛になってくるんで、その時々の気分でいろんな映像を作りたい

――今、実写とかモーショングラフィックとか、色々なことに関わっていらっしゃいますが、どのように仕事の幅を広げていったんでしょうか?

大学で映像を始めたとき、ビデオカメラで撮影するんじゃなくて、CGから入ったから、ひたすらクリックしてつくるのが最初は多かったかな。CGはやっぱり好きだし、慣れていて安心ってのもあったけど、仕事でいろんなことを経験するうちに撮影するものも増えてきた感じかな。CGでも撮影でも手法によっていろいろ表現できることが異なったり、それぞれ得手不得手があるから、目的に応じて作る方法を選ぶ感じですね。

――実写についてはどのように感じていますか?やはり、CGでは表現できないことがあると感じますか?

すごいある。人とか自然物とかは特に。表情とか、身体の動きとかでいろんな記号のやり取りができるし、非言語的な要素がCG以上に多いと思う。最初は、現場に慣れなくて、カットとか大声出すのも大変だった。CGだと期限ぎりぎりまで作りながら調整できるし、カメラもライティングも全部やろうと思えば自分の好きなように制御できる。撮影は撮ったら終わりなので、撮影までにどれだけ想像したり準備できるかってとこがあって、CGだけで作るのとは進行が違う。特に人が対象だと、いろいろな偶然の要素があって、制御できないパラメータがたくさんある感じ。それが楽しいとこだし、実写ならではの表現って言える部分だとは思う。今も撮影はすごく苦手意識あるけど。

――柴田さんは、実写に対して苦手意識とかコンプレックスをもっている部分があるんでしょうか?

本当に実写はまだまだ経験も演出的な能力も足りてないので、PVとかで撮影の経験をもっと積みたいね。納品する度に、技術的なことでも、演出的なことでも、毎回あーもっとこうやればよかったとか、自分に足りてないことや苦手なものばかり発見してションボリする

――映像制作をしていく上で、自分の中のルールのような何か意識していることはありますか?

映像を作る時に、その内容が誰に何を伝えるものなのかといった、目的や意図を最初に明確にする、というのをいつも一番はじめにしていることです。この映像のメッセージは何で、何のために作るのか。そういうのをはじめにがっちり決めておけば、あとあと自分の中で、表現の指針になるというか。もちろんプロジェクトに関わる人たちに影響されたり、そのつど内容を変えていくこともあるし、結局最後まで何を軸にするか迷いながら進めている時もあるけど、、、。あと、個人的なことだと、積極的にトライしていることだと、毎回自分が過去にやったことの無い何かをやる、とか。技術的なことだけじゃなくて、演出的なこととか、撮影方法とか。なんか過去とは、違うことやりたいっていうのは、常にあるけどね。

――チャレンジ精神を常に持っていらっしゃるのですね。

そういうのもあるし、自分が過去に作ったのをみて、こういうの作ってほしいっていう依頼があるんだけど、過去の作品と全く同じものを作るのは、自分のモチベーションが上がらないから。自分のモチベーションを上げるためにあえて変えていってるってのはあるかな。

――他にモチベーション上げている方法はありますか。

一番は自分が楽しいとか興味ある仕事が来るようにすること。やっぱり楽しい仕事が一番モチベーション上がるから。なるべく来てほしい仕事を自分でも作っていく。世間にもこういうの作れますアピールしていくってことも必要だと思う。あとは、関わるスタッフみんなが楽しくやっていてモチベーションが高いと、自分もモチベーション上がるけどね。

――映像を見てる人には、どんな風に見てもらいたいですか?

作る映像によるけど、機能紹介ビデオなら、見た人がその機能を理解してくれれば嬉しいし、MVなら話題になってくれたらいいけど。毎回こうやって見てほしいっていうのは、共通しないかな。せっかく作ったからにはなるべく多くの人には見てほしいってのはあるけど。

――技術的なこともお聞きしたいのですが、具体的にワークフローっていうか、最初は何から入るんでしょうか?例えば、『CC』の作品の場合だったら、どういった形で仕事の依頼が来て、どういう吐き出し方をするのかとか、もしあれば教えてください。

『CC』は、BRDGのオーガナイザーの人からイベントやるのでVJで出てほしいって言われて。別にどういうの作ってほしいとかはないから、完全に自由だった。だから、以前作ったsyncbodyのVJを発展させようかなと思って、その時興味あることをもとにしてアイデアを膨らませたりして、ノートに書いたりしてた。制作期間が少なくて、2週間ぐらいしかなかったから、このときは手を動かしながら、同時に考えながら設定も詰めていくって感じだったかな。寝不足で辛かった。


[BRDG007] SyncBody from BRDG on Vimeo.

[BRDG010] SyncBody(VJ set) from BRDG on Vimeo.

――そこからモデリングとかして動かしていくって感じですか。

そうだね。キャラデザインは3Dで作りながら決めていったかな。モーションはネットに載ってるフリーのものを基本的には使ったりして、もちろん自分で作ったりもしたけどね。でも、仕事やその時の状況によってプロセスは全然変わってくるかな。

――何か自分の正攻法みたいな、いつもやっているやり方はありますか。

普通にクライアントワークだったら、最初の打ち合わせで要望とか問題点とか上がってくるから、そういうのちゃんと聞いて、ああ、こうしたらいいかなと思いながら、構成をつめていったりかな。要素がいろいろあって、論理的に決まってくるものだから、聞きながらメモして、じゃあこうしましょうみたいな。それをいかに演出で解決していくかみたいな。まぁ純粋に、どれだけちゃんと真摯に考えられるかみたいなことはあると思うけどね。

――大体の場合は、やはり時間的に厳しいものなんでしょうか?

そうだね、あんまり余裕あるときはないかな。いつもスケジュールに追われているかも…

――WOWの中には柴田さん専属のスタッフがいるんですか。

自分のチームがあるわけじゃないから、毎回プロジェクトごとにプロデューサーがスタッフィングしてくれたり、時には外注したり。もちろん自分でも手を動かすし。別に自分の専属の後輩がいるとかではないよ。ほんとは何でも言うこと聞いてくれる後輩いたら、すごい助かるけど(笑)

――映像自体が現在、いろんな方向に進化していると思うんですけど、これからの映像の未来を柴田さんはどう考えていますか?

VRとかヘッドマウントディスプレイとか、今はまだ体験としてしっくりきてなくて苦手だけれど、将来的にもっと技術が発展して、もっと良くなると思う。まだ今では体験のレベルとしてリアルな景色とかを見ていた方がいい。いつかは、もっとリアルよりも楽しくなると思うし、出来るようになると思うけど。これから映像って言葉で表現できないようなメディアがどんどん出てきて、楽しそうだとは思う。最近良く聞くディープラーニングとかのAIも、これからは個人のツールになるだろうし、そうなった時に今では想像できないようなプロセスで作れたりしそうで、見たことない映像がいっぱい出てきそう。

――新しいメディアに参戦していこうという思いはありますか?

どうだろう、今のところ積極的にトライしてはないけど、仕事ではそういう案件もたくさん来るし、こういうの考えてほしいとか。参戦っていうとなんか構えているけど、もちろん何かしら新しい面白い技術は積極的に取り込んでいきたいくらいの気持ちです。

――2020年に東京オリンピックがあって、色んなことが大きく変わる年だと思うんですけど、柴田さんはその時にやってみたいことって何かありますか?

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オリンピックに対してこうしたいっていうのはないけど、オリンピック関連はやっぱり規模もバジェットも大きだろうから、そういうときにしかできない仕事には関われたらうれしいかな。でも、まだまだ演出とか企画とかいろいろ力が足りないからいいものを作り続けて、継続的に成長していけたらいい。ずっと良い映像を作りたいという思いは持っている

――僕たちが、学生時代にやるべきことを教えていただけたら嬉しいです。

卒業してすぐに自分の名前で仕事したいとかあれば、学生のときから何か発表していくのが良いと思うけど、別に卒業してからでも遅くないよ。普通に学生時代は、そのとき好きなことやってればいいんじゃないかな。学生のときから肩肘はってバリバリやらなくても、友達と仲良く遊びたければ遊べばいいし、作りたければ作ればいいんじゃないかな。

――では、自分の作品の質を高めていくためには、どうしたらいいと柴田さんはお考えですか?

僕も前は、MVとかぼーっとなんとなく見てたけど、ワンテイクごとにこういう風に撮るんだとか、この繋ぎでこう来るんだとか研究したり、日々勉強みたいな。一番は、やっぱり自分で仕事なり自主制作で作ってみて、うまくいった、いかなかったって、やってみるのが一番経験になるかな。こうやれば良いのができた、とかそういうの蓄積していくのが。

――最後に、映像とは何ですか?トップの人たちは、どんな気持ちでやってて、映像っていうのをどのように見ているのか知りたいと思いまして。

固く答えると、映像は、メディアの一つ。光と音を使って誰かに何かを伝える媒体。卒業して24歳から仕事してて、9年ぐらい経ってるけど、映像って難しいなっていつも思う。自分に足りないものとか新しい発見は常にあるから。他のディレクターの作品を見て、なんでこんなにすごいの作れるのって思って嫉妬するし。映像は、ずっと技術とともに進化していくと思うし、まだまだアイデア次第でできることはいっぱい増えていくと思う。映画もMVもCMもテレビ番組も、大きく捕らえると同じ映像だけど、それぞれすごい作り方とか目的も違うし、それぞれほんといろいろできると思う。

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